ホテル・ムンバイのレビュー・感想・評価
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テロ描写は容赦ないが、名も無き英雄はどこ?
疲れるけど、観ておくべき映画
インドのホテルムンバイを舞台に、全員殺害を最終目的として占拠するテロリストと、できるだけ多くの人を逃がそうとする従業員の話。
始まって五分で占拠、終わる五分前まで続くので、123分間ほぼぶっ通しの緊張感持続。これは、疲れるよ〜。
おまけに宗教テロなので、交渉の余地なしという無力感。これがけっこうキツい。宗教ってなんだっけ、と考えざるを得ない。
テロだし実話がベースだから、たくさん人がしぬのはしょうがないのだが、群像劇だけに切なくなる。おまけに、ほとんど犬死にだ。現実は映画とは違うということを見せつけられる。それでも、いいこと(ホッとすること)が一つ二つはあってよかった。なかったら、映画の体さえなさないのではないか?
こういう不幸な事件があって、犠牲になった人も多かったが、従業員の献身で助かった人たちもいたんだ、ということを記録しておくことは、大切なことだと思う。
日本でも起こりうる
10年以上前、2008年11月26日から29日に起きたムンバイ同時多発テロ
の映画です。
ムンバイ同時多発テロを知らない人、忘れてしまった人は多いと思います。
私もすっかり忘れていました。
重武装はしていますが、わずか10人で170人以上を殺害し、230人以上に負傷
させたことには驚きました。
同時期に起きた主なニュースは、以下の通りです。
2008年11月4日、バラク・オバマは、米国大統領選挙に当選しました。
2008年11月4日、大阪地検特捜部は、小室哲哉を5億円の詐欺容疑
で逮捕し、のちに懲役3年、執行猶予5年の罪が確定しました。
時間が経つ早さを感じます。
次々と人が殺されるので、鑑賞するのは大変ですが、事件を忘れない
ために鑑賞しました。
インドの地名が色々出てくるので、事前に調べた方が物語に
入り込みやすいです。
・タージマハルホテル
・インド門
・CST駅
・レオポルド・カフェ
・カマ病院
特にタージマハルホテルとインド門が一緒に撮影されている写真を
見ておくと映画のリアリティを感じることができます。
インドで行われ、パキスタンの関与が疑われ、カシミール地方を巡る
国境問題かと思いましたが、違うようです。
テロの背景は、イスラム教、貧困、格差であり、世界中で普遍的に
存在し、広がっています。
テロリスト達が話しているのは、インドとパキスタンの国境地帯である
カシミール地域で話されているウルドゥー語です。
テロリストの1人は逮捕され、「ラシュカレ・トイバ」の構成員であると
答えてました。
「ラシュカレ・トイバ」は、カシミール地域で南アジア全域にイスラム
帝国建設を掲げ、ユダヤ教徒とキリスト教徒に対するジハードは、すべて
のイスラム教徒に与えられた義務として、テロ活動し、カシミール地方に
軍事キャンプを所有し、本部はパキスタンにあり、2000年以降数々のテロ
を行っています。
米国、英国はもちろんパキスタンからも「ラシュカレ・トイバ」はテロ組織
に指定され、資産は凍結され、活動は禁止されています。
イスラム教の聖典「クルアーン」ではイスラームにおける天国の様子が
具体的に綴られていることを悪用し、ジハードという名のテロを行っています。
イスラム教におけるジハードとは、イスラム法の支配する
ダール・アルイスラーム(イスラムの家)と、異教徒の法の支配する
ダール・アルハルブ(戦いの家)に二分されている世界を、
ダール・アルハルブを征服によって、ダール・アルイスラームにする
ことです。
首謀者は、計画的にテレビで情報を収集し、携帯電話で実行者に指示を
していたのには、驚きました。
テロ発生時の報道管制の重要さを痛感しました。
平和を祈るだけでは実現しません。
なぜ、若者がのテロリストとして、事件を起こしたのかを考えるきっかけ
になれば、良い映画です。
この事件以降もテロ事件等は減るどころか、今年に入り激増しています。
