「5億星つけたい」パラサイト 半地下の家族 リブレさんの映画レビュー(感想・評価)
5億星つけたい
『グエムル』は、在韓米軍が下水に流した薬品により誕生した怪物と家族で戦う物語でした。
今回の『パラサイト』は家族で格差社会と戦う物語です。今回の敵も怪物と同じくらい厄介です。家族は「プラン」を立てて上流階級の家族に順調に侵入していきます。しかし、思わず聞いてしまった社長の匂い発言。 自分では完璧に演じきっていると思っていたのに、匂いという内面から発せられる自分ではどうしようもできないものによって「プラン」が破綻していくシーンは悲しく絶望的な気分になります。そのあと父親は、「プラン」を立てることを放棄する、ある種の敗北宣言をします。しかし、そこからのラストに息子から父への手紙で「プラン」を語るところにかすかな希望を感じました。
『パラサイト』は、格差社会を扱っているといっても堅苦しさはなく、格差社会という主題の面白さのほかに、勝手に家に上がり込んでるのがばれるかもという単純に娯楽映画としての面白さもあると思いました。『母なる証明』で、母親が息子の友達の家に侵入したときもそうでしたが、ポン・ジュノ監督はこういうハラハラドキドキを撮るのがうまいです。
家の造形が適度に死角があって、隠れている主人公家族と、それを知らずに行動する裕福な家族のそれぞれの様子が、観客には手に取るように分かりハラハラさせられます。こういう映像が撮れるのはやはりさすがだと思います。
最後に蛇足ですが、裕福な家族の末っ子の男の子の存在が一番怖いです。姉に言わせれば奇抜な行動も演じているだけ。そして地下の男のモールス信号も読み取っていたのになにもしない。彼はなんだったのだろう。
恐らく、一回観ただけでは分かってないことも多々あると思うので、また映画館に行きたくなりました。