ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒のレビュー・感想・評価
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「トイ・ストーリー4」「アナ雪2」を抑えてゴールデングローブ賞を受賞した、膨大な作業の結晶スタジオライカ最新作!
まず本作は、ストップモーション・アニメーションで最高峰のスタジオであるライカの最新作です。
個人的には、ゴールデングローブ賞では「アナと雪の女王2」を推していましたが、本作を見て納得しました。
やっぱりスタジオライカ作品は素晴らしい、と。
そもそも「ストップモーション・アニメーション」とは、想像を絶するほどの作業量から生まれます。スタジオライカ作品の場合は、キャラクターの人形を1体1体作り、さらには、そのキャラクターの表情を必要なだけ膨大なパーツを作り(例えば、主役のライオネルのパーツは、顔だけで3万9000通り!)、それらを1秒間あたり24コマも動かして撮り続けるのです。
この古くて新しい「ストップモーション・アニメーション」の歴史において、本作は史上初となるゴールデングローブ賞で最優秀長編アニメーション映画賞を受賞しました!
(アカデミー賞では「トイ・ストーリー4」が受賞しました)
声優陣も豪華で、主役の「ライオネル」はヒュー・ジャックマン、「Mr.リンク」は「ハングオーバー!」シリーズで世界の笑いを誘ったザック・ガリフィアナキス、そして後半で活躍する「アデリーナ」は「アバター」や「アベンジャーズ」シリーズのゾーイ・サルダナが担当しています。
強いて言うと、本作でマイナス要素があるとしたら、ファーストルックであまり引きがない面があるのかもしれません。(実は私は、未発見の生物である「Mr.リンク」のデザインに、当初は興味を持てませんでした)
とは言え、第1作目で「コララインとボタンの魔女」という大傑作を作り上げたスタジオライカ作品です。やはり優れた作品であるはずで、実際に見てみて良かったと思いました。(ストーリーはもう少し凝っていると、なお良かったと思います)
個人的に危惧するのは、このままスタジオライカのファン層が増えていかないと、せっかくの匠の技の火が消えてしまうかもしれない、ということです。本作で「ストップモーション・アニメーション」の良さが日本で広がっていけるのか注目したいです。
安定のスタジオLAIKA
映像美だけで見る価値あり
これがストップモーションとは
主人公は進化論を否定するイギリス貴族をギャフンと言わせるため、雪男を探しに出かけるが、ビッグフットは一人が寂しいと、主人公を呼び寄せたとのこと。
そこでインドのイエティを探しに行くのだが・・・。
あまりになめらかな動きで、とてもストップモーションとは思えない素晴らしさ。
パペットアニメでアクション多いのは凄い!
細やかな仕草から顔の表情までとても丁寧な作りになっている。パペットアニメーションでここまでの表現ができるとは驚きです。しかも、アクションシーンが多くどれも迫力のあるもので見ごたえがある。しかもそのアクションシーンの全てがとてもパペットアニメとは思えないほどの丁寧な動きでまるでCGを見ているかのような感覚になる。
ただ、欲を言えばもう少しパペットアニメぽさを残してもらいたかったかなと思う。例えば、ひつじのショーンではビニールテープを使って水を表現していたり、支えの棒が見えていたりつるし紐が見えていたりそういったところがパペットアニメぽさになる。そういった抜けている部分をあえて残すことで、手作り感が見えてきて、よりすごい作品を見たと言う喜びにつながるのではないかと思う。
君の名は
字幕を書きました
ライカファンですが本作は地元で未上映の為、海外の動画に拙稿な字幕をあて拝観しました。
というか、訳す為に繰り返し止めては再生を繰り返してエンディングまで5日程かけたので、普通に見ていると気づかないであろう事をとても多く感じました。
本作の芸術的真価は疑いようは無いですが、撮影方法は手段でしかなく、それが映画としての価値を決めるものではあってはなりません。やはり物語あっての映画です。
と、前置きしたうえで、私はこのストーリーはとても素敵だと思います。ですが、あまり評価されていないのは、観る側の想像力の欠如に起因してる気もします。
多様性の無い時代に、名誉欲、と言えば聞こえは悪いのですが、貴族として生まれた者がそれを求めるのは命題であり当然。まして前人未踏の偉業を達成し、名実ともに価値ある者になろうとするのは立派な事なんです。
そして、現代のように容易に情報は手にはいらず、何が真実で作り話かもわからない、謎がロマンであった時代に、それを信じて追いかける孤高な人物像はとても魅力的に映りました。
その行いは道楽ではなく、当時の歴史学的見地においては非常に意義深い事でもあります。
にもかかわらず愚昧に映るのは、演出であったり、フロスト側の学者が皆無で、対立するダンセビーというフィルターを通して見さされてるからであって、彼がバカだからではないです。
また、我々が現代人だからであり顛末を理解しているからでしょう。
彼の性格において、他人への共感力が薄いのは、他人にへつらう必要のない環境で育った結果であり、その今っぽくないユニークさがうまく現れていると思います。
男女間のロマンスにおいても、とてもいい距離感だったと思います。
人形劇ですし、濡れ場などないわけですから、触れるか触れないかギリギリの所で二人の揺れうごくピュアな心情を描いてたのは効果的であり好感ももてました。
すれ違う二人の心のうつろいは、ストップモーションアニメのすばらしさと同等でとても繊細に描かれており、その細やかな表情の変化も人間以上に豊でした。
