「人間としての純粋な思想との対比」ホテル・ムンバイ カメさんの映画レビュー(感想・評価)
人間としての純粋な思想との対比
個人評価:4.2
素晴らしくリアリティがある撮影と緊迫感。
被害者となった宿泊者やホテルマンの演技に嘘はなく、事件を目撃しているかのような没入感を与えられる。
本作はテロの実行犯とホテルマンの心情を見事に描けていると感じる。あのホテルマン達の自分の命を顧みず、お客様を助けたいと行動する心情はどこから来るモノだろうか。それはホテルマンとしてのプロ意識や、ホテルへの愛からだろうか。いや、それだけではないはずだ。インドというお国柄や宗教観からでもなく、そこには人が人を思いやる、純粋な人間の優しさや価値観が流れており、それは宗教よりももっと純粋な人間としての感情だ。その価値観と、テロを起こす犯人達の盲目の思想とを対比させ、事件を通して、人間とは何かまで描いていると感じる。
本作が映画長編デビューというこの監督。これから注目すべき作り手の1人となった。
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