「前半の小気味なテンポの成功劇と後半の絶望の対比が脳裏に焼き付く」パラサイト 半地下の家族 オレさんの映画レビュー(感想・評価)
前半の小気味なテンポの成功劇と後半の絶望の対比が脳裏に焼き付く
全員失業中で極貧に喘ぐキム一家に舞い込んだ、高台の大豪邸に暮らすパク一家長女に対する英語の家庭教師の仕事をキッカケに、交わることのないはずだった2つの家族が奇妙な関係を繰り広げていく様子を描いたブラックコメディ作品。
第72回カンヌ国際映画祭、第92回アカデミー賞にて作品賞を含む複数の主要部門にノミネート、受賞を成し遂げ、非英語作品において初の作品賞を受賞したことで韓国映画のみならずアジア映画初の快挙を数々成し遂げた事で話題を呼んだ今作。
前半1時間近くで描いたキム一家が各人赤の他人の体でパク一家の周囲で職にありつく演出の小気味の良さが異常で後半の胸糞悪さを知らない限りは何度でも前半だけ見返したいという気持ちに陥った笑。
その一方、口八丁手八丁に素人仕込みの演技で能天気なパク奥様、一見用心深いが気に入ったモノに対しての深い詮索をしないパク主人に取り入るための手口が濡れ衣や殺人未遂とも思える行為に次第にエスカレートする様に異常性を感じた。
一見完璧に見えたキム一家の偽装もマナーや態度、そして何より印象的なワードだった「におい」によりメッキが剥がれるようにボロを出し始め、輪をかけるように発覚した先住人の存在でカオスな脱出劇となった後半は一見すると笑える笑えないの境界線が曖昧な表現や発言などシュールとシリアスさが混在したブラックコメディ然と化した展開が印象的だった。
情けない、悲しい、気持ち悪い、可哀想、怖い、不気味と様々な感想が挙がる、人間の生々しさ剥き出しの作品だった。
若干の文化の違いや日本を貶める表現があった気もしたが自分は気にならなかった。
初めて韓国映画を観たが、韓国語の響きも意外と耳馴染みが良かった。
2020年01月24日(金)1回目@TOHO日比谷
2022年03月07日(月)2回目@Amazon Prime