「アクション的には Aigoo?」守護教師 Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
アクション的には Aigoo?
主演のマ・ドンソク。彼の映画を見れば、一瞬にして、彼の肉体から繰り出される強烈パンチに目が点になり、彼のファンになった方は多いと思うのだが、今回の作品は、彼が、新しくやり直すために女子高の先生になり、慣れない仕事に慣れるために必死で取り組む様子が、コメディ色もあり、彼の暴力だけではない、むしろ、言い方が悪いが“お茶目”な面がいいアクセントとなっている。最近見た、映画「神と共に 第二章 因と縁(2018)」でも"屋敷守護神”となってコミカルな面も見せている。
学園ものアクションスリラー映画と紹介されている本作、女子学園の生徒の失踪事件に絡んで、失踪した無二の親友を探す生徒、ユジンをキム・セロン、親友思いの彼女が必死で探しているのにもかかわらず、街全体がそのことを知らないかのように警察も失踪した学園側も何故か無関心で関わりたくない様子に映る。何故.....?
ストーリーとあまり関係のないものとしては、ところどころ日本ではないような学校のシステムがあって、例えば、"BK teacherともTeacher BK”とも称される先生がいて、生徒や生徒の保護者に会って授業料の滞納を催促するものも登場する。そんな、やりたくない仕事を、雄牛ことマ・ドンソクがいやいや、やらなければならなくなるところも見どころか?しかし、そのことがきっかけでユジンとの接点ができるようになり、物語が進行していく。
シナリオ自体も少し、首を捻りたくなるようなところも見られるが概ねサクッと観ることが出来た。
この映画の重要な登場人物の一人、ユジンを演じているのが、口角がキリっと上がっているキム・セロン。彼女を初めて見たのが、8年前のテレビ「天上の花園(2011)」で、しっかり者で家族思いの心優しいウンス役を演じていた彼女が、ここまで成長し、その当時から天才子役として活躍していたのを思い出す。
ソウルに拠点を置く日刊英字新聞、Korea Heraldでは、「確かに心のこもったアクション映画を演出して、俳優もうまく演じているが、シナリオに一捻りやスリル感が欠けている。」と、たしかに学園もの映画として、自分勝手に思っていることなのだけれども、ファンからすればブーイングものかもしれないが、敢えて言わしてもらうなら彼のアクションを"愛情のある暴力"、また"人情味にあふれた暴力"と個人的に思っているのだが、今回、マ・ドンソクのアクションシーンが幾分トーンダウンしているかのように思えるのとラストにおいて、しかたないことかもしれないが、煮え切らないように個人的には思うのだが....。
「陽の当たる場所(1951)」、「ジャイアンツ(1956)」、「アンネの日記(1959)」で知られる名匠ジョージ・スティーヴンス。日本映画でもよくインスパイアされた彼の西部劇のジャンルを超えた映画「シェーン(1953)」のアラン・ラッドのようにラストシーンで彼が、ジョーイに何も告げず、立ち去っていくようにギチョルもユジンに何も告げず、次の町に行ってしまう。ちなみに、アラン・ラッドは身長168cmとその当時のハリウッドスターとしてはかなり小柄な方だったのだが、スクリーンを通すと、大柄な方に映っている印象が残っている。
マ・ドンソク、彼のファンなら彼の別の顔が見ることのできる映画かもしれない。