罪の声のレビュー・感想・評価
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情報社会に踊らされるすべての人たちへ見てほしい映画
脚本が、かの有名な野木亜希子先生と聞いて、公開直後から絶対観に行こうと決めていた映画だった。先に見ていた友人たちから絶賛の声が多く、11月後半にやっと観に行くことができた。見終わった時あまりにも素晴らしい映画でこの感情をうまく言葉にすることができなかった。映画の予告CMを見た時は衝撃的な始まりからホラー要素が強い映画のように感じていたがその考えはすぐに飛んだ。これは今の社会のあり方へ今一度問い直す映画のように感じた。 あらゆる情報がありふれているこの世界で、その情報しか私たちは見ようとしない。その裏側を知ろうとも、批判したことへの責任も取ろうとしない今のマスコミや、私たちへのその姿に問いかけている映画だった。 出演している演者や、音楽、演出、脚本 そしてなによりここまで本当だと思えるほどのクオリティの高い作品を生み出してくれた塩田先生へ絶賛の拍手と感謝を心から送りたい。 この作品を多くの人に見てほしい、そして情報のその先にある人たちのことを想像できる人が増えてほしい。このお話はバットエンドでもハッピーエンドでもない でも間違いなくあなたの心に残る物語だ
「容疑者」とか「被害者」ではなく、「人間」。
大きな事件を追いかけつつも、謎解きに終始するのではなく、その周りにいる「人間」をしっかり描いているのが、さすが野木亜紀子さんの脚本だなあ。 私たちはテレビや記事を見て、事件をおもしろおかしく消費してしまいがちだけど、そこに関わった一人一人が何かしら人生に影響を受けてしまっている。その事実の重たさを考えさせられる。
境遇は変えられない
罪の意識とその受け止め方、というのが分かりやすい話ですが、 つまりそれは人の境遇は変えられないと言っています。 どんな境遇であったかで生き方は変わります。 結末はハッピーであることもあれば、バッドエンドもある。 時には理想を追って命を落とすこともある。 何が正しいとかこうすべきだということはないけれど、大事なことは自分の望みを叶えるために、何かを得るために自分が動かなければならないということです。 他人の決めた制約通りに動く機械であるうちは、自分にとっての豊かな時は訪れることがなく、 しかし、自分が獲得したものならば、それがどんなものであったとしても誇るべきものとなりその人の人生を形作る。 この映画では、色々な人の選択とそれによって得たものと罪が描かれます。
スクリーンに釘付けの二時間半、深い話
主演は小栗旬だが、登場人物のそれぞれにドラマがあり、背景を知れば知るほど、悲しくて重くて切なくて、深掘りが凄く深くて考えさせられた。話の展開が分かりやすく、長時間があっという間だった。私が学生時代の昭和の大事件が題材となった映画である。コロナ禍でありながら、桜の会や不倫が話題になっている、平和ボケの日本に今私たちは生きている。昭和の日本は、戦争や学生運動などあって、平和でない時期を乗り越えてきた。そんな矢先に、この大事件が発生した。昭和の青春時代を思い出しながら、スクリーンを見ていた。いい映画でした。
その時代を知る者としては
グリコ森永毒入り事件、懐かしい。事件そのものより、あのキツネ目犯人の不気味な似顔絵がトラウマのように脳にこびりついている。連日のテレビニュースで映ったあの似顔絵は、(自分を含め)当時の子供には心地悪い記憶となっているだろう。 原作は読んで無いが、あくまでも推理としての犯人像と犯罪目的は面白い説だなと納得。しかしあくまでも想像。だからこその実会社名を使わないところ、なんか不自然というかムズ痒くスッキリしない感じ。いっそ、あくまでもフィクションとしながら、グリコと森永の社名のままの潔さが欲しかった。 小栗旬の抑え気味でありながらのふて腐れ感とその後の躍動感の演技は、近年で一番ハマって見事。 上司役の古舘の存在感と演技力は秀逸、本当良い味出す役者だと再認識。 しかし星野源がね。あくまでも私的な評価だが、涙したりや感情を剥き出しにしての演技も、やはり素人っぽいというか下手なのは全く変わらないなと。彼の女性ファンには怒られそうだが。
イラストで見た、キツネ目の男が動いている…
昭和の事件を元に、当時の子供が親世代になった今が、物語の根幹となる。 フィクションだ、と言い切れるのか。 日本のどこかで犯行に声を使われた子供が、実際に苦しんでいるかもしれない。 そう思うと、鑑賞後の思慮はこの映画に対してでは留まらなかった。 物語の中では、自らが犯罪に携わったことを家族を持ってから知った者と、携わった直後に知った者に分かれ、 その時期の差は大きな運命の境目になる。 生活境遇、立ち居振る舞い、衣服、言動… 不遇な方を演じた俳優がとにかく名演技で、心を掴まれた。 星野源は何の役をやっても主張が強くなく、 どの役でも違和感なく安心して観られるので良かった。
墓場まで持ってく罪と覚悟
なんとなく気になってフラッと鑑賞。 グリコ・森永事件の時は、私は生まれたてだったからほとんど記憶にはなくて、こんなことがあったのかーという、ほぼ初見の知識。 フィクションだけど、すごくリアリティがあって、これほんとにフィクションなの??っていう印象だった。 小栗旬はこういうキャラクターがすごく合ってて、好感度があがるw 主人公が2人に分かれて始まるところも、最後の結末に至るまでの人間関係の描きかたもリアルに感じた。 どんでん返し!みたいなテンションのものではない分、人間関係と感情の映し方に没頭したのかなー。 フィクションだけど、改めて、親は親の人生が、子供には親の人生ではなく子供の人生があるって再確認させられた。 罪の声は、墓場まで持って行くべきなのでは…?それをわざとじゃないにしろ継がせてしまうのも、また罪のひとつに思っちゃう。苦しみが待つ罪なら、ね。 スタッフロールで脚本が野木さん(逃げ恥、アンナチュラル)だったことを知り、はー、さすがの人間模様!って納得w 脇を固めるみなさまの演技力にも拍手だった!