2011年7月22日、ノルウェーの首都オスロ・ウトヤ島で銃乱射事件が発生し、
1人で70人以上を殺害し、100人以上に負傷させる事件も起きました。
知らない人は「ウトヤ島、7月22日」を鑑賞すると良いでしょう。
2019年3月15日、ニュージランドの2番目の都市クライストチャーチで
銃乱射事件が発生し、1人で50人以上を殺害し、40人以上に負傷させる
事件起きました。
2019年4月23日、スリランカの最大都市コロンボで同時爆発事件が発生し、
7人で250人以上を殺害し、7人で500人以上に負傷させる事件起きました。
2019年7月30日、米国ミシシッピ州のウォルマートで、従業員が
他の従業員2名と警察官1名を銃殺する事件起きました。
2019年8月4日、米国オハイオ州デイトンで、1人で9人を殺害し、
16人に負傷させる事件起きました。
ムンバイの人口は1200万人で、インド最大の都市です。
ムンバイを日本に例えるなら、東京です。
東京を管轄する警察組織は警視庁で、職員数は4万6千人、特殊急襲部隊
(SAT)は全国で300人います。
特殊急襲部隊が、外国人工作員の襲撃を想定した警備訓練が報道機関に
公開されてはいますが、ムンバイ同時多発テロのような事件に対処した
ことはありません。
日本で起きた似たような事件としては「通り魔殺人事件」がありますが、
警察組織や特殊急襲部隊では対応できていないのが現実です。
海に囲まれている島国である日本では、重武装したテロリストを侵入
させないことは現実的ではないです。
バックパッカーで日本を旅行する若者を東京で目にすることは珍し光景
ではなく、日常的な光景で、重武装したテロリストが、日本国内を移動
することは可能です。
組織的に軍事訓練を受け、重武装したテロリストが東京を襲撃すれば
この映画のような結果になると思いました。
この映画が気に入ったら「ホテル・ルワンダ」もお勧めします。
インドとパキスタンの歴史的関係を知りたければ「歴史は勝者によって記される」
という言葉で始まる難解な映画ですが「英国総督 最後の家」を鑑賞すると良いで
しょう。
パンフレットは、よくできているので、映画を理解したい人にはお勧めできます。
撃たれる側に立たされる恐怖
五つ星ホテルに宿泊する富豪の身勝手さと、当たり前に共感できる一個人としての心情の動き。コック長の責任感とリベラルさ、リーダーシップ。アルジュンのサンダルに象徴される貧しさ。そして、彼の献身と誠実。テロリストという名の若者の、無邪気さと極貧と悲しさ。唐突に始まるテロの恐怖という言葉では表しきれない恐怖。
重層的に凝縮された、みごとな映画だと思います。
映画を見た後に、ニューズウイーク日本版の大場正明氏のコラムやその他のサイトを読むと、映画の内容・演出がよく理解できるのでお勧めしたい。なぜ、ザーラがテロリストの仲間だと疑われたのか。なぜ、アルジュンがシーク教徒なのか。このテロは、一体何だったのか。文化的・歴史的背景が理解できないと、見えてこないものがあまりに多くて、もったいない。決して、従業員の英雄奇譚で終わらせる映画ではないし、ましてやホテルへの忠誠を描く美談ではないと思う。
この映画を通して、一つ気付いたことがある。アメリカはドローンという兵器で、アメリカにいながら、「朝出勤して、殺して、夕方、妻子の待つ温かい家庭に戻る」という戦い方を発明したと言われるが、テロの若者もドローンであるということ。攻撃の主体は祖国にいながら、危険を冒さず携帯電話で指示を与え、攻撃をしかける。最貧国・最貧組織における、若者という最弱者がドローンとなる。戦いは、いつの時代も、集団の強者が弱者をして相手の弱者と殺し合わせる構図だ。このテロを計画実行させた組織やそのリーダーは、ステイタスを上げる結果につながったのだろうか。
もし、日本周辺に最貧国があったなら、きっと日本もテロの標的になっているだろう。歴史と経済格差がテロの温床だから。隣国とけんかをしても、何も良いことはない、と改めて思う。そして世界の混沌を思う。
勇気と冷静さと知恵
ホテルマンの誇り
緊迫感半端ない
恐怖の時間を目撃
