「ネタバレ禁止の方が面白さマシマシのエンタメ+ドラマな作品です。」パラサイト 半地下の家族 マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレ禁止の方が面白さマシマシのエンタメ+ドラマな作品です。
昨年末から公開の話題の韓国映画をやっと鑑賞。
ネタバレ禁止との事で、ネタバレが全然大丈夫な自分ではありますが、殆ど予備知識もなく鑑賞しました。
で、感想はと言うと面白い!
むちゃくちゃ面白いです。
観る前からポスターの意味深な画像で鑑賞意欲をそそられましたが、確かにこれはネタバレ禁止だわw
古くは「シックス・センス」的な感じのネタバレ禁止が中盤から怒涛の展開を繰り広げ、「カメラを止めるな!」的な流れでテンポが一気に良くなる。
富裕層と貧困層の絶対的な階級は生き方や振る舞いはその人自身にまで息づいている。
このカタルシスは息をする様に根付いていて、業の様にへばりついている。この辺りは「ジョーカー」を見る様な虚無感。
今年のアカデミー作品賞にも初の外国作品としてノミネートされてますが、その価値は十分にあると思います。
半地下に居住するキム一家は無職かも知れないが、働けない訳ではない。
それなりのスキルと適応力があり、仕事が無いのは国の経済状況と言うしかない。
だから、最初は小悪党な感じで社会に寄生するパラサイトで小銭を掠め取る様な感じ。
スマホは持っていても通信料は払っていなくて、家の中でフリーWi-Fiを探して、通信をやっている。
食うに困る程の貧乏でもない。
社会の弱者にはなるかもしれないけど、全て貧乏のせいにする程ではないから、どこかシニカルに笑える。
それが悪知恵と策略を張り巡らし、次々と仕事を獲得していく。
大富豪に寄生するパラサイトとはよく言ったもんだと高をくくっていたら、大富豪のパク一家がキャンプに行ってからが事態は急加速。
事件が起こる様なフラグが立ったと言えばそれまでだけど、よ~く考えるとなんとなく伏線はあった。それが“こうなるだろうなぁ”と思っていたら、物凄い展開。ここからは二転三転どころの騒ぎではない。完全にやられました。
個人的にちょっと引っ掛かるのはキム一家のそれぞれの持っている特筆すべきスペックはそれなり以上の物があるのに、それを描写する前振りが薄いかなと。
また、家庭教師のギウとダへが恋仲になるのが早くない?w
高校2年生の女の子を手玉に取るなんてお手の物かもしれないけど、そんなにギウは男前でもないしw、プレイボーイな素振りもない。
出来ればそこに至る過程を写す描写がちょっと少ない。
他の設定での伏線を張り巡らし、それを回収するのが実に上手い作品なだけに細かい所ではありますが、惜しいです。
韓国映画は国の経済情勢や南北での緊張関係、国家と民族性を訴えかける作品が多いですが、この作品はそう言ったテーマとのバランスが非常に上手いです。
あのラストはちょっとどうなんだろうか?と鑑賞後にいろいろと考えました。
ある意味目標を設定して、前向きになれる要素もあり、光を見出だせると思うんですが、これをオッケーとすると全ては貧乏と格差社会のせいとなってしまうのではないかなと。
いろんな伏線が貼られたラストとしてはアッと言わせるラストであるのは間違い無しなんですが、どうもいろいろと考えてしまう。
“エンタメ作品だから、そんなに考えなくてもいいじゃん”と思ったりするんですが、こんな風に感じられるのもこの作品の奥の深さかなと言うのにも気が付きました。
格差社会の現実を簡単に白黒に割り切れる物ではないからこそ、こう言ったラストにも様々な思いが出てくるのも、ポン・ジュノ監督の手玉に取られてるのかなw
人が生きる事で染み着く物。本来は当たり前な事でも無味無臭が尊ばれる中でそれは何かを失いかけていて、有味有臭が個性と文化と人格なのに、それを認めようとしない。
そんな格差社会の強者と弱者。歪みと隙間をライトにシニカルに描き、緩急を織り混ぜながら、一気に加速するスピード感。
いろいろと言いたいけど、この作品に関してはどれを書いてもネタバレになりそうで、それに面白さが半減するかもと思うと書くに書けないw
今回はそれくらい気を使って書いてみましたw
中東の貧困・移民問題を題材にした「存在のない子供たち」の様な何処か遠い国の様に感じる問題ではなく、日本でも起こりうる問題で決して他人事な話ではないと思います。
こう言った問題を真正面から捉えるとどうしても重くなりがちな所を楽しく緩急を織り混ぜながら製作されたのは見事。
この作品もある意味、観るべき作品なのかと思います。
先日鑑賞した「エクストリーム・ジョブ」や「EXIT」もむちゃくちゃ面白かったんですが、韓国映画はレベルが高い作品が非常に多い!
ネタバレ禁止の方が面白さがマシマシになる、ドラマとエンターテイメントを織り混ぜた一級品な作品で勿論どころかむちゃくちゃお薦めです!
ちしゃくんさん
コメントありがとうございます♪
なるほど~依存体質かぁ。
それは思い付きませんでした。確かに恵まれた環境のは別に体質による恋愛のスピードの違いってありますもんね。
ありがとうございます♪
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
kossyさん
コメントありがとうございます♪
女子高生のダへ役のチョン・ジソが結構可愛いので、なんでそうなんねん!と思ってしまいましたw
物凄くまとまった良い作品かと思いますので、細かい所ではありますが、気になったんですよね~
コーエンはノーカントリーのコーエン兄弟でしょうか?
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
たしかに女子高生とキスするには・・・前任のイケメン先生を超えなければならない気がしますね。
なんとなくコーエン風なブラックコメディさも感じたのですが、コーエン作も必ず風刺を取り入れてますよねぇ。