「ドストエフスキーは嫉妬していると思う」パラサイト 半地下の家族 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
ドストエフスキーは嫉妬していると思う
いやー、とにかく凄いものを見てしまった。この映画の凄さを自分の言葉で説明できるのだろうか。
数日前に整骨院で治療を受けている時に、隣のベッドで整体師と患者さんがこの映画の感想を話し出すという最悪な環境に置かれてしまった。うつ伏せで治療を受けているため、なすがままネタバレを耳にしてしまった。
面白さも半減だろうなと思いながらも見始めたのだが、ネタバレしていようがしていまいが関係なかったね。例えば、ドストエフスキーの罪と罰のあらすじを聞いてから小説を読んでも受ける衝撃は、変わることはない。圧倒的な筆力で描かれる人間の性、登場人物が吐き出すセリフに懊悩する。
この映画パラサイトも同じで、人間の欲、ずるさ、哀れさ、滑稽さが見事に表現されていて、その後の展開を知っているにもかかわらず心をえぐり取られそうだった。格差社会の歪みを題材にしていながらも、押し付けがましいメッセージ性は全く感じない。また、あちこちに埋め込まれている寓話、メタファーも味付けに徹していて、本筋のストーリーの凄みに脳天を直撃されてしまった。
それだけでなく、映像美がいいよね、アングル、光の使い方、場面の切り替えの絶妙な感じ。音楽も場面場面ですごくマッチしていたし、効果音は心理描写をうまく補完していて、いやーな不安感が増幅されてしまった。
ちょっとだけ、芥川龍之介の蜘蛛の糸を思い出したが、寓話としては、蜘蛛の糸をはるかに超えてます。
これから、この映画のフォロワーが出てくるんだろうけど、この頂を超えることは出来ないんじゃないの。
コメントありがとうございます♪
映画は言葉も国境も越える…とは言ってもなかなかそれを実践するのは難しいですが、『パラサイト』はまさにそれをやってのけてくれましたね。
アジア映画初のみならず、外国語映画としても史上初の作品賞。
本当に素晴らしいですが、それが日本映画ではなく、激しい嫉妬と日本映画への叱咤激励を感じてしまいます。
いつもありがとうございます!
たしかに今年は最初から豊作!
この映画のパターンはどれだけ増殖するんでしょうねぇ。あまりにも増えると飽きてくるかと思うのですが、設定が似通ってもストーリーはいくらでも増えそうですよね。
整骨院の件、それだけ注目されてるってことですよね~
俺もなるべく早く見なきゃ・・・