風の電話のレビュー・感想・評価
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岩手県大槌町に実在する「風の電話」がモチーフ。東日本大震災の津波で...
岩手県大槌町に実在する「風の電話」がモチーフ。東日本大震災の津波で家族を失った少女の物語。8年経っても行方不明のままの家族のことを心に収めきれず、孤独や悲しみとともに、自分をも責めてしまう。大槌町までの旅での出会いの中で、少しずつ、心が開かれていく。食事の場面が何度も織り込まれ、何か、生きることと食べることの結びつきを感じさせる。ただ、最初、映画のペースがゆっくりすぎて辛く感じてしまった。
想像することしか…
ずっと一緒にいられると思っていた人達と営んでいた日常が、突然断ち切られてしまった喪失感を悲しみをどう生きていく自分の中で折り合いをつけていけば良いのか、そのような経験をしたことのない私は想像するしかない、本当に理解は出来ないだろうけど。 少女のロードムービーという形を取ることで、クルド難民も含めて悩みや問題を抱えながらもどっこい生きている様々な人々との触れ合いを自然に描く事が出来ていると思う。それが知らず知らずの内に少女に及ぼしていく影響も。主演の女の子は長回しにも最後まで眼をそらさせないところが立派。 追記:不謹慎ながら楽屋落ち―『任侠学園』の親分と若頭とが再度共演しつつ此処では全く違う芝居をしているのが役者だから当たり前ながら面白い。
乗り越えて行くこと
駅で知り合った少年と、風の電話に向かう坂道で、曇り空から太陽が差してくる場面が印象的だ。 ハルに、森尾が、 「死んだら、誰が家族のことを思い出してあげるんだ」と言う。 森尾は、原発が多くの人を不幸にしてしまったことを自分の責任のように感じ、自身も家族を亡くしたことによって、ずっと居場所を探し続けていたのだ。 森尾がハルに言った言葉は、自分自身に向けた言葉でもあったのだ。 坂の途中、ハルが少年に言う。 「お母さんに電話しなよ!心配してるよ!」 頼りなかったハルが、ちょっと大人になった。 一歩踏み出すのに時間がかかっても良いじゃないか。 もしかしたら、二歩目も同じかもしれない。 でも、確実に前進してるのだから。 「今度会う時は、ハルはお婆ちゃんになってるかもしれない」 電話のメッセージは生きていこうする決意だ。 家族は海の底や空の上にいるのではない。 ハルを近くで見守っているに違いないのだ。 僕は東北の出身ですが、山側なので震災の被害はありませんでした。 両親によると停電程度で、ライフインフラに問題はなかったと。 ただ、友人や知り合いの中には、親しい人を亡くした人がいたり、家が全壊認定で疎開せざるをえない人もいました。 好きだった中華料理屋も寿司屋も流されました。 中には、津波が来たのでトラックの荷台に逃れたら、それが船のように漂い、横転することなく内陸まで運ばれた助かったという人もいました。 ただ、思うに、作品の中に散りばめられる、ボランティアをしていた外国人が入管施設に収容されてしまった話や、疎開した子供が原発いじめにあったという話は事実なので、一体この国はどうなったんだと。 舞台挨拶付きの上映回を鑑賞しました。 ベルリン映画祭では、若者に向けたテーマの映画として上映されるよう。 日本でも、若者が観たら良いのに。
普通の映画としては観にくい
ドキュメンタリー×ロードムービー。 慣れないとちょっと違和感。 ロードムービー部分は、ストーリーがあって演技やセリフがある。 ドキュメンタリー部分は、台本がないような感じ。 2つの区切りがなく普通に切り替わっている部分もある。本当の話なのか物語なのか分からない。 ただ、ハッキリ切り替わりが分かる所もある。急にセリフっぽくなったり、演技っぽくなる所がある。 まるでミュージカル映画でいきなり歌い出す感じ。慣れるまでは違和感がある。 モトローラは可愛らしいが、演技がどうなのだろう。素人っぽい演技はよかった。ボソボソっと感情なく喋るシーンがよかった。最後の長ゼリフもよかった。でも、感情が爆発する2シーンは冷めてしまった。ただ、この流れで急に?と思うところなので、演技の問題ではなく、演出の問題かも。 映画についても、予備知識がなかったので、はじめはドキュメンタリー部分が気になる。 岩手の津波 福島の原発事故 広島豪雨 ヒロシマの原爆 難民受け入れ クルド人問題 など、詰め込みすぎ。 もっと焦点を絞った方がいいかと。 時間が経つと逆に、ロードムービー部分が違和感。事実にもとずく話は演技や演出なくても、単純に心に響く。涙も出る。が、急に演技が入ってくるとら冷めてしまう。 何とも観かたが難しい映画だった。 単純に、震災から10年経って、こういう映画が普通に観られるようになったことは良い事だと思うし、「Fukushima50」(予告だけしか観てないけど)のようにドラマチックなストーリーでは無い、普通の人々の体験が知れることには意味がある。淡々と描かれているのがよかった。