この罪を誰が背負う
泣きました。悲しくて・・・。 原作は3年前に読み、なんとなーく覚えている程度で観ました。 サスペンス、推理物の重い暗い流れ。 ラストの「え、それだけであの事件を起こしたん?」という無責任感と、だから余計に哀れでやるせない気持ちに、また涙・・・・ 長い原作、沢山の登場人物を、よくここまで脚本し描き切ったと驚きました。 3人の子供の運命がこんなにも・・・・という悲哀、悲しすぎる。 いい映画でした。
たくさんの人に見て欲しい
仕事の休みがとれたので映画でも、と軽い気持ちで観に行きました。 どの俳優さんが好きだから、という訳でもなく、ただ宣伝を見て、見応えのある作品だという気がしたので。 この映画にしてよかった。最後まで、引き込まれて、贅沢な時間を過ごせました。 子ども時代を大阪で過ごし、この事件があった世代です。キツネ目の男、そういえばそんなのあったなと懐かしさもありましたが、知らない人や若い方でも十分楽しめると思います。 色々と考えさせられる、深い内容でした。 関西弁、京都弁も心地よく、脚本、キャスティング、演技どこをとっても上質だったと思います。 センセーショナルな内容とは対照的に、抑え気味?な演技がかえって自然で、本当にあったことを見ているような、不思議な感じになっていきました。 思いがけず、火野正平さんが出ていらして、スクリーンで見られたのは、とても嬉しかったです。 高校生の子どもにも、勧めたいと思います。 たくさんの人に見て欲しい。
声の罪を背負っていく
観てる間ずっとヒリヒリしていた。 前半は登場人物の名前とストーリーを追っていくのに必死だったけど、後半、点と点がつながり線になる感覚、大変引き込まれました。 関係ないですけど最近の映画館は換気の為寒いですね、長丁場だったので足元が冷え冷えになりました。次からは何か対策していこうと思います。
ダークナイトシリーズを何故か思いだした
正義とはなんなのかと、問われる作品でした。 無知識で鑑賞しましたが、コロナの影響関係無く、ここ数年の海外の映画より観た後も忘れる事のないような良作品です。 今まで海外映画ばかり鑑賞していましたが、この作品はおすすめです。
今もどこかにいるかも知れないその子供
フィクションではあるものの、内容は実際に起きたグリコ森永事件そのもの。 142分の長い映画であったが、全く長さを感じずに、一つ一つ解明されていく事件の内容にじっくりと見入ってしまった。 これを映画館で見ることは、大画面で見るということよりも、静かな環境で雑音なく集中して見れるという意味で、映画館で見て良かったと思えたし、映画館で見るべき作品だと思いました。 当時、全国的な大事件となり子供であった自分にも事件の記憶があるが、主には関西方面の事件であり関東圏の自分には特定のお菓子を買わない様にしたくらいで詳しい内容や怖さとかの記憶も特にもうなかったが、その大事件がなぜ未解決に?というところの興味で鑑賞。 犯人から送られた子供の声の年齢をからすると自分も同世代くらいだろうと思うと、自分なりにも思うところが出てくる。 そして、映画の中でもまずウィキペディアで事件を調べるところから出てくるが、自分もグリコ森永事件を調べたくなって後で見てしまった。 この映画では実際関わった子供から紐解かれていくのだが、実際の事件はそうでないことから、実際とは違う創作部分もあるが、色々と納得いく部分もあったしリアリティを感じた。 今もその当時の子供がどこかにいるのなら…(ネットで調べると普通の私でも、実際の事件の子供がどうなのかは多少なりとも情報を得られるが)、この映画では星野源さん演じる子供と別にいる子供、どちらかというと別の子供の辛さ、悲しさがとても印象的で心に残った。
私と同世代の人なら誰もが知っている、あの昭和最大の未解決事件がモデ...
