「〝平和ボケ批判〟をされる方へのひとつの問いかけ」パラサイト 半地下の家族 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
〝平和ボケ批判〟をされる方へのひとつの問いかけ
ネタバレ厳禁‼️で書いていたら、思わぬ方向へ。
まずは、平和ボケの定義。
ネットで見つけた下記内容を前提にします。
『戦争や安全保障に関する自国を取り巻く現状や世界情勢を正確に把握しようとせず、争いごとなく平和な日常が続くという幻想を抱くこと、あるいは自分を取り巻く環境は平和だと思い込み、周りの実情に目を向けようとしないことなどを意味する表現。』
これはこれで何となく分かるような気もするし、政治家や官僚、特に外交や経済(経済的にうまくいかないと国民の不満は溜まり、その不満を逸らす為にどこかの国のせいにする困った政治家や似非知識人も出てくるのである意味、防衛よりも優先順位は高いと思う)や防衛に責任を負う方々には、内外の情勢把握とか現実的な分析はして欲しいし、楽観的な幻想を抱かずどんな事態が起きても〝想定内〟といえるくらいシミュレートしていて欲しいと思っています。
『平和ボケでない状態』ってどういうこと❓
私がどうしても分からないのは『庶民レベルで平和ボケでない状態』というのがどんな状態を指して言うのか、ということです。
韓国映画をあまり見たことがなかったからかも知れませんが、この映画を見て正にこれなのではないかと感じました。
38度線を挟んで、いつも緊張状態を強いられている韓国、はまさにその見本なのかも知れない、と。
・厳しい学歴社会を生き残った経済的勝ち組的な富裕層であっても社会への還元よりもあの備えの方が重要だと思っていること。
・高齢化と人口減で労働力が不足しているのに、若年層の働き手が一定期間徴兵されてしまうこと。
・若者が仕事のスキルや大人としての成熟を身につけるべき貴重な時期に兵役によるブランクが生じること。
・その結果、格差に対しての不満や恵まれた環境にいる人たちへの嫉妬心や失ったものを取り戻す機会が我々には少ないのではないかという懐疑的な諦念混じりの不安が必要以上に(少なくとも日本社会よりは尖鋭的に)溜まってしまうこと。
・(調べたわけではない完全な推測ですが)〝あの設備〟や兵役に関するコストも含めて計算したら、平和ボケしないためのコストは、日本の社会福祉やインフラ整備に向けるものよりも比率が高いかもしれないこと。
もし、今の日本で〝平和ボケからの脱却〟予算を組むとしたら、年金や失業保険や教育の無償化予算や、自ら望んで自衛隊や海上保安庁に入った人は別として、青春時代の一部の時間が削られることになります。
超短絡的で最悪な未来予測をするならば、平和ボケしないための政策が貧困層を増やす結果となり遠からず、あらゆる年齢層からの不満が高まり、社会が妬みや先行き不安に覆われ、人間関係もギスギスし、ハラスメントや犯罪が増加する。
国家や社会の指導層ではない人たちへの平和ボケ批判をされる方々は、そのような社会を望んでいるのでしょうか。
古代ローマの退廃⁈(平和ボケ)を揶揄する時に〝パンとサーカス〟という言葉が使われたと思うのですが(元々の出典を知らないので、もしかしたら別のいい意味で使われたのかもしれませんが)、世界史でもまれな平和と安定を実現した〝五賢帝の時代〟はその頃に訪れたのないでしょうか。
国家の指導層の人たちの平和ボケは私も歓迎しませんが、庶民全般は平和ボケしている状況こそ、本来国家が目指すべき理想的な平和な社会と言えるのではないか、と私は考えています。
日常的に核の恐怖や国境線からの侵略を想定しながら暮らし、W杯やオリンピックの招致などに予算を使ってる場合じゃないだろう?