震災からもうすぐ10年。その日本から、ついにそしてようやく発信する。世界中のありとあらゆる傷心の人々へ捧げる歴史的名作です。
これからも世界中に起こるであろう天災と、そこに立ちすくむしかない自然の一部としての私たち、人間。 そして、復興。 それは、現実に家族や住む場所を失ったり追われたものが、簡単に発することのできるような言葉ではありません。むしろ客観的なよそよそしささえ想起させます。失ったという事実はもう取り返しがつかないのであり、そこにあるのは復興などではなく、あきらめとその先にある昇華でしかないからです。 どう乗り越えるか。それだけが事実です。 その意味で、劇中の少女は、そのことを意図せずに、乗り越えよう乗り越えようとして、故郷の現状を確かめずにいられなかったのだと思います。家族の不在も含めて。家族の不在と故郷の消滅を、確かめたかったのだと思います。自分の目と心で。それは、決して後ろ向きの旅ではなく、まさに成長と進化への道程です。 ひとしきり泣いてどうしようもない悲しみを噴き出すことを自分に許した後、湧き上がってきた生きることへの希望と決意。静かではあるけれど、ささやかな自虐の笑みまで湧き起こせる力さえ自身の中に感じます。それこそが乗り越えた瞬間なのかもしれません。 ラストの10分間はまさにその体験を、少女と共にすることになります。モトーラさんは、恐らく演技ということを忘れ、劇中のハル自身になっていたことを確信します。演技という世界があるならば、これ以上の演技と表現が、存在するでしょうか。 もはや「鑑賞」などではない。傷つき閉ざされた心が、そして魂が、昇華されていく。その瞬間をモトーラさんや他の役者さんを通して「体験」する映画です。 震災後10年。自然の驚異と戦い続け、そして共生を模索するこの日本から、ついにこれだけの発信をすることができたことに、同じ日本人として誇らしさまで感じます。制作に携わった皆さん、ありがとうございました。
心に残るロードムービー
地元広島のロケ地と監督に惹かれ 行って来ました 立ち上がりは少しぎこちない感じはしたものの 直ぐに、食い入る様に引き込まれました ロケ地で即興的にセリフを役者さんが演じてるのが 危うさ、緊張感、細かな動作に現れ、この映画の世界観に リアリティを持たせていると思います キャスティングが素晴らしかったので、 あっと言うに時間が過ぎエンディング 数年ぶりに泣けました、、、 隙間が、丁度いいので また見たくなる 心に残る 良作だと思います
虚構と現実の見事な融合
凄い演技・パフォーマンスだなと思うところと、どこがドキュメント・真実でどこがフィクションなのか分からないところが入り乱れている感じがして、かなり“あの日”を思い起こすような感情に支配された。だから、あの日流れた涙が自然と流れた、悲しいとかいう単純なものではなく、否応なく目から溢れるものを抑えきれないといった部類の感情が蘇った。 主演の演技は驚くほどにナチュラルで素晴らしく、脇で支えるベテラン陣も自分をさらけ出してるかのような力感で素晴らしい。 とにかく大人しく、淡々と展開する物語であるために、すべての人の絡み合いやパフォーマンスが心を引きつける要素であった。 映像そのものも印象深いカットが盛りだくさんで、福島出身の名優とか雨の車中とか家族との夢想とか震災の遺構とか少女の絶妙な表情のバストショットとか、追憶やあの日を追うだけではない何かがあった作品だと感じることができた。 きっとこれからもあの日を題材にした作品は数多く生まれるに違いないと想像すると同時に、その中でもこの作品は紛れもなく多くの感情を揺さぶるに違いないと思いました、最後のメインはちょっと間延びした感じがしたけれど─。
一人旅で大人へ
豪華俳優陣を配して自ら苦悩に立ち向かう少女のロードムービーような展開ですが、超自然なドキュメント風な展開が好みに合うかどうかが鍵を握りそうな作品。 個人的には何処かひねりが欲しいというのが率直な感想で、淡々と進んでいると突然場面展開して次の話へ、でも展開や流れはどれも似たり寄ったりなので睡魔に襲われる。何とか堪えてエンディングにてようやく風の電話だが唐突過ぎて唖然。 モトーラちゃんの不思議な雰囲気だけが気になる作品でした。
心の傷の癒し方のヒントをおしえてくれる映画
心の傷はなかなか消えないものですが、ハルちゃんのように目的もなく旅をするうちに、様々な人や風景と交流していくうちに心が解放されていくのかもしれません。故郷へ帰る長い時間のなかでハルちゃんはやっと自分の感情に向き合えましたね。それが風の電話なんですね。
そこに行けば、言葉で解放される…
