「一度も違和を感じなかった。」パラサイト 半地下の家族 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)
一度も違和を感じなかった。
どんな映画もカメラワークに"おやっ?"と思えるところはあるし、どんなに良くても"ここはちょっと…"と感じることはあるはずだった。
『パラサイト 半地下の家族』がとにかくおっかないのが、そんな違和を感じる隙間がコンマ一秒無しなこと。恐ろしいほどテーマと手腕が一致していることだった。
ポン・ジュノという人は、以前二本の作品を観て、何となく"モヤ"を好んでいる人って印象だった。『グエムル 漢江の怪物』は皆めでだしエンドを拒否。現実はこうもありうることを示してモヤモヤに。『オクジャ』はもはやジャンル定義が見つけられないまま完走。映画自体を一種のモヤに変えてしまって驚いた。ただ不思議とまた観たい、観て言葉にしたいという欲求を抱かせてくれて、そこでも何故だとモヤモヤにw
今回はモヤは薄め、むしろ明解なんだけど、複雑さも加速するっていう芸当に驚いた。半地下と富裕層のファミリー劇にこれでもか、これでもかって容赦も無しに予定調和を壊して翻弄、とんでもないスペクタクルを感じた場面でただ茫然…が、メチャクチャスゴい映画を観れたことへの歓喜がスゴい!本当に、これほど心が動くだなんて嬉しかった!
キャストも全員スゴかった!
ソン・ガンホは当然として、家政婦役のイ・ジョンウンという役者がヤバすぎる!映画を大きく加速させてく役回りをナチュラルに、でもって爆発させて観ていてただただやられました!
チェ・ウシクという人もラストシーンが素晴らしすぎて、ダへ役のチョン・ジソも可愛い上に面白い(本作の清涼剤)。てかもう…もっと言うなら全員良いよ!良すぎるよ!!
ネタバレは残念ながら出来ません。
てか出来ない!
これは何にも知らずに観て、自分の言葉で見つけて欲しい!とんでもなく滑稽で、哀しくて、感動的で、本当にこの時代で出会えて良かった大傑作を!
オスカーを獲った事実ももはやどうでも良い!
必見!!!
また観たい、観て言葉にしたい。
まさにその通り。
一度観ただけでは整理できない。
でもどうしても言葉にしたい、
誰かに伝えたい、
それほど熱くなる、紛れもない傑作ですよね。
私も何回も観に行ってしまうと思います。