「過去の事件を過去だけのものとしない映画」罪の声 nanairoさんの映画レビュー(感想・評価)
過去の事件を過去だけのものとしない映画
あれだけ情報量の多い原作を140分の映画として脚本にまとめる野木さんの素晴らしさと、それを映像として生きたものにする土井監督、役者の方々がとても素晴らしかった。
過去の未解決事件をモチーフとしているフィクションの原作だが、まるでその結末が実際のものではないかと思うリアリティは映画でも伝わってきた。
この映画、原作の素晴らしいところは、今日もどこかで事件はおきていて、被害者と加害者がいる。
そして、その周りには家族や恋人、友人と関わる人々がいて、悲しみや苦しみは被害者と加害者だけのものではなく、今という時間だけのものでもない。
悲しみを背負い、未来を生きる人がいる事を私達はどう受け止めるかを考えさせられる。
もし、自分の幼い頃の声が事件に使われていたら、
もし、自分の家族だったらと考えたら中盤から終盤にかけては胸が苦しくて度々、涙が溢れた。
紛れもなく、過去の話で終わらせない素晴らしい今の映画だった。
役者の方々の顔をうかべながら、また原作を読もうと思う。
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