あのこは貴族のレビュー・感想・評価
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自分の人生を、自分の足で歩き出す!!
榛原華子(門脇麦)は、結婚を人生の既定路線と考えていた。
27歳になり周囲も次々と結婚して行く。
内心、焦る華子。
その前に婚約解消があり、
見合いも、友人の紹介する男性に会ったりするが、
中々これっと言う男性に出会えない。
しかし気合を入れた見合いで青木幸一郎(高良健吾)と出会う。
非の打ち所のない相手。
温和で華子の気持ちも気遣ってくれる。
一方で地方から頑張って勉強して入学した外部生の美紀(水原希子)
高良健吾との接点は授業のノートを貸したこと。
やがて美紀は実家からの仕送りが途絶えて、
大学を中退します。
実は私、
この映画で1番素晴らしいと思ったのは、人として失礼な人間が
1人も出てこないことでした。
水原希子と高良健吾の親密な関係に気付いた石橋静河が、
水原を呼び出して、そこへ高良の婚約者の門脇麦が現れる。
2人は喧嘩なんかしません。
門脇は水原を責めません。
しかし水原は静かに身を引くので、門脇麦と
修羅場を演じるどころか、友情のような絆さえ芽生える。
(華子を見ていると、お育ちがいい、とはこの事かと思います)
(大学は慶應義塾大学と設定されてて・・・)
内部生とは、
(幼稚舎や中学、高校から上がってきた学生のこと)
外部生とは、
(受験で大学から慶応へ入学した地方出身者を指す)
私も地方から大学に入った外部生だったけれど、
確かに内部生とは友達にはならなかった。
内部出身者には大人びててセンス良い服装でお洒落な印象。
話す内容も、知らんけど違う感じがした。
内部生の趣味はダンスにテニスにスキー。
外部生には、そんなものに時間とお金を割ける人はいない。
内部生には怠け者が多かった印象(個人の感想です)
勉強しない(レポートを出さない)
学校へ来ない子もいた。
卒業して就職となればコネを利かせた内部生は、
腰掛け程度の会社勤めとか、大学教授の秘書とか、
キャリアを生かせる職には付かないことが多い。
その点で地方出身者はガッツがあって、教師とか
公務員になった者も多かった。
(閑話休題でした)
華子は理想のお相手・高良健吾と結婚して、眼下に東京湾の見える
タワーマンションの住民になる。
そして夫は既定路線だったのか政治家への足がかりとして
議員秘書になる。
そして夫は多忙を極めて帰宅が遅くなる。
義母は跡取りはまだ?
と、華子に問い掛ける。
嫌な人は出て来ない・・・と書いておいて言うのも何なのですが・・・
高良健吾の親や祖父は嫌な人々(一族)でした。
見合いの席で、
「あなたの事は調べさせて貰った」
と、言われ、
祖父の葬儀では義母からは、
離婚した場合、生まれた子供を置いて出て行くのが当然の決まり、
その例(離婚した叔父の前妻は子供を置いて去った)を聞かされる。
これはヤバいですね。
子供は婚家の所有物?
これはキツいです。
こうしてやがて結婚に意義を感じなくなっな華子が
婚家を出て行く、
離婚するのは、当然の成り行きでした。
理想の結婚をした事により、
自我に目覚め、
良家に生まれたしがらみを捨てて、
自立した生き方へと向かう。
華子は恵まれた「貴族」の生活から一歩踏み出したのです。
大雑把に言って家が金持ちなら、頑張って勉強したり、
毎朝満員電車に揺られて働きに行かなくてもいいかもしれない。
庶民は一生懸命勉強して、いい会社に入り、
懸命に働くのかもしれない。
(人それぞれです)
それにしても美紀=庶民(水原希子)の自然体でしなやかな生き方が
一番素敵に見えました。
ぼんやり
いいところ生まれの人も、地方から出てる人もきついんですよ、と、わかりやすく教えてくれた感じ。どちらかというと、地方出の人間の方が楽しそうに描かれていたのがなんとも。
とはいえ、「あのくらいの年代はさ、年上に憧れがちじゃん?田舎から出てきてさ」はいたく共感した。嫌な日も楽しい日もありつつ、あんなキラキラ社会人になりたい。。
外と内
何故か気になっていたタイトル。
門脇さんに惹かれてたのかなとも思ってた。
静かな作品だった。
というか…日常にある音だけが描かれているようで、気負いがなかったのかもしれない。
うるさくもないし、静かすぎるわけでもない。
なんか、馴染む。
物語的には結構な別世界で、上流階級の人々が描かれる。冒頭から見た事もない空間ばかりで、東京にもこんな場所があるのかと、自分の境遇が痛々しい。
門脇さんの雰囲気が素晴らしかった。上品な事もそうだけど、だからこその息苦しさを自覚もなく漂わせてる空気があったように感じる。
