「後からジワジワ来る作品」風の電話 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)
後からジワジワ来る作品
まるでドキュメンタリーのような長回しにブレるカメラワーク、冗長な流れに仕事終わりの疲れた状態で行ったことも相まって、序盤は眠気に襲われそうになったりもした。
だが、各地で出会った様々な人たちとの触れ合いにじっくり時間を割いている事で、観ているこちらも心癒されて次第に没入していくことが出来た。
ヒッチハイクで旅をするという設定以外はごく普通に実生活で成されているようなやりとりで構成されているのも感情移入しやすくて好印象。
特にモトーラ世理奈演じる春香(ハル)が閉じていた心を徐々に開いていくところが実に良く表現されていた。
彼女はそばかすだらけで年齢の割にあどけなさの残る顔立ちだが、懐の広さを感じ、女優としての将来性を感じさせた。
それと、終盤の「風の電話」のシーンが本当に綺麗で心に残った。
白い電話ボックスと黄金色に輝く草木のコントラストが鑑賞後しばらく経っても脳裏に焼き付いて離れない。
自分は当事者ではないが、震災被災者が見れば、身につまされる秀作だと思う。
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