「伏線やメタファーをうまく使いながら描く貧困層の生活」パラサイト 半地下の家族 いたやんさんの映画レビュー(感想・評価)
伏線やメタファーをうまく使いながら描く貧困層の生活
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実際の韓国の社会問題となっている貧困層を描いた映画。一家全員無職のキム家が、息子が富裕層の家庭教師に就いたのをきっかけに、全員が身分を偽り、現職の人物を陥れながらその富裕層の家で職を得る(息子と娘は家庭教師、父は運転手、母は家政婦)という展開。途中までは平坦に物語が進められたが、そのキム家よりも貧困に苦しんでいる夫婦が登場してから一転、緊張感が一気に増す。実はその富裕層の家には地下室があり、そこで生活している男がいたのだ(妻はキム家が来るまで地下室の存在を知った上で家政婦として働いていた)。層が3段になってことにより、上の層を妬む様子、下の層を見下す様子にリアリティがでてくる。最終的には1つ下の層から家族の1人が殺害され、各家庭は崩壊された様子が描かれている。殺人を犯したキム家の父は、その地下室に逃げ込み、世間的には逃亡したまま行方不明という設定で終わる。
貧困といったセンシティブな内容を扱う中で、物語の緩急の付け方、何気ない日常会話の中に散りばめられた伏線など、終始見入ってしまう作品だった。濡れ場は必要なかったように感じた。
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