劇場公開日 2019年8月30日

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「褒めて言えば誇張のない、貶めて言えば特徴のない映画」トールキン 旅のはじまり Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5褒めて言えば誇張のない、貶めて言えば特徴のない映画

2019年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

劇場のバックヤードに潜んだ“2人”の背後から、「ラインの黄金」の冒頭の動機が鳴り始めたシーンには、鳥肌が立った。
だが、残念なことに、すぐに平凡なBGMに戻ってしまった・・・。

このシーンに象徴されるように、見終わった後、「ハテ、何の映画だったか」と考えてしまうほど特徴のない、何一つインスパイアされない作品であった。
だが一方、若きトールキンを、誇張なくリアルに描いた作品と賞賛することもできるはずだ。孤児、「不滅の4人」、エディス、言語学と学資不足、第一次大戦・・・。
また、ロケーションやセットが秀逸で、舞台背景はとても良かった。

残念だったのは、従軍のシーンだった。
自分はかねてから、小説「LOTR」は、従軍経験がないと書けない作品だと思っていた(物音におびえながら野営したり、満足な備えもないまま進軍したり・・・)。
しかしながら、P.ジャクソン監督のクソ映画「LOTR」の悪影響を受けたのか、ゴーストが勝手に出てきたり、単純で残酷