123分の上映時間があっという間。それくらい無駄のないストーリー展開、緊張とスリルに満ちた場面の連続。スクリーンに釘付けだった。
宿泊客たち、そして彼らを守ろうと決意するホテルマンたちの行動にスポットを当て、一応、テロリストの少年たちの止ん事無き事情にも触れつつ、でも許されることのない行為の行く末、恐ろしい時間をスクリーンを通じて共有させられた。
様々な国の宿泊客数十人を一堂に集めた状態で、それを統率することなんてほぼ不可能。それぞれがそれぞれの考え方を持っているし、優れた指揮者がいるわけでもなく、ホテルのスタッフの言うことについて、自分の方が正しい、自分の思うように行動したい、そういう考えを持つ人は当然出てくる。勝手な行動は見ていて歯がゆくもやむを得ない。が、それゆえ危険にさらされるリスクも。
直ちに救出される可能性も薄く希望も持てない、困難極まる状況下でも決して諦めることなく宿泊客を守ろうとするホテルマンたちの心には胸を打たれる。
それほど昔ではない2008年。インドで実際にあったこの事件は記憶になかったが、本当に恐ろしい映像体験をした。最後は涙溢れて止まらない。
悲劇すぎるが過度なヒーロー劇でなくとても響く
ものすごい緊張感
今年、観るべき映画の一本だと思います!!
こんな悲惨で衝撃的な事件だったとは!(◎_◎;)
終始自分も宿泊客になったかのような緊迫感と臨場感が凄まじ過ぎて固まってしまうほどマジに恐怖を感じました。
アカデミー賞獲るんちゃう!?
間違いなく今年、観るべき映画の一本だと思います!!
職務を全うするホテルマンの勇気に敬意を表すると共に犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。
☆4.6
実話と思いたくない作品
とにかく観てるのが辛かったです
でもこうやってこのテロ事件を知る事ができる観るべき作品でした
余計な音がなく、ホテルの中に放り込まれたように感じる緊張感がラストまで続きます
淡々と人を銃で撃つまだ若いテロリストたちですが、彼らの背景も描かれているので、自分たちで判断ができない操られている彼らも被害者なのだと思えます
彼らが言う「神のために」、ホテルの従業員の人たちが言う「お客様は神様です」、同じ神のために戦う対比が、さらにテロリストの彼らを悲しく思わせられました
特殊部隊がなかなか来ない広大なインド、ずっと「お願い、助かって」と思いながら観ていました
ハリウッドのアクション映画のようにヒーローがあっという間に悪者をやっつけて一件落着にならない現実、このテロ事件でのヒーローたちはごく普通に働く普通の人々、エンドクレジットの前のテロップには涙でした
犠牲になるかもしれない覚悟で宿泊客を助けた従業員の人たち、実際に犠牲になった従業員の人たち、そんな立派な人たちのためにも世界で二度とこんな事が起こらない事を願うばかりです
救いようのない問題
高級ホテルは従業員も高級だった
十年ちょっと前に、インドのムンバイで起きたテロ事件を題材にした作品だそうです(ムンバイってどこだよ、と思ったら、ボンベイのことだった)。
実話ベースですが、そうでなくとも、サスペンスの佳作として見て損はありません。
そして、サスペンス的なハラハラドキドキの他にも、見どころは山盛りです。利用客のために逃げずに残ったホテルマン、ずるい大人に利用されている実行犯の少年たち、テロリストとは一緒にされたくないムスリムの女性などなど。
映画では分かりにくかったけど、タージマハル・ホテルでの犠牲者は、利用客よりも従業員のほうが多かったそうです。ここは強調すべき点だったと思います。上司から「逃げても責めない」と言われた従業員たちが残ると宣言する場面は、胸が熱くなりました。
ちなみに、その場面で「Guest is god.」と言っていました。「お客様は神様です」なんて言うのは日本人だけかと思っていたので驚いたのですが、あとで調べたら、インドには昔からある(三波春夫も生まれていない、はるか昔からあった)概念のようで、二度びっくりでした。
今年暫定一位
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