という空気が多数派になるような世の中になったとしたら、普通の警察官の中に、すずさんから絵を取り上げた憲兵のような人が出てくるかもしれません。そんな世の中に、私は暮らしたくありません。
グレシャムの法則さんへ
「3S政策」ってご存じでしょうか?ご存じでなければ、是非、検索してみて下さい。これが韓国。また、「トルーマン 虚実の自由」も、ご存じでなければ。こっちはGHQの話。更に言うと、「政治的平和主義 フォルマー」も、個人的には「知っておかなければならない概念」だと思っています。
でも、なんで突然「平和ボケ」なんて言いだされたんですか?w
「平和ボケしていない政府の下で、国民が何の心配もせずに平和に暮らす」のが理想ですね。国民もボケちゃダメです。
ちなみに、北朝鮮と韓国は停戦に合意してませんので、今も戦争中です。
昨年、中国は「今後10年で核兵器を10倍に増やす」と公言。台湾海峡に160発の固形燃料ミサイルを実戦配備(日本から技術漏洩の疑い)。国際司法裁判所の裁定を無視して南シナ海の4環礁を埋め立て、軍事要塞化しただけでは事足りず、5つ目の埋め立てを開始しようとしています。
こう言うのに眼を瞑るのが平和ボケw
映画は人種も言葉も国境も文化も越えるという美辞麗句をまさにやってのけましたね。
もう未だ驚きと、天晴れ!な気持ちです。
…それにしても、ネット上では誹謗中傷の嵐…。
何故こんな事しか言えないのか、同じ日本人として恥ずかしくなってしまいます。こういう輩は反日を掲げているあちらと全く同じ…。
それらを覆したのが『パラサイト』だと言うのに…。
何はともあれ、本当に大きな意義のある大快挙でしたね。
コメントありがとうございます♪
そうでしたか~。
自分は以前からこういう重量級の韓国映画が大好物でして。
本作がお気に召したのなら、まずはポン・ジュノ&ソン・ガンホの初タッグ作『殺人の追憶』は如何でしょう?
こちら未だに、私の韓国映画ベストワンです(^^)
「平和ボケ」という言葉は俺も大嫌い!
戦争映画を観たり、戦争に関すること、特に一般庶民が受けた悲惨な現状を理解できた人に対して、無知なネトウヨが「この平和ボケ!」と罵ったところで何の信ぴょう性もありません。
とにかく危機を煽ることに奔走するお偉いさんたちは都合よく「平和ボケ」という言葉を使います。また、両親両祖父から悲惨な戦争体験を聞いてこなかった人もよく使います。
自分の身の回りの人たちで、かなり低所得者であるはずなのにアベ礼賛する人もまたしかり。日本が軍事強国になる幻想を抱きながら、ホームレスへと堕ちていった奴も自民党支持者だったかと思います・・・
この映画の欠点といえば、セレブなのにそうした危機管理がパク一家にできてなかったことくらいでしょうかね。そういう点では人を信じるいい人たちなのですが・・・
ご返信ありがとうございます。拙いコメントを掲示してしまい、恐縮至極です。
恐縮ついでですが(苦笑
今作ではその超えてはならないライン(尊厳)を無意識に踏んでしまった社長に対する惨劇が、多分、日本でも現実味を帯びてくる筈です。元々がかなりトリッキーで突拍子もない導入の劇なのでノンフィクションでは起こり得ませんが、でも、同じ人間という極当たり前の概念が崩れる時代、それはかつてのアメリカでの奴隷制度への回帰という悪夢が扉の向こうで口を開けて待っているようですね。儒教が色濃い韓国ではその軋轢の激しさに、同情否、それ以上の恐怖を抱きます。案外、年上を敬うっていうのは、古くさいようで、コミュニケーションの一助だったことに気付かされますね。
フィクションだけど、『アス』程ファンタジー色薄めの今作は絶妙なバランスだと断言します。
ネトウヨは本流保守ではないですし、右傾メディアは単に商業主義以外なにものでもありません。
それに、情報の正確な処は外側の人間にとっては”正確”なんて幻想です。人は信じたいものを信じるだけ。これからの課題は、そんな”話し合っても解らない”隣人をそれでも近所付き合いしてゆく”しきたり”の共通化なのかもしれませんね・・・