メインキャストの皆様はそれぞれ素晴らしく、役を全うするというか、雑味を全く感じない。だからこそ、台詞や、それが揶揄する事柄に目を向けられたような気がする。
物語も案外、起伏に富んではいるのだけれど、作品のトーンが認識させないというか、極めてなだらかなように流れて行く。
特別な事とか結構起こるのだけれど、全然特別なような気がしない。登場人物達が直面する日常として描かれていたからなのかとも思うけど、とても繊細な演出であったように感じる。
棲み分けみたいな事が描かれてはいて、見えない壁とか国境のようなものも感じはするのだけれど、環境の差はあっても、根本的には変わらないなぁと思ってみたり…特に女性が求めるモノは共通なようにも感じた。
なんか、親ガチャとか才能のあるなしはあったりもするのだけれど、結局のところプラマイゼロなのかなぁと。
何に憧れようと、誰を羨もうと、自分の目の前にある事にしか対応は出来ず、変えていけるのも自分の目の前にある事だけなんだなぁと。
自分の問題を、いとも容易くクリアにできる環境の人はいて、その力が自分に無い事を嘆いたところで事態は好転していかないので、自分がどうにかするしかない。
問題の大小は、人によって捉え方は変わるけど、自分にとっての自分の問題は常に大問題なのである。
良い事も悪い事も、他人の物差しでは測れない。
そういった意味で人は平等とも言えるのだろう。
2人が再会し、お互いにまだ好意的であった事に救われた。今度こそ運命的な人に出会えたようにみえた。
このラストをもって、分断や区別をする壁はありはするが、地続きではあると言われたような気がする。
なんか、個々の差を描く事で、その差を取り払った時の同一性を描くような演出なのかな。
ま…その差が漫然とありはするし、それに左右されてもしまうのだけどね。
ただ…この監督のこの作品は好きだなぁ。
どこかど問われても困るのだけど、とても好き。
詩的にも思うけど、見えてるモノの焦点がブレてないようにも思う。
ダージリンでもアールグレイでも紅茶であればいいじゃない!😅
と言うわけにはいかないんですよね、貴族女性は。
何百人もインタビューして人物像を作り上げたのかなと思う位に主要登場人物が、現実にいるステレオタイプにきれいにはまっており、ノベルとは思えない。
キャラクターが自分に当てはまる層ではなかったら、どうしても共感はできないが、この映画を通してみるとそれぞれに感情移入してしまう。
自分も学生の頃は大人になったら絶対東京に住むんだと野心を持っていた。大人になった今、事実、衣食住のうち住を1番大事にしている。
女性からしたら青木は妻への気遣いがない薄情な男ではあるが、青木は青木でかわいそうな人ではあるし
貴族階級ではない人が欲しがる唯一にして最大のものを持ち合わせている華子だが、華子の人生に憧れる人は少ないだろう。
じゃあミキは?となるが、言うまでもない。
東京生活=勝ち とは思わないが
この方程式が正解と思う人の否定もしない。
個人的には
華子と美紀が初対面の日、カトラリー?か何かを落としてしまいとっさに拾おうとする美紀とすぐに手を上げる華子のシーンがとてもお気に入り
美紀が拾おうする手を止めたのが本当に良い。
あそこで拾うとただの非常識な田舎娘像が出来上がってしまい、一瞬で共感の歩みを止めてしまう。
アフタヌーンティー然り
貴族階級以外の人にとってマナーは
自然と身に付くもの
ではなく
頑張って身に付けるもの
なのだ。
本作で制作陣が伝えたかったことが階級問題だとしたら、受け取ったものは異なるが、非常に素晴らしい一作だった。
皆さん少し違うお育ちなのねぇ。分断階層と氏に育ち。
内容は、主人公二人の女性が東京という舞台で繰り広げられる静かで残酷で面白い社会構造を絶妙な衣装や環境や表現力で静かに見せる事に重点をおく不自由な貴族や平民の境目を少し幸せな気分にさせてくれる映画。印象残った台詞は『東京って棲み分けされてるから、違う階層の人とが出逢わなくなってるんだよ』冒頭の慶應大学キャンパス内で友達との会話で語られる場面。好きな場面では、橋の上でお互いの進む方向が違う貴族の華子がニケツの女の子に手を振られ振り返す場面。決して交わらない社会構造を皆見て見ぬふりをしているだけの見えない壁を絶妙に表現した分かりやすい場面だが切なくなった。最後にはお互いの希望が垣間見え成長を感じられる終わりが清々しかったです。美紀は友達と新たな一歩を踏み出し、華子は不自由な階層からの自分の決断で、身辺を一新。再び新たな自分として元旦那と会い悲しみであり喜びの様な複雑な笑顔を見せる所で終わる当たり視聴者に対話投げる様で面白かったです。
門脇麦×水原希子
テーマの着眼点がいい!
上面だけの人々で苦手な世界だった!!
