「それで、どうしたの?」パラサイト 半地下の家族 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
それで、どうしたの?
確かに、脚本は微に入り細に入り、いろいろと技巧を凝らし、工夫を凝らしてはいますが、観終わった後、映画的感動や映画的充足感があったか、と訊かれると、首をかしげたくなります。私に云わせれば、空回りする映画、です。で、結局、訴えたかったことって何なの? 思わず、私はこう訊きたくなります。テクニックに走りすぎると、走りすぎただけ、映画が本来、持っていたはずの映画的価値がその分、減殺されてしまう、という格好の例でもあります。黒澤明の骨太のヒューマニズム、ヒッチコックの格調のあるスリラー、チャップリンの涙、デ・シーカの大きな愛、ベルイマンの思考の深さ、etc・・・。これらの映画と比べると、格段に見劣りがします。致し方ないでしょう。韓国映画は現在、まだ、黎明期なのですから・・・。私にはこの作品が前作の「スノーピアサー」と同等の出来のような気がします。
昨今の映画評論家のこの作品に対する異常ともいえる賞賛ぶりを私は冷ややかな目で眺めています。なにか大きな力が陰で働いているのではないか、と邪推したくなります。まあ、かの有名な「キネマ旬報」の前科もあることですしね・・・。
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