永遠に僕のもののレビュー・感想・評価
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マリリン・モンローみたいだ
とんでもなくドスケベに撮ってくれちゃってまあ。
顔面の造形が良いってお得ね。何かコトを起こすならその前に整形するべきね。
「黒い天使」ことカルリートス・エディアルド・プッチの半生をシレッと描いた作品。
実在の犯罪者を描いている以上もちろん被害者やその遺族も実在するわけで、この映画を観てカルリートスの一挙手一投足を楽しんでしまうことに罪悪感をひとつ感じながら。
大きな目にぷるぷるの唇にむっちりした躰、溢れんばかりのフェロモンが漂う彼のビジュアルを全面的に活かして、あっけらかんとそれに頼り切る姿勢が潔い。
しかし人間関係の機微を細かく入れ込み、繰り返す盗難と殺人の行く末もきちんと見せてくれる脚本も良くて、単なる雰囲気映画に収まらない骨の太さを感じた。
大胆で恐れを知らないその手口は、どこか詰めが甘いのに抜かりない。
「あ、見つかった。」で即射殺しちゃう、後先考え無しの飄々としたその姿勢にはどうしても惚れ惚れしてしまう。
最近銃殺の恐ろしさに目覚めてしまったのでたまらない。何もわからないまま突然命を奪われる感覚って怖すぎる。勘弁して。
どこまでも悪びれず飄々としてみせるカルリートスの中に一つある、深く熱い眼差し。
これまた噎せ返るほどの色気を孕んだクドいビジュアルのラモンへ向ける感情の正体は何だったんだろう。
恋愛の情と言うほど分かりやすいものではなく、ただのバディと言えるほど割り切れてもいない。
しかし確実にある執着心。
テレビの中で共に歌い踊るシーンが狂おしいほど好き。
ラモンのスポンサーや共に出てきた男へ寄越す視線から嫉妬の情は隠せない。
辿り着くひとつの行動の安易さ。
複雑な気持ちを抱きながらもカルリートスには単純な答えしか出せなかったのね。究極でもあるんだろうけど。
ふいに帰ってみせる気まぐれさが好き。
親からしたらたまったものじゃないよね。
大好きなカツレツをマヨネーズたっぷり付けて食べる姿が可愛かった。
幼少期から出癖が悪かったと思われるカルリートス。
明らかにおかしい「借り物」を強く問いただすことなく、押さえつけて閉じ込めてでも彼を止めることはなかった両親は、果たして責められるべきなのか。
多すぎる被害者を想うとどこかで強制的に断たせるべきだったとは思うけど、それで立ち止まれるような人じゃないことはとうに知れている。
当事の外から好き勝手に喚き立てるのは楽だろうけど、人間って善悪のどちらかに振り切れるものじゃない。
みんなその狭間でなんとかバランス保ちつつ、どちらかに傾いてみたりゆらゆら揺れてみたりするものでしょう。
カルリートスには堕ちたつもりもないだろう。
盗みの才能は天性のものだろうけど、モノへの欲望がそこまで強いようには見受けられない。
何のために何をしていたんだろう。
終始彼を観ていたけど、よくわからないことはきっと彼にもよくわからないのかもしれない。
彼のやったことを書き連ねた記事を以前読んだ時に抱いた印象とはまた違うものが得られた。
もっと無感情な人間かと思っていた。
人の心を感じられない点もかなり多いけど、意外とその奥にベッタリした想いがあるのが面白い。
最後の最後に頼る先は結局そこだし。(実際がどうであれ、映画のなかでは。)
ところどころでフフッと笑えてしまう間や見せ方を挟むのがズルくて好きだった。最後のシーンはもはやギャグ。
キャッチコピーに唸る。
ええ、漏れなく発情しましたとも。
クライムサスペンスではなく青春映画
若くして連続殺人犯となった青年が主人公と書いてあったが、殺人よりも窃盗・強盗の方が印象に残る犯罪だった。殺人は成り行きで犯したって感じ。シリアルキラーの映画を期待してはダメ。
そしてやってる盗みも適当で行き当たりばったりな感じ。70年代のアルゼンチンって取締りもゆるかったのかなと思ってしまう。クライムサスペンスとしてのスリルやカッコよさはない。
一人の青年が犯罪を犯しながら70年代前半を突っ走った青春映画として観るのが正解なんだろう。そういう意味で、主人公カルリートス(のルックス)と、流れてくる音楽がカッコいいのは正しい。大した盛り上がりも脚本的な仕掛けもないが、最後までちゃんと観ることができた。
退屈なのか、愛なのか
ブエノスアイレス版かまってちゃん
世界は泥棒と芸術家のもの。
1971年のアルゼンチン、ブエノスアイレス。実際に起きた事件がモデルというが、なにこのおしゃれ感は!
