ペトラは静かに対峙する

劇場公開日:

ペトラは静かに対峙する

解説・あらすじ

スペイン出身の気鋭監督ハイメ・ロサレスが、カタルーニャの乾いた大地で繰り広げられる悲劇の連鎖を描いた。画家のペトラは作品制作のため、著名な彫刻家ジャウメの邸宅にやって来る。彼女の本当の目的はジャウメが自分の父かどうか確かめることだったが、彼が権力を振りかざす冷酷な人物であることがわかってくる。そんな中、一家の家政婦が謎の自殺を遂げ……。章ごとに時系列を前後させながら描き、パズルのピースをはめていくように家族の秘密が徐々に明らかになっていく。主演は「マジカル・ガール」のバルバラ・レニー。本作で77歳にして演技デビューを果たしたジョアン・ボテイがジャウメを演じ、「オール・アバウト・マイ・マザー」のマリサ・パレデスがジャウメの妻役を演じる。

2018年製作/107分/PG12/スペイン・フランス・デンマーク合作
原題または英題:Petra
配給:サンリス
劇場公開日:2019年6月29日

スタッフ・キャスト

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映画評論

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(C)2018 FRESDEVALFILMS, WANDA VISION, OBERON CINEMATOGRÀFICA, LES PRODUCTIONS BALTHAZAR, SNOWGLOBE

映画レビュー

4.0章が変わるたびに驚きが迸る。静かな中に激情が貫く力作

2019年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

田舎の村を訪れる女性。どうやら彼女は絵描きのようで、とある大物芸術家のもとで創作活動をしようとしているらしい。映画は穏やかに、かつ静かに展開し、その先に何か起こるとしたらせいぜい芸術論をぶつけ合うくらいしかないのではないかというほどだ。が、これが一つの事件をきっかけに、時代や記憶、繰り返される悲劇などを絡めた、小さくとも深くて激しい、うねりのある叙事詩へと転じていく。

物語をそのまま時系列に並べると、古典的な文芸作のように仕上がったはず。ところが作り手はそうはしない。あえて時系列を操作することで、観客がスクリーンを見ながら抱いていた「違和感」の答えらしきものを後付けで提示し、さらにチャプターが変わるたびに「えっ!」と言うスリリングな心境をもたらしてくれる。静けさは激情の裏返し。観客は何が起ころうともこの結末を見届けずにいられない。結果的に、強靭かつ骨太な人間ドラマがそこには出現していた。

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牛津厚信

4.0感想。

2023年10月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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ティム2

4.0ギリシャ悲劇

2023年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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f(unction)

3.5【時間軸を巧妙に入れ替えた作品構成が、不思議なサスペンスの迷宮に誘い込もうとする作品。】

2021年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

悲しい

難しい

幸せ

ー ハイメ・ロサレス監督は、7章立てで物語を進める。だが、時間軸通りではない。ー

◆感想<Caution! 内容に触れています。>

 ・著名な彫刻家ジャウメ(ジョアン・ボティ:77歳にして、本作で演技デビュー)の、傲岸不遜で権威を振り翳す、人間性の欠片もない振る舞い。こんな人間がいるのか・・。

 ・彼の過去、現在の行いのために、ペトラ(バルバラ・レニー)始め妻マリサ(マリサ・パレデス)や”息子”ルカスは、振り回されていく。人生を狂わされていく・・。

 ・ジャウメは、実はルカスが自分の子ではないと知っていたのではないか。出なければ、”お前の偽りの幸せを邪魔するためだった・・”などと言う言葉は出て来ないだろう。

<ジャウメは、自分で身を立て、名を上げながらも実は中身のない空虚な人間だったのではないか?
 出なければ、あのような最期はを遂げる事はなかったであろう。
 何とも、切ない物語。
 第7章のペトラが全てを理解したうえで、マリサに対して行ったラストシーンに救われた作品。>

<2019年7-8月頃 京都シネマにて鑑賞>

<2021年8月11日 別媒体にて再鑑賞>

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NOBU