「忘れられないあの人」パラサイト 半地下の家族 ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
忘れられないあの人
サービスデーでもない平日の午後、300人規模の劇場がほぼ埋まっている状態でした。
観客は老若男女、ちょい若め。
若い女性客のグループやカップルなど、偏りのない印象で、話題作だなーと実感しました。
強烈さで言えばソフトで観た「母なる証明」の方が上でしたが、おしまいまで飽きることなく、ずっと面白かったです。
あちらが「母」への畏怖ならこちらは「父」への共感。妻に頭が上がらなくて情けないザッツアジアのおとうちゃん像。
ラジオなどでだいたいのあらすじは知っていたにも関わらず、ちゃんとツイストがあり、さらにそれが展開のための展開ではなくオチできちんと回収し、そこから作品タイトルにつながっていく流れなど、脚本の手際は無駄なく鮮やか。
個人的には「万引き家族」よりこちらの方がリアルな感触を残しつつ、より娯楽度が高めで好みでした。
登場人物の退場のさせ方のドライさとか必要にして充分。若いのに監督の手つきは老獪ですね。
ネタ的には「太陽がいっぱい」はじめ割と古典的だと思いますが、映画リテラシーの低いわたしには数多の先行作と比してどうかなのはわかりません…
それと、どちらかというと主人公家族以外の人々のことが心に引っかかりました。
金持ち家族の内面とか…余白にいろいろと想像をかき立てられます。
「業務日だ」はさすがのあの人にも皮肉が通じたって意味だったのかな?
劇場で笑っている人は少なかったですが、奥様の英語ギャグも面白かったです。
謎めいた「ヤングアンドシンプル」の身も蓋もない意味も含めて。
もっと大きかったのは中盤以降で登場するあの人。
正直、主人公以上のインパクトがあり、観終わったあと一番心に残っていました。
たぶんこの先、事あるごとに思い出すだろう登場人物の1人になった気がします。