「モチーフを徹底した印象的な作品」パラサイト 半地下の家族 そらのばさんの映画レビュー(感想・評価)
モチーフを徹底した印象的な作品
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正直なところ、私は世間で評されているほどの良さを感じることができませんでした。
というのも、貧富の格差がどこか絵空事のように思えてしまったからなのでしょう。
資本主義において、資本を持っていないといつまでも貧しい状態から抜け出せないーーということを分かってはいても、居住空間から目に見えて格差が分かるという状況に接してきませんでした。
それ故でしょう。リアリティーを感じつつも、どこかファンタジーのようで、そうはならないだろう、そう感じてしまう自分がいました。
その一方で、演出はシンプルで分かりやすく、そして印象的でした。
急斜面に建つ豪邸から逃げて地下の街へ大量の雨と共に駆け下りる様は、貧しい世界へと戻ることを如実に表現していましたし、
半地下の臭いは、どれだけ緊迫した状態であっても、嫌悪感を抱かずにはいられませんでした。
金運を呼ぶとされた石を家から持ち出すことで続くかとも思えたパラサイト生活は、最後に手放すことで全てが無に帰します。
複数回見ることで得られる発見や、想像を掻き立てられるシーン。そういったものが随所に見受けられる秀作なのは間違いありません。
そして何より、時代背景を知った上でもう一度見ると、新しい発見があるのかもしれません。
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