「恐怖、絶望、不信、焦燥。負の感情がヒシヒシと伝わってくる。」ホテル・ムンバイ かつさんの映画レビュー(感想・評価)
恐怖、絶望、不信、焦燥。負の感情がヒシヒシと伝わってくる。
鑑賞中の恐怖感と絶望感、鑑賞後の虚無感と疲労感。こんなにも、負の感情に包まれた作品は今まで見たことありませんでした。。スゴい作品だと思いますが、2回目を見たいという気にはなりません。あまりにも、重すぎる・・。そして、これが実際に起こってしまった出来事だと言うことに絶句してしまいます。テロリストたちの襲撃シーンは忘れたくても忘れられない。よくある「撃つぞ!おとなしくしろ!」などの脅し文句など一切ない、見つかった瞬間に撃ち殺される恐怖。そんな恐怖を突然味あわされる絶望。そういった感情がヒシヒシと伝わってくる。そんな中でも宿泊客の安否を優先するホテル従業員たちの行動に言葉にならない尊敬の念を感じました。特に、さっきまで銃撃にさらされてたフロント係の女性が怯えながらすぐに客室に次々と電話し始めたシーンはとても印象的でした。
ただ思うことは、この作品ではムンバイの人々がこのテロ被害を乗り越えて立ち上がる話を描いたシーンが短すぎるように感じました。「テロとの戦い」は、「報復」ではなく、「乗り越えて前に進むこと」だと個人的には思います。そういう意味で、ムンバイの人々のこの悲劇の後、立ち上がり前に進んでいこうとする姿はもっとしっかり時間を取って、入れてほしかった・・。他作品で恐縮ですが、「パトリオットデイ」ではきちんとそこがクローズアップされていたから悲劇のストーリーだけれども、最後のシーンでは涙したし、鑑賞後は希望を感じることができた。しかし、この作品の鑑賞後に感じることは、やるせない気持ちとテロリストへの憎悪でした。「憎しみの連鎖」はそれこそこういうテロ組織が狙っていること、そういう意味でそういう感情のまま、この作品が終わってしまったのは非常に残念です・・。
コメントありがとうございました。
> 「テロとの戦い」は、「報復」ではなく、「乗り越えて前に進むこと」だと個人的には思います。
なるほど。俺も、「パトリオットデイ」を観ようと思いました。教えてくれて、ありがとうございます。