あのこは貴族のレビュー・感想・評価
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小説が表情ゆたかに立ち上がっていた
山内マリコさんの小説が好きなこともあり、観に行きました。
他の方も書かれているように、主演陣の演技が良かった。もし漫画みたくデフォルメされたザ・お嬢様と苦労人というキャラクター作りだったら、面白くなかったかもしれない。この映画では門脇麦と水原希子が細やかな演技をしていて、絶妙にあどけない華子の不器用さと、世馴れていつつ優しさのある美紀の姿が見応えがありました。石橋静河の自立した人間でありたいと願う女性像も、本当に身近にいそうな感じがする。
原作小説を読んだときは階級差への驚きと淋しさのようなものを強く感じ、読後感は明るいけど少し淋しかったのを覚えています。
恐らく、映画では「この子達、貴族だ…」のセリフで表される階級差へのショックが、美紀のモノローグで詳細に語られる場面が印象的だったから。
映像化されることによってモノローグが減り、代わりに交わされる表情のやりとりから、より優しさやシスターフッドのようなものを感じました。
この作品を観たら皆自分の出身について語りたくなると思うけれど、東京出身の私は大人になって他の地方から来た友人達と仲良くなり、自分も色んなことを教えてもらってきたのを思い出しました。
映画になってくれて良かった。
控えめに言っても、最高。
小説を映画化した作品で、「原作」を超えるものってなかなかないな〜と思ってたんですが、これはもう、見事に原作超えでした。
気になる点といえば、水原希子さんがあまりにも都会的な顔すぎて、あの田舎の実家で過ごすシーンや、低俗な同窓会での場面で浮いてるってところくらいで、笑
それでも都会でたくましく生きてく姿は、原作の主人公のままでした。
原作読んだのはたしか数年前だったと思うのですが、その容姿について、「さびしげな目元も、スモーキーなアイシャドウを重ねたらそれっぽく様になる」みたいな描写があった気がして、あながちハズレではないよなぁ、と。
門脇麦さんも、え、この女優さんこんなおハイソな役もできるのか〜?!?!と、期待を斜め45度越してくる感じで、もう、控えめに言っても最高でした。
最近、刺さる邦画があまりないな〜、という印象だったのですが、これは個人的に大ヒット。大ヒットどころか、特大ホームラン。
明日かあさってか、とにかく必ずもう一回観に行く予定です。
東京での生きづらさ、もともとの家柄ゆえの生きづらさ、もうとにかく「生きづらさ」が散りばめられた映画でした。
でもそんな中で、「じゃあ、自分はどう生きてく?」そう問いながらひたむきに生きてく2人の姿が、もう本当に本当に、素敵でした。
てか高良健吾さんは、もっとクズっぽい場面があってもよかったかも。でも完璧に「良いお家のおぼっちゃま」を演じ切ってきて、不覚にもその佇まいやセリフにキュンキュンしてしまったのは否定できません。笑
てかリアルに慶應の三田キャンパスで撮影してるのも、原作に忠実でよきでした。
内部生のあの勝ち組感、それを遠巻きに見つめる外部生のなんともいたたまれない感、どこのどのシーンを切り取っても「わかる、わかるよ〜!!泣」の嵐で、終始ニヤニヤしっぱなしでした。
そして、ここまで長いレビューを書くのは初めてっていう。
そのくらい、今年No.1の一作でした。
2ケツの女の子たちが眩しい。
受身に生きてきたお嬢さまを、応援する気持ちになれたのは自分でも驚き。
わたしは圧倒的に美紀の側の人間だから。
女の敵は女じゃないのよ。多分男でもない。敵は変わらないこと、自分で考えないこと、前の世代の連鎖を捨てないことじゃないかなって、思ってる。
変容を受け入れず、大衆の思考停止が一握りの人にとってだけおいしい、今の社会がダメなんだと思う。
出会うことがないはずの二人だったが
あまり語られることのないヒエラルキーについてストレートに語る作品。ホント珍しいと思う。
病院を経営する医者を父にもつ華子(門脇麦)は結婚を前提に仕事を辞めたが、婚約者と別れ家事手伝いとなった。結婚相手を見つけることが彼女の使命である。
富山から東京の大学に入ったものの家業の問題で中退した美紀(水原希子)は、その後も故郷へは帰らず東京で働いていた。
