「半地下ブーム」パラサイト 半地下の家族 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
半地下ブーム
2019年カンヌ映画祭パルムドール作品。
2018年は「万引き家族」。
2016年は「わたしはダニエルブレイク」。
2012年は「愛、アムール」。
近年のカンヌ映画祭の最高賞は、各国の社会問題、特に貧困や高齢者を対象にした作品の多い事。
更に昨年のアニメ映画収入第1位は「天気の子」。
貧困なフリーターや親の無い兄弟、貧乏記者といった市井の更に低所得者に焦点が当たっていて、主人公が転がり込んだ事務所は雨になると水浸しになる「半地下」。
これは貧困を問題として取り上げるにはあまりにも事例が多すぎて、既に巷では、これくらい貧乏なのが当たり前、なのではないか。
段々見る度にうんざりしてくる。お腹一杯。
ただこの作品では、金持ち描写の出来が良い。それは今迄にはあまり無かった。私の様な中途半端貧乏には、金持ち描写はどんな美味しいものの映像より涎が出る。
でも、あの丸見えの大開放リビングは、景色を見ている様で逆に見られている様な、芝居の舞台の様。
何かそれが、「金持ちってあんな丸見えなリビング作っちゃって頭おかしいんじゃないの?」と皮肉られている様にも感じる。
そのリビングで繰り広げられるドラマは、町山さんも仰っていたが「ドリフのコント」の様に、笑いもあればハラハラドキドキも沢山ある。要らないけどエロもある。
「パラサイト」はその豪華絢爛な金持ちと、話の展開の転がり方の多様さで、他の「貧困テーマ映画」とは違ったエンタメ作品に出来上がっている。
ポンジュノ作品だからある程度死人は出るだろうとの予測と、ラストのほんのりの救いは期待通り。
強いて言えば、ソンガンホがもっと活躍して欲しい。
オープニングもラストも半地下風景。
これは流石でした。