私と同世代の人なら誰もが知っている、あの昭和最大の未解決事件がモデル。 警察をおちょくる様な犯行声明文が連日報道され、大阪や京都そして滋賀などよく知る場所が舞台になった事件なのでとても印象に残っている。 3人の子供の声を録音した犯人からの脅迫や指示の音声テープは現実の事件でも使用された。 当時中学生だった私は、この日本初の劇場型犯罪の報道を半ば面白がって見るばかりで、犯罪に利用された自分とそれほど歳も違わないであろう子ども達の境遇に思いを馳せる事は出来なかった。 訳もわからないまま、あるいは記憶にも残らないほど幼い頃に録音された自分の声が日本を揺るがす犯罪に利用され、今もその音声データが残り続ける現実。 そしてその声の持ち主は今、私とそれほど変わらない年齢に達し、知らないうちに犯罪に加担していた事実を誰にも言えず罪の意識に苛まれながら、何処かで暮らしているかも知れない。 映画はその声の持ち主のひとりと、既に時効を過ぎたこの事件を再取材する新聞記者とが交錯することにより真相へと近付いてゆく。 静かな中にも強い意志が見える星野源さんの演技は自然体で、主張を極力消した小栗旬さんの演技も好感が持てた。 また梶芽衣子さんや宇崎竜童さんなど脇を固める俳優陣がどれも個性的で、登場人物が多いんだけど混乱することなく鑑賞できた。 とりわけもうひとりの声の主である生島聡一郎役の宇野祥平さんの演技は鬼気迫るものがあり、現実の世界にもこんな苦悩を抱きながら生活している声の主が何処かに存在しているかもと思うといたたまれない気持ちになる。 不本意に犯罪に利用された声は日本を震撼さす大事件をおこし、その声の持ち主の人生を大きく狂わせ苦しめた。 しかしその声が事件の解明につながり、大切な家族に会うきっかけになり、形見にもなった。 現実の世界でも既に時刻を過ぎた事件だけど、映画の結末のような日が訪れないとも限らない。 このような卑劣で多くの人の人生を狂わす犯罪が二度と起こらないことを只々祈る。
映画の日。
小栗旬と星野源。レビューの高さ。で観に行きました。 前半は…淡々とした感じから、後半は…ここから来るのか~とか、罪の大きさを考えさせられてました。 星三つは、作品的には良いとは思うけど…私の好みの映画ではなかったので。
懸命にあの頃を思い出して
昭和末期の日本社会を震撼させたグリコ森永事件をベースに製られた本作 小栗旬・星野源等のキャスト陣の好演により、事件の全容が再現され、そして、浮かび上がる警察組織やマスコミ、更には日本社会そのものの問題点を指摘し、凄く見応えがあるし、考えさせられる事が沢山あって、個人的には本作の構成等に、何一つ減点ポイントを見つけ出す事はできませんでした この事件に関わり、人生を狂わされた全ての人々の姿に、終盤には思わず泣き出しそうになりました 子供達を悪用したオトナ達もまた、時代に翻弄されたりして大変つらい人生を送っていた しかし、だからと言って、このような凶悪な犯罪を犯していいという事にならない 日本社会の問題点を少し浮き彫りにするこの事件とほぼ同時期に発生した3億円事件やその約10年後に発生したオウム真理教の事件等を顧み、自分はどう思っていたのかを思い出していた グリコ森永事件が発生した頃の私は小学生になったばかりで、まだ社会の右も左も分からず、オトナ達が大騒ぎするのが理解できなかった 90年代に入り、中学生になって、社会のイロハのイのほんの少し分かるようになった頃から、テレビではこの事件の検証番組が盛んに放送されるようになり、ようやくこれが大変な事件である事を自覚しました しかし、沢山の検証番組が放送されたが、この事件も3億円事件もオウム事件も結局、犯罪者達の異常性ばかり強調されて、彼らがなぜこのような事件を犯すに至ったのか等、日本社会の病気の根っこを掘り出すような議論を見聞きする事はあまりなかったな オウム事件の時は麻原彰晃達の異常さ、凶暴さ・教団と戦った人々、事件の被害者達のつらさをクローズアップする報道ばかりが目立ち、教団がなぜ若者達を信者にしていき、大きくなっていったのかを見出す議論はあまりなかったし、3億円事件やグリコ森永事件もさほど議論が深まる事はなかっただろうな~ 何しろ、程なくして、あのバブルが始まり、世の中は浮かれムードが始まったのだ だから結局、同じような性格の事件が繰り返し起きてしまう そんな日本社会の問題提起となるグリコ森永事件が発生して30年余りが過ぎ、忘れ去れつつあったのを本作が、また思い出させてくれた事に、深く感謝を申し上げなければならない! できれば、本作をもう一度映画館で観たいのだが、仕事が忙しい等の事情もあってそれはもう叶いそうにないが、ブルーレイ等がリリースされたら必ず買って、この事件を忘れてしまわないために何度もチェックしたい、しなければならないと思います!
大変、いたたまれませんでした
宇野祥平さんの演技が、迫るものがあり、嗚咽が漏れてしまいました。 本当にそんな人生を歩まれてきた方なのではと思ってしまうほどでした。 星野源さんが言葉に詰まってしまう、その気持ちが痛いほど分かりました。 梶芽衣子さんが出てらっしゃるので、ちょっとやそっとの映画ではないなと そりゃあもう確信ですよ。なかなか深かったです。
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