「岩手県大槌町に実際にある 「風の電話」 僕は風の電話というもの...」風の電話 ワイルドとみまるさんの映画レビュー(感想・評価)
岩手県大槌町に実際にある 「風の電話」 僕は風の電話というもの...
岩手県大槌町に実際にある
「風の電話」
僕は風の電話というものが
存在することすら知らずで、
その電話を巡って何かが起きる
ちょっとファンタジックな要素を含んだ
作品なのかと想像してた。
全く違ってました。
東日本大震災、広島土砂災害、難民問題。
主人公ハルが故郷をめざす旅路を通し
出会う人々の心の傷、心の温もり、
そしてハル自身の心の帰郷を、
静かに、ときに激しく描く
想像以上に心に沁みる作品でした
主人公ハル役のモトーラ世理奈さん、
彼女の目の表情が何ともいえない
不思議な威力を発していて、
終始、感情を隠したような表情なのに
時に彼女が感情を顕にする場面は
こちらも感情を持っていかれそうになり
涙しそうになった。
本当は泣きたかったんだけど
何故だか見守る気持ちが勝って
逆に笑顔になっていた気がする
ハルが出会う人々の心がとても温かくて、山本未來さんの明るい優しさ、
三浦友和さん、西島秀俊さんの
放たれるセリフは重みが有りすぎて……。
体験者から発せられる言葉は
本当に心にズシリとくる…。
役者さんの素晴らしい演技を
支えてるカメラワークや音響も
本当に良かった。
全編に渡り余分なものをそぎおとした映像。それはほんの合間に耳に入ってくる音楽も例外ではなくて、
音楽が無いからセリフが心に響いてくる。
日常の生活音をしっかりと聴かせることで今は生きなきゃいけないんだよ
って言われてる気がした。
登場する人物の写し方も
人物を追うカメラワークでは無くて
定点から一定の距離を保つ写し方が多くてそれが観ている側に客観的な視点を
与えてくれる
何よりも慌ただしさを感じずることが
無いのがよかった。
長回しのカットが多いのも
観ている側を日常に入り込ませてくれて
本当にカメラワークの素晴らしい作品
だなぁと。