舞台挨拶付き試写会に参加し、撮影には台本らしい台本がなかった…という事を知り、では、あの電話ボックス内でのセリフ、他はハルを演じたモトーラ世理奈さんが、その場で創作したものなのか…と、あまりに自然だった事に驚くと共に、『当事者の身になる』事を体現してくれた、素晴らしい女優さんだな〜と思いました🎵 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 『言葉』の大切さ、『会話』の大切さを思い出させてくれ、傷つき途方に暮れ、前進出来ないでいる者達に、未来への一歩を踏み出す背中を押してくれる、こんな手段=『風の電話』が、多くの人々の『同意』を得て存在している事が、奇跡にも思えました🎵 そして、その事を思い出させ又、知らしめてくれる本作品は素晴らしく、オススメの映画です❣❣ 139分の上映時間も、あっという間でした(≧∇≦)b
ロードムービーにしては・・・
完成披露試写会で鑑賞。 岩手県大槌町に存在する風の電話と呼ばれる天国に繋がる電話をモチーフにしたロードムービー。 ロードムービーにしてはテンポがゆったりしてるのと、モトーラ世理奈演じるハルのキャラクターに共感出来るか出来ないかでこの作品の評価が分かれると思います。
感性のままに映画を観れたら、とても幸せ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
モトーラ世理奈ちゃん。 この子は天才なんだと思う…。 彼女が何か一言、発しようとするたびに、その子の言葉に耳を傾けたくなる…。 すごく不思議な子(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`) 感性のままに会話をしているのかと思いきや、すごく時間をかけて慎重言葉を探そうとする時もある。 そんな彼女に、どんどん引き込まれてしまうのは、やっぱり彼女が天才的な演技力を秘めているからではないでしょうか。 そんな彼女が今回演じたのは、震災で家族が行方不明中の高校生。 家族を失い、広島の叔母の元で生活していたある日、叔母が突然家で倒れている姿を発見する…。 震災で突然家族を失ったように、また叔母も失ってしまう恐怖に駆られた彼女は、突如家があった岩手に家族を求めて旅立つ…。 知り合いもお金も何もない中、街で偶然出会う人たちに助けられながら、旅を続ける姿がか細くて消えてしまいそうに脆くて、すごく心配になる。 でも、街で出会う人がみんな親切だから、とても救われるけど (●´ω`●) 彼女の他に、西島秀俊さんの演じた、福島で家族を失った元原発職員の男もとても印象的。 旅先で出会った2人ですが、震災で家族を失ったもの同士、お互いが心の底に悲しみを背負いながら生きている…。 彼女が岩手に向かう旅をサポートする姿もとても頼もしく、支えになっていました。 実は監督曰く、台詞が殆どアドリブというからビックリ! 与えられた設定だけを頼りに、お互いがその時の感情のままに会話していく姿がとても新鮮でした。 まるで一つのドキュメンタリーを観ているかのような感覚だったので、余計にモトーラ世理奈ちゃんの自然体の演技が光っていました。 西島さんの物腰柔らかな雰囲気が、また彼女との旅を温かなものにしているから、観ていて救われた気持ちになったのは確か。 そしてなんと言っても、この映画の見所は、最後の電話ボックスでのシーン。 風の電話とは、電話線の繋がれてない電話ボックスで、天国にいる想いを伝えたい人に向けてメッセージを伝える場所。 この電話ボックスには、実際に3万人もの人が訪れて、天国へ言葉を送っているようです。 震災で家族を亡くした人たちも、この電話で救われて人はとても多かったはず。 自分の張り裂けそうな不安や思いを、言葉にできずにため込んでしまっている人がどれだけいるか…。 溜め込みすぎると、心が崩壊してしまうから、その前にこの電話ボックスで、自分の心の叫びを言葉にすることってとても大事だと思います。 言葉にすると、自然と自分への戒めになるから言葉って不思議。 言霊っていうけれど、やはり言葉にする事で、天国にいる家族にもその想いは伝わるんじゃないかなと思いました。 気持ちを吐露する事で、彼女自身が生きようとする強い気持ちを持てた事が何よりも嬉しい! ╰(*´︶`*)╯♡ こういう、心の拠り所はこれから先もずっと必要なものだなと思いました。 最後に…。 年末最後の試写会で、豪華俳優さんたちの舞台挨拶に参加できたことに感謝! ベテラン俳優に囲まれた、モトーラ世理奈ちゃんの初々しさが可愛らしい。 そして、周りの大人たちが彼女の優しい雰囲気に包まれて、一体となっている感じも、とても和やかで素敵でした。 素敵な試写会をありがとうございました。 素敵な映画をありがとうございます (〃ω〃)
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