どちらを

劇場公開日:

どちらを

解説

東京藝術大学の佐藤雅彦教授と同研究室の修了生たちが共同監督を務めて映画を製作するプロジェクト「c-project」による短編作品。出演は黒木華、吉沢太陽、柳楽優弥。共同監督に「君の名は。」などを手がける映画プロデューサーの川村元気。2018年・第71回カンヌ国際映画祭の短編コンペティション部門に出品。実の父を知らずに育った息子と、その父に会うかどうかを選ばせようと旅に誘った母の前に、人生さながらのさまざまな選択肢が現れる。母子がどちらを選択したかは明示せず、どちらとも解釈できる表現のなかで物語が進んでいき、選択を経て新しい段階に入る親子関係を描き出していく。上映時間14分。「佐藤雅彦研究室 カンヌ短編プロジェクト」と題し、同じくc-project製作の「八芳園」「父 帰る」とあわせた短編3作品で19年4月6日から、渋谷ユーロスペースにて劇場公開。

2018年製作/14分/日本
劇場公開日:2019年4月6日

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(C)2018 「どちらを」製作委員会

映画レビュー

2.0授業やってるんじゃないんだから

2019年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

劇中で登場人物は色んな選択を迫られるんだけど、どちらを選択したかは呈示されないの。 それでも、まあ、面白く観ていくとテロップで『どちらを選んだかは解らないが どちらかを選んでいる』みたいなのが表示されて笑っちゃった。 佐藤さんの本を読んでると、こういう感じの表現でてくるよね。本読んで「なるほど確かになあ」とか、あるいは数分の映像で「なるほど」と思わされるのは面白いけど、短編映画で出すのは違うかな。 「どちらかを選んでいる」を言いたいなら、エンドロールだけでも良かったと思うな。

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Scott

4.0鑑賞後のお楽しみ

2019年4月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

 映画の中には説明過多な作品がある。そういう作品を観るとくどいなあと感じるし、場合によっては校長先生の話みたいに辟易してしまう。逆に説明が不足していると、物語の本質が掴めないまま、消化不良に終わってしまう。  本作品はそのいずれでもなく、すべてのシチュエーションはきちんと説明され、観客はそれを踏まえた上で、省略されたシーンについて考えることができる。謂わば観賞後の楽しみをお土産として残したような作品だ。  タイトルの通り、二者択一のシーンがいくつかあり、選んだシーンは短い暗転で省略されて、その次のシーンになる。どちらを選んだのかは、同じ映画を観た者同士で酒でも飲みながら話したら、さぞかし愉快に違いない。  黒木華はやっぱり上手だ。冒頭のスーパーで明太子選びに悩む様は生活が苦しいことを分かりやすく表現しているし、明太子を息子だけに食べさせるシーンから、愛情深い母親であることがわかる。黒木華自身はまだ29歳だが、40歳位の役も普通にこなせるのだと改めて感心した。  母親というのは畑みたいなもので、レイプされてできた子供でも、子供は子供だと愛情を籠めて育てることができる。育ったのは作物ではなくて人間だから、選択の自由を持っている。自分で選択できる年齢になったと判断して、息子に選択させるというのがこの作品の肝である。  ラストシーンの晴れやかな表情からして、息子がどのような選択をしたのかは明らかである。そして遡って、どちらの明太子を選んだのかもわかる。ほのぼのとした中にも人生の真実がある、傑作である。

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耶馬英彦

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