映像的な見せ場は数多いですが、動きも込みで楽しかったのは、船の中で男女2人が会話をするシーン。船の揺れにあわせて物や立ち位置が変わるのがコミカルで楽しく、『海の上のピアニスト』の演奏対決シーンを彷彿させました。
サスカッチ(ビッグフット)のデザイン(とくにイラスト)が個人的にはとても好きなのですが、後半にも満足のいくキャラクターやシーンが出てきたので最後まで飽きずに観られました。
難点というか、首をかしげたくなったのは、価値観がどんどん変わっていくところでしょうか。
何かの象徴的な場面では感動的な音楽が流れるのですが、話の進行にともないそれを否定する場面も出てきてまた感動的な音楽が流れる、というのが何度かありました。
終わってみれば作品としてメッセージ性に一貫性がないなーとは感じましたが、観てる間は価値観が上書きされていく事に成長を感じるので、否定的に評価することでも無いかとは思います。
エンドロール後にはクボまで・・・
あ、ストップモーションアニメだったんだ・・・と、エンドロール時のメイキング映像であらためて気づいた。普通はぎこちない動きがあったりするのに、動きがスムーズ過ぎる。ピクサーなどの3DCGと言われてもわからないほどの良質アニメーションだったし、海水などを実写を取り入れたり(多分)するのでリアルな迫力があった。
貴族のクラブがあったりして英国的ながらも、舞台となっているのはアメリカ。ライオネル興がビッグフットから手紙をもらって、絶滅危惧種と思しきUMAのスーザンに出会う。彼を殺そうと付け狙うステンクや元恋人のアデリーナとともにスーザンの親戚を探す旅に出る物語。
とにかく映像は凄い!ドタバタ珍道中みたいな雰囲気はどの世代をターゲットにしているのか全くわからず、部下を冷遇する高慢で不遜な主人公にも感情移入できないのが難点か。これが(貴族に憧れる)平民の主人公だったら共感できる人も多いんじゃないかと思ったりもする。イェティに対してもチベット人に対しても何だか人種差別してる気が・・・
とても丁寧に作られている。
嫌いじゃない。
ストップモーションは確かにすごいけど
※後半に少々ネタバレも含みます。
技術面では確かにすごいと思う。
すごく手間暇かけてるんだろうし、膨大な費用と時間がかかっているんだろうなとも思う。
ただ、やっぱりストーリー重視してしまう人間からすると物足りなさが目立ってしまう。
子ども向けアニメとして観たらいいのかもしれないけど、あえて喋らない方が面白いシーンでべらべら喋られたり、「おっ、賢いな!」と思う行動があるかと思いきやしばらく後に「なんでそんなポカするん?」と言いたくなったり、キャラクターの性格に一貫性が無いように感じられてしまった。
そもそもの話、ミッシングリンクにあまり愛着が湧かない。
ひねくれ主人公のお供としては素直すぎるというか、ひねりが無さすぎると思ってしまった。
未亡人の女の人と主人公の距離の縮め方にも少々違和感が…。
愛する亡き夫を想っているのかと思いきや…うーん?
観るものが他にないからこれを選んだけど映画館でわざわざ観なくてもよかったな。
ストーリーは二の次三の次
「毒」部分が強すぎるのが気になった
過去の『コラライン』や『KUBO』と比べて、動きの滑らかさや物の質感、小さな表情など、ストップモーションアニメなのかCGなのかもうよく分からないほど、クオリティは明らかに上がってる。
その表現の豊かさには感服するんだけど、今回は少し演出の「毒」が強すぎた感じ。
ディズニー・PIXAR・ドリームワークスなど昨今のアニメ作品がかなり滅菌されていることに感化されているつもりはないのだが、特にジョークの表現において下品さや残酷さ、乱暴さが物語全体の雰囲気から浮いていた様に感じて、飲み込みにくかった。
正直なところ、ヒュー・ジャックマンの声優ぶりはさすがで、リンクさんが登場するまでのハードボイルドな活劇の雰囲気が良かっただけに、必要以上に流れをコミカルな方向に「ハズし」てくるリンクさんには感情移入しにくかったという部分もある。
※以下ちょっとネタバレ
最後のつららに掴まって落ちるか落ちないかっていうアクションシーンも、すごく表現が巧みでドキドキしながら見てたのに、結局あの悪役が落ちたらすぐ「ハイ、よじ登れました」って、そりゃないでしょ?って、感じ。
あと、名声ばかりを求める主人公が改心するくだりも何だか弱い…というか、「ホントに分かってる?」って感じ。
そんな細々したところにあちこちトゲトゲがあって、なんか引っかかる感じが最後まで続く感じで、十分には楽しめなかった。
ビッグ・フットの大きな靴
ストップモーション・アニメと言われてもにわかには信じがたいほど動きがなめらかで、アングルも変幻自在だ。水しぶきとかどうやってコマ撮りするのか、見当もつかない。顔のパーツだけで10万6000種類作ったというのも気の遠くなる話だが、その注力が作品の価値にどう結実したかが問われるところ。
オープニングからエンドロールまで、手を抜いたところがなく、極めてウェルメイドな作品であることは間違いない。人物の造形のデフォルメもほど良く(なぜみんな鼻が赤いのかはナゾだが)、ストーリーもわかりやすい。氷の橋の活劇など実写だったらそうとう無茶な展開だが、アニメーションと思えばロードランナーとコヨーテの攻防レベルで許容範囲だろう。
ライカは「コラライン」が大好きで、「KUBO」には乗れなかった。技術を向上させるのはいいけれど、これ以上突き進むと普通のアニメーションと大差なくなるような気がする。ストップモーション・アニメならアードマンの「ウォレスとグルミット」ぐらいがちょうどいいかも。
それでもアカデミー賞を争って敗れた「トイ・ストーリー4」よりはずっと好き。
やはり好きなやつだった
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