人のものを盗んで悪びれることもなく、友を裏切ってもしゃあしゃあとし、人を殺してもケロッとしている。まさしく、好きな音楽を聴きながら軽くステップを踏みながらダンスをするように、悪事をいくつも重ねていく。欲しいものはすべて自分のものなのだから罪の意識なんてないのだ。逮捕されたすまし顔の彼を、まるでアイドルを見つめる眼差しの少女まで現れる始末だ。凶悪犯でありながら、その容姿とのギャップに美しさを見つけ、神話性を求めているんじゃないのか? つまり原題の「El Angel」そのものを。
当時の時代背景(音楽、ファッション、自動車、ローテク、、)のアナログさがまたたまらない。そして、あのラストシーンの絶望。絶望なのに、なんで悲劇に見えないのだろう。
ちょう良
無軌道なイケメン
タイトルなし
なんだこれ
主人公の美しさがなければクソつまんない映画かも
面白い!
殺人鬼を肯定するわけではないけれど、
この主人公が魅力的なのは確か。(元の殺人鬼もこういう人だったのか…?)
悪気が一切なくただただ本能で自分に正直に生きている。よく言えば素直。
なんなら可愛がられるタイプでもあると思う。
「人を殺したそうだな」
「勝手に死んだ」
「その前に銃で撃ったんだよな。だからお前が殺した」
「僕たち だ」
「僕たち…?」
「僕とラモンとあなた。3人でチームだ」
的なことを本心で言う、思考の持ち主。
人として1番怖いタイプの人間だと思う。
個人的に終わり方が好きでした。
堕天使の気持ちは誰にも分からない。が、演じたロレンソ・フェロのスター性は十分に感じた。
慎ましやかに暮らす夫婦の愛らしい顔をした1人息子が殺人犯に堕ちて行く過程が、やや感傷的に描かれる。
カルリートスのコソ泥から殺人者になっていく気持ちの移ろいをどう観るかは、観客に委ねられる。
「朝日のあたる家」が流れるシーンがあるが、あの時見せるカルリートスの表情が心に響くか否かでこの作品の評価は別れるだろう。
私には、躊躇なく人を殺める時の彼の表情は無機質、無表情に見え、負の印象が残った。
(近年の邦画で言うなら、「渇き。」で鮮烈なデビューをした小松菜奈のあの表情である)
だが、カルリートスを演じたロレンソ・フェロの彫像のような美顔と時折見せる憂いの表情には大いなるスター性を感じた。
新たなスター誕生となるか?
レトロスペクティブな風合いのクライムムービー。
<鑑賞日翌日、一部追記>
内容を象徴するような強い絵と音楽
家猫からジャッカルへ
1972年に20歳にして終身刑となり現在も服役中のアルゼンチン人の少年をモデルにした話。
悪びれることもなく空き巣を繰り返していた主人公カルリートスが、新たに通い始めた学校で出会ったラモンとその家族の影響もあり、どんどん凶行に及んで行くストーリー。
何かを語ったり諭したりする感じは無くてただただ彼の行いをみせていく展開で、あまり他の作品と比較するのは好きじゃないし人物像や雰囲気は違うけれど、敢えていうなら「KILLER 第一級殺人」の様なつくりかな。
犯行中は悪びれることはないけれど、親には隠したり発砲も皆の責任としたり人のせいにしたりと、試しているのか疎ましいのか本当は不安なのか…。
金儲けが目的という感じもなく、楽しいからか、あとで楽しむ為か、淋しいからか、何も考えていないのか。
彼の本意はわからないし彼を理解することは出来ないけれど、悪意があったというよりも、良心が無いというか線を引くところが違うというか、自由にやりたい様にやっただけだという感じがして、やってしまったことや結果に怖さというよりどこか物悲しさを覚えた。
残る複雑な余韻
カルリートスの殺害には差し迫ったものもなければ、必然性や怒り、或いは、高揚感もなく、観てる僕まで不感症になりそうだった。
この物語が実話をベースにしたものだというのだから驚く。
フィクションにしろ、ノンフィクションにしろ、映画で殺人鬼を描く場合、どこかに感情の起伏が出るものだが、カルリートスは徹底した不感症だ。
ロレンソ・フェロは男から見ても惚れ惚れするほどの妖艶な魅力をたたえ、抑揚を最大限に抑えた演技もデビュー作だとは思えないほどだ。
実在のカルリートスも相当な美男子だったらしいが、このロレンソ・フェロを見たらどう思うだろうか。
自分と同じだと思うのだろうか。
繰り返しになるが、実話として驚く。
そして、純粋悪とはこのようなものかと問われれば、同意もしづらい。
ただ、ゲーム感覚かと聞かれると、そんな気がして来て、もしかしたら今時、こんな奴がもっと出てくるのではないかと考えて、なんとも複雑な余韻の残る映画だった。
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