現在の日本にも確実に存在するヒエラルキー。階層をまたいで出会うことはない、はずだったが。
華子は更に上の階層でイケメンの幸一郎(高良健吾)にときめく。幸一郎は気の置けない美紀と過ごす時間が安らぎだった。幸一郎つながりで二人は出会った。
この後の展開が好きだった。華子は美紀と出会い真の自我に目覚めた。初めて彼女自身の人生を生き始めた。観る自分もいい気分に浸った。
ある意味で人間皆等しいと、階層に関係なく同じなのだと言ってくれたような気がした。温かい気持ちになった。何故か矢野顕子さんの『ごはんができたよ』を思った。
今年の日本映画のベストの一本だろう。
センスが光る映画
映画の登場人物同様、非常に上品な映画だった。
全ての登場人物を露悪的にすることなく、それぞれの立場のそれぞれの悩みとして昇華させている。
その上、映像そのものも美しく、テンポも非常に良い。
門脇麦、水原希子ダブル主演、山内マリコの同名小説を、新進の岨手由貴...
門脇麦、水原希子ダブル主演、山内マリコの同名小説を、新進の岨手由貴子が監督、とメインは女性。
こういう布陣の映画は、70年代後半から80年代にかけては「女性映画」と呼ばれていましたね。
東京の高級住宅街・松濤に両親と暮らす華子(門脇麦)。
「箱入り娘」というに相応しい、すべてに受け身、結婚をして良い家庭を築くことがすべて、といったような27歳。
ある年の正月、年始の会食の席で恋人を紹介するはずだったが、直前に振られてしまい、その後、焦り始めて婚活に奔走する。
お見合い、友人からの紹介など幾多の失敗の末、姉の配偶者の紹介で知り合ったのが、良家の子息・青木幸一郎(高良健吾)だった・・・
というところからはじまる物語で、幸一郎に腐れ縁のような女性がいることがわかり、その女性というのが、富山県出身で慶応義塾大学に入学したものの父親の失業で学費が続かず、中途退学をした美紀(水原希子)。
大学中退後、キャバクラ嬢となり、グレードの高い店へとキャリアアップする中で、かつて、一度だけ講義ノートを貸したことのある幸一郎と再会し、その後はズルズルと関係が続いている・・・というもの。
住む世界が異なるふたりの女性の人生がクロスし、それぞれの生き方に変化が現れる・・・ という内容。
インタビューによると監督がこの映画のなかの描きたかったのは、「ふたりの女性、住む世界がちがっていても、それぞれに生きづらさがあり、その生きづらさが表現できれば・・・」ということで、それはかなりのところで成功している。
タイトルで示される良家の箱入り娘であっても生きづらい、ましてや、地方出の庶民の娘なんて猶更。
美紀の側の生きづらさには経済的理由が大きいのだけれど、その解決策として、男に頼ってしまう道を選んでいる。
華子にとっては、良い家庭の専業主婦、という、半ば幻想みたいな価値観に縛られている。
裏を返すと、女性は一段下、男性の所有物・付属物、といった旧弊な男性側の価値観があるということ。
なので、男性からの呪縛から逃れた華子と美紀に、あらたな生き方が目の前に現れる・・・という落としどころですね。
その意味では、わかりやすく面白い映画なのだけれど、すこし物足りなく感じるのは、対比される男性側の描き方かもしれません。
「良家」という枠の数段上をいく「ほんとうの良家」の子息・幸一郎の生き方は、もう「あれしかない」のだけれど、対照的に登場するのが、バカさ加減マックスな美紀の弟・・・
地方の若い男性というのは、ああいうものなのかもしれないが、うーむ、あまりにバカすぎる。
個人的に興味があるのは、映画に一度も登場しないふたりの男性で、
ひとりは、映画冒頭で、華子を振る元・恋人、
もうひとりは、美紀の友人・里英(山下リオ)の弟。
特に後者は、里英そのものが美紀の生き方を変える人物でもあり、里英の実家は地方でもそれなりの良家のようで、実家の会社を引き継ぐことになっている。
「地方の男は、親の人生をトレースするしかない」と劇中で揶揄されるけれど、「親の人生をトレースするしかない」のは幸一郎も同じ。
なので、男性側にも生きづらさはあり、東京と地方を対照的に描くにあたって、見てみたかったな、という思いがあります。
ま、そこまで描くと焦点がぼやけてしまうかもしれないので、少々ねだりすぎかもしれませんね。
淡々とだがだらだらはしない。静かだが、無駄のなくきちんと起承転結が...