長い治腐敗とコロナというショック・ドクトリンで、上級国民はまた一気に資産を増やしたので、上級国民を題材にした映画なぞ観たくないですが、このご時世であえて作ったのは挑戦的だと思います。女性原作なので、あらゆる男性の描写が薄く頼りなく感じます。というか、どの人も表面的なので映画としての深みも無く、この世界は私はとても苦手でした。主人公は特に自分の考えや優雅な振る舞いなどは無く流されるままなので、タイトルはインパクトで付けただけで違うと感じました。学生時代の描写はまだ生き生きとしていました。特にオチも無く、え!?これで終わり!?という感じでした。「ココ・シャネル」(2008)もそうでしたが、貴族を題材にした映画に凛とした姿や思慮深さを求めるのは間違いだと思いました。
水原希子という女優
田舎の学級委員長女子が都会の私立大学に進学する
レンタル110
よく見る動画サイトの2021年邦画のベスト10に入っていた
山内マリコの小説の映画化だと
同じ著者の ここは退屈…も映画化されているようだ
5回くらいに分けて観たが
そういう風に章が分かれていて見易かった
この監督の作品は初見
高橋ひとみのビンタ一発で経過を表現しているところとか
なかなかオシャレだと思った
原作をどう解釈しているのかも気になるところ
観る前は主役ふたりのイメージが逆だったがこっちでよかった
オラは田舎の平民なので
田舎の学級委員長女子が都会の私立大学に進学する様がリアル
そういうタイプに憧れがあった
その後の苦労も想像できた
ニュアンスは若干異なるが
オラが東京の会社に就職したときも貴族はいた
山手線の内側に家がある人とか桁外れな金持ち
貴族と平民の間の嘲りとか妬みとか
ぐちゃぐちゃな内容を想像していたのだが
いい意味で裏切られた こういう前向きなテイストが大好きだ
ラストも爽やか あぁいい映画だったなと
貴族と庶民
元々お嬢様の華子と地方から大学進学で東京に出てきた普通の女の子の美紀。2人の対比がハンパない。確かにお茶しない?と誘われて行ったら,午後のお茶で4200円。感覚違いすぎます。親のお金で進学しおぼっちゃまの幸一郎がノート貸してと言われて貸した美紀。美紀は親の仕事の都合で自分でバイトしながらの生活の中、きちんとノートをまじめに取っているのに。不公平だなあ〜後の2人の会話からそのノートは返さなかったようだし。幸一郎、とんでもないヤツです。
美紀と幸一郎は少しの間付き合っていたが、幸一郎は美紀の育ちをおそらくわかっていたのだろう、下にみて,本気ではなかったのだろう。華子の友達の逸子が華子と美紀を合わせなければ、美紀は何も知らず、幸一郎は上手く二股かけたんだろう。あの逸子の行動はなかなか男前で素敵でした。
幸一郎と結婚しても、すれ違いを徐々に感じる華子は結局離婚を切り出す。おそらく初めての自分の決断なのでは?おそらく、一人で暮らし、自分の物、自分の好きな物に囲まれて暮らしているんだろう。もし、実家に帰っていたのならちょっとずっこけます。
人間を幸福に導くもの
本作は、格差社会の頂点である富裕層で生まれ育った女性の成長記である。格差社会の底辺で苦悩する人々を描いた作品が多い中、本作は、格差社会の頂点である富裕層で生きる女性を描いている。自分の気持ちに向き合い目覚めていく女性の姿を丁寧に描いている。緩やかなテンポで物語は進行するが、格差社会や人間の幸福についての核心を突いた台詞を散りばめて、なかなか見応えのある作品に仕上がっている。
本作の主人公は、東京で暮らす裕福な家庭で育った20代女性・榛原華子(門脇麦)。彼女は恋人に振られる。同期生が結婚していく中で、彼女は婚活に躍起になり、良家出身の弁護士・青木幸一郎(高良健吾)と出会い結婚する。一方、地方都市で暮らす時岡美紀(水原希子)は、東京の有名私立大学に合格し上京したが、学費捻出もままならず、中退して将来の自分探しに苦闘していた。そんな、境遇が全く異なる二人は、意外な形で出会うことになる・・・。
物語は、格差社会の異なる階層で生きる二人の女性の姿を追っていく。作り手は境遇の違いが二人の生き方、考え方に色濃く反映していることを見せつける。富裕層のなかにいる主人公、外にいる美紀の視点で見せつけていく。
現代が格差社会であることもキッチリ描いている。美紀の通っている大学での内部生、外部生の違い、内部生と外部性が混じった時の違和感が端的に格差社会での序列を現わしている。
物質的な豊かさを享受している主人公が幸福かどうかは、その表情が示している。どんな時でも感情の起伏は穏やかであり、激高したり大喜びすることはない。美紀とは対照的である。周りに配慮して自分を出せない。出さない。
そんな主人公が変化していく。失恋、婚活、結婚を通して、次第に、自分の本心と向き合い、自分の意志で行動し、人を強く想うこと、人に強く想われることの大切さに目覚めていく。
本作は、意志ある行動、人との絆が人間を幸福に導くことを再認識させられる良作である。
特に大きな盛り上がりはなく、淡々と話が進んで行く。 良家のお嬢様と...
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