「半地下の家族というサブタイトルは、」パラサイト 半地下の家族 cenrivさんの映画レビュー(感想・評価)
半地下の家族というサブタイトルは、
日本だけのサブタイトルらしい。
このサブタイトルのおかげでストーリーのイメージがしやすかった。
主人公家族は、まさに半地下に住む、貧困層の4人家族。
そんな中、ひょんなことからIT会社社長の金持ちの家に全員身分を偽って働くことになる。
この家族4人分の収入源はすべて社長の家から出ているものとなり、まさに金持ち家族にパラサイトする物語だ。
貧困家族の4人は、家庭教師、心理療法士(兼家庭教師)、運転手、家政婦として潜り込むのだが、全員能力がある。半地下の貧困層とは思えないふるまいや言動が嘘でも事前のリサーチなどで準備できる。
逆に金持ち家族の方は簡単にだまされるし、美人でかわいいけど家事もなにもできないちょっと抜けてるお母さんだし、大丈夫?という感じ。
能力があっても、お金がないと結局は上にあがれないという韓国の厳しい社会をあらわしているのか。
よく貧困層と富裕層の対比を表した作品として、万引き家族とパラサイトが比べられているが、どちらも、貧困家族の方がつながりがあって愛を感じる気がする。
うまいことだまして、生活していたある日、金持ち家族が、息子の誕生日のため、キャンプに出かけるという。
その日貧困家族は、金持ち家族の家で高い酒をあけ、広い風呂に入り、庭園を見渡せるリビングで、どんちゃん騒ぎをする。
もう、そんなに汚して急に帰ってきたらどうするの!
とほんとあせるw
この時点で、わたしはとっくにこの家族にどっぷりつかって感情移入をしてることに気づく。
どうか、バレませんように!
外は大雨で、案の定深夜になるインターホン。
やばい!!!
だが、帰ってきたのは社長一家ではなく、自分たちが追い出した元家政婦さん。
ここからストーリーは一転。
元家政婦さんは、地下倉庫に忘れ物をしたから取りに行きたいと。
地下倉庫に降りるとなんとそこには、その人の旦那がいたのだ。
すでにパラサイトしている人物が完全地下にいた。
主人公一家は自分たち半地下よりももっと下がいることを認識する。
ここで、元家政婦夫婦に主人公一家が偽物だとばれてしまい、脅されてしまう。
そのまま元家政婦家族とさらに協力してだましていくのかと思ったらそんな明るい?ストーリーにはならず、乱闘になり、しかもそのタイミングで社長一家は雨のせいで帰ってきてしまう。
急いで家を片付ける。
急いで!と見ている側はハラハラ。でもあの地下の2人どうなるの?とハラハラ。
そして社長一家帰宅。
すぐ寝ればいいのに、息子がキャンプの続きを庭園ではじめ、両親は、息子の監視のためリビングで待機することに。
そのとき、主人公家族はリビングのテーブルの下に隠れていた。ギリギリの距離。
すると、社長夫婦はリビングで、セックスをはじめてしまう。テーブルの下でその状況がすぎるのをまつ主人公家族。せつない。リビングのソファーの上で愛し合う夫婦とテーブルの下で息をひそめる家族。
まさに社会の上下関係を表しているようで息がつまる。
この映画では上下関係を表すために、こういう描写がふんだんに使われているらしい。
主人公一家は、家の半地下から、やけに階段をのぼるし、ベットの下に隠れる描写や、リビングのテーブルもそう、地下倉庫もそう、自然と住む世界が違うことをインプットされる。
このニアミス事件を乗り越え、なんとか脱出し、主人公一家は家政婦役のお母さん以外は半地下の家へと帰る。
すると雨の影響で家は水没していたのだ。
そして、体育館での避難生活を余儀なくされる。
そんな中なにごともなかった小高い地域にある社長一家は翌日ホームパーティをするということで、主人公一家も招待をする。
前日の脱出から、家の水没から避難生活のあとの疲れ切った状態でのホームパーティへの参加だった。
前日リビングのテーブルの下に隠れているときに、社長夫婦が主人公一家の運転手役お父さんの話をしていた。
そのときに、貧乏くさい匂いがするというような話をしていたのだが、このパーティの準備のため夫人と買い物しているときも、夫人が匂いを嫌そうに窓をあけるのだった。
またパーティ会場でも、社長に夫人のことを話せば、プライベートな話はするな、わたしとおまえは住む世界が違うのだ、的な空気を出してくる、社長。
そこからじんわり嫌な予感がしてくる。
案の定、地下から、元家政婦の夫がパーティーに乗り込んできて、主人公一家の娘の胸をナイフで一突きにする。それを見た社長の息子はショックで倒れてしまう。
主人公一家の父は娘が刺されたショックで動揺し、社長が車を出せといっても動けない。なのでキーを投げるのだが、その車のキーが揉み合っている元家政婦の夫の体の下に入り込んでしまう。
そのキーを社長が取り上げようとした、そのとき、あからさまに、鼻をつまみ、臭そうにするのだ。
それをみた主人公一家の父、は、なにかがプツンと切れたように、落ちていたナイフを広い、社長をさしてしまう。
映画では伝わりづらい匂いという描写で、また、富裕層と貧困層を表現していたのだ。
このあとのストーリーは、主人公一家の母生還、息子生還だが、身分を偽った罪で裁判へ、ただし、執行猶予がつく。娘は死亡。父は逃亡。
父が逃亡しいなくなってずいぶんときがたったとき、息子があの家を双眼鏡で覗いてみると、リビングの電気がチカチカ不規則に点滅していた。
あの元家政婦の夫が地下に住んでいたときやっていた、モールス信号だ。
あの元家政婦の夫は4年間信号を送っていたが社長一家には気づかれなかった。
主人公の息子は父のモールス信号に気づいたのだ。父はあの家の地下にいることを。
結局助けあえるのも、同じ階層に住む人間なのだ。
富裕層が貧困層のヘルプには気づかない。そんなメッセージに感じた。
最初はコンフィデンスマンを見てるような痛快詐欺ストーリーなのかと思いきや途中から怒涛のサスペンス。
もっといろんなメッセージが含まれていると思うのでみなさんの考察をたくさん読みたい!