淡々とだがだらだらはしない。静かだが、無駄のなくきちんと起承転結が効いた。
ストーリーの描き方めちゃくちゃ良かった。
鳥籠で生きるお嬢様と上京者の物語。
ありきたりのテーマかと思って見たら、
まさかの発見もあって心が打たれた。
「どこで生まれても、最高だと思う日もあれば泣きたくなる日もある。」
いろいろ考えさせられた。
「でも、それだけじゃない」まで目が行き届いた作品
たいへんよかった。
基本は「女性の生きづらさ」の話で、結論としては「女同士の連帯かもしれない」のだけれど(それだけなら「アナ雪」と同じ)、しかし、「それだけじゃないよね」という部分がストーリーの中に細かく配置されて、とても目の行き届いた脚本だと思いました。
女性がいつでも離婚できるように自立することが大事と考える人がいれば、やはり主婦として働かずに生きたいという人もいる。
将来に夢を持ち、自己実現が大事という人もいれば、生まれた家の論理からはみ出されずに生きることを選ぶ人もいる。
男性社会の無意識の暴力性もきちんと描かれているが、それを告発したり糾弾したりすることに終始するのではなく、その中での女性の可能性や、男性側の辛さまで取り入れる。丁寧なつくりになっています。
主体を持たなかった主人公(門脇麦)と、外部の要因で主体的にならざるを得ない主人公(水原希子)が、いかに自らの望む主体に少しでも近づくかという思考実験的な展開も、リアリティを失わずに描かれていました。
何より、現実世界では出会うこともないような二人が出会い、心を通わせるシーンは、暖かいと同時にスリリングでもあり、この映画を見てよかったと思わせてくれました。
水原希子と門脇麦の二人が本当によかったですね。
東京の貴族って、斬新だな
東京の街がきれい。まさに、外から見た東京という感じでかっこいい。特に東京タワーはいいね。
あんな部屋に住んでみたい。
貴族階級というのも新しい目線だった。
そうか、日本にも階級があるのね。
どうしても平民目線でみてしまうので、平民が幸せになって欲しいし、貴族は不幸になればと思ってしまうけど、両方からの目線が良かったです。
門脇麦と水原希子は良かったです。
予告を見た時に、個人的には、水原希子が貴族、門脇麦が平民というイメージでした。
見てみると、なるほど、門脇麦が貴族で正しいですね。
また、少しずつすれ違っていく様子や、言葉のは裏腹の感情などがとても良かったです。
また、高良健吾がハイスペックながら、思いやりの無い言葉を連打します。
それを言ったらおしまいだ。
女心の話でもある。原作も女性。監督も脚本も女性。
こういうのは、ながらでは伝わらない良さなので、映画館で見るべし。
水原希子のあのセリフは刺さってしまたった。やばい、私にも居ないな、、、今日の出来事話す相手。泣きそうになった。
派手さは無いけど、染みる良い映画でした。
説明セリフはいらないのだ
説明セリフがほとんどなくても、門脇さんがどういう役柄で、水原さんが、、高良さんが、、と予備知識なくてもすぐ理解できる分かりやすい脚本。
心の動きが阿吽の呼吸で認識でき、住む世界が違うのに物語にのめり込んだ。
それでも映画的なラストはしっかりあり好印象。
いい作品に出会えた。
期待以上に楽しめた。
あまり期待せずに観ましたが
とても楽しめました。
上級国民と一般国民の違いを斜めに観て、皮肉たっぷり。
常識や作法は同じコミュニティーの人間の間だけの勝手なルールだと再確認しました。和室に入るのに膝を擦ってましたが洋服では毛玉ができそう。
しっとりとした映像とセリフの静謐な間で語られるメッセージ
映像が雨上がりのようにしっとり感あって情緒感ある。ライティングもシックな灯りが中心。セリフにもゆったりした静謐な間があって、表情で心情を読める。まさに映像で語る映画で、入り込める。
女性の心情を描いていて、人はすぐにカテゴライズするけれど、しがらみを取り払って自分の人生を生きようと前向きなメッセージが込めあれている感じがした。
恋愛映画でも対立も描いていない。それぞれの視点で淡々と過ぎてく時間を映しとっているようで、映像が残像として残る、映画を観たという感覚になれる。
K大学はまさにこういった対比を描くにはもってこいの大学だ。都内の裕福層の内部生と、地方の外部生は入学時点でまったく違う。内部生はすでによく知った旧知の仲。外部生はそこになじんでいくひと、なじめないひと、模様が違う。
セリフもなかなか印象的でセンスある。
最高の日も泣きたくなる日もある。そんなとき誰か言える相手がいるのはとても大切なこと。案外出会えないよ、そういう人。
美樹は同じ地方で同じK大学を出た何でも言い合える友達がいて、とても羨ましかった。
華子はそういう友達がいないようで、なんだかずっと寂しげ。だけど健気。
二人の女性もそれぞれ愛し、愛されるような公平に描いている。
女性監督ならではの女性の描き方でとても印象的だった。
水原希子さん最高!
彼女の自然体の演技に魅了され同性ながらキュンキュンしました。綺麗な方はたとえジャージ部屋着でも美しい!今後の活躍がとても楽しみです。
内容は全体的に展開がとても良かったです。飽きさせないですね。けしてハラハラドキドキは無いですが不思議なぐらい夢中で観てました。
女性なら共感すること沢山あるんじゃないかと思います。若い頃の自分が重なってジーンと目頭が熱くなる場面もありました。東京に憧れて見栄張って都内で働いたけど現実は孤独で、毎日同じルートしか歩かないから実際はその景色しか知らない、妙に寂しくなる夜があった事を思い出しました。
素敵な友情関係に最後まで心温まる作品です。
男性の意見が聞いてみたい映画
原作、監督が女性だからこそ表現できたものではないか?
昔よりは無くなったように思える、日常で感じられなくなったように見えるが実際には存在している
境界線を明確に表現できていると思う。
世代と性別、経験がわたしにはドンピシャ(とても自然に描かれていた)な映画だったけれど、違う人から見たらどう解釈されるのか感想が聞きたくなる映画だった。
終盤、どこで終わるのか間の取り方が微妙だった。
うねる様な物語ではないが気持ち宜し
いやぁ、メインの二人と高良くんは勿論の事、映画で出会う度に(個人的に)嫌悪感満載な役どころが多かった静河さんも、気負いのない感じが素敵だった。ボンボンふってるCM好きだったのよね。
女の子を脱却出来ない感じが雰囲気と声のトーンにある麦さんはビタッと嵌まってたし、希子さんも自身とのシンクロ率が高いのかお見事でございました。「奥田民生ボーイ…」の時も好きだったけど、こちらの肩の力が抜けた格好良さもいいですな。
そして、ちょこちょこと出てくる男性陣が男の視聴者として視ていると「んん?」なんて感じもあるのだけれど、女性目線の物語として男性がどの様に見えているのか?という、男性諸君には永遠の命題とでも言える視点が興味深く、良い学びになったきがします。活かせるかは甚だ疑問ではありますが(苦笑)。
「生きる」という事にどう向き合うかが大事。ただし、悩み過ぎたってしゃーないよね。そんな感じにそっと優しく背中を押してくれる作品でした。
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