「犯人も人間、そしてホテルスタッフの命がけの戦い」ホテル・ムンバイ yamappleさんの映画レビュー(感想・評価)
犯人も人間、そしてホテルスタッフの命がけの戦い
2008年に実際にインド、ムンバイのタージマハル・ホテルで起きたテロ事件をテーマにした映画。
ホテル内で死者100人以上と言う、本当に恐ろしい内容でした。
実行犯は皆大学生くらいの年齢で、パキスタンで特殊な訓練を受けたテロ部隊の少年兵。同時にCST駅やカフェなど、欧米人観光客の多い様々な場所を皆襲撃していき、一般の人は銃で無差別に撃たれて殺されていきます。
その容赦なさといったら…逃げる人を撃ち殺していく姿が、少年なのに、信念を抱く姿が怖かったです。
ただ、彼らを洗脳したブルと呼ばれる宣教者がいるのですが、未だ黒幕の彼が捕まっていないというのが、余計闇を感じます。少年たちはコマだったわけで、一方でその少年たちも家族へお金を贈ってもらえるという約束があってやっていた、ということもわかります。
また、当時の欧米人の、インド人に対する人種差別的な見方や理解のなさも描写されていて、このテロが起きた必然も感じるような内容でした…。ターバンを巻いているスタッフを嫌がるなど、あまりにも人を外見で判断しすぎだなあと。
そんな、いつ誰が殺されてもおかしくないのに、ホテルスタッフが、一生懸命お客様を命がけで守ろうとする姿は、本当に素晴らしかったです。インドのサービスって適当なイメージだったのですが、タージマハルホテルは最高級だからか、お客様に対する心遣いが素晴らしい様子も描かれていました。最後まで、どこが安全か、どうしたら皆が助かるか、考えて誘導していく姿、素晴らしいです。
ただ、最近のインド映画は、イスラム教が悪いことをした、的な映画が多すぎる気がします。この映画もだし、先日観たパドマーワト、最近上映していたケサリなど、どれもイスラム勢力から自分たちを守るストーリーばかり。モディ首相のヒンドゥー至上主義の影響が強い気がしました。これでインドがおかしな方向にいかなければいいなあと思います…。