劇場公開日 2020年1月24日

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「「行方不明」、それでも生き続けなくてはならないんだ」風の電話 chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「行方不明」、それでも生き続けなくてはならないんだ

2020年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

阪神淡路、東北以外にも、たくさんの地震や台風で数多くの方々が亡くなられ、行方不明になったというニュース  そういったニュースのそれぞれに、大切な人を失って人生が大きく変わった人たちの存在を思います  何人が犠牲になったかでその程度が推し量られるけれども、生き残った人たちが背負っていく重さ、監督はいろいろと取材を重ねられる中で、観る私たちに伝えたかったことがたくさんあったのだろうと思います
時間が経てば、次のニュースや事件に関心が移るのだけれど、福島のこと、クルド人のこと、悲惨な状況を理解しつつも一方で彼らを敵視・差別するような言動を持っている人々の存在がとても苦しく思いました(今の中国で同じ国民同士が特定の地域の住民に対して、非難・批判をしていることと重ならないでしょうか)
同級生のお母さんに出会って生き残ったことに罪悪感を感じたこと、避難したはずの広島で更なる苦難に向き合ったこと、高校生の彼女がどうやっても自分の力だけでは切り開いていけない「枷(かせ)」の中にあっても、生き続けなくてはいけないことに、周囲の大人はどう彼女に寄り添ったらいいのか  いい大人たちと出会ったことが救いでした  どんなに辛くても「食べる」  常に「食べる」  生き続けるために「食べ続ける」こと、その励ましがしみました
25年が経った阪神淡路の震災では6434人の方が亡くなっていますが、未だに行方不明者が3人いるとされています  行方不明の家族を持つ方々にとって、解決だの終結だのがないことを自分の心に刻むことができました(2月2日 イオンシネマ和歌山にて鑑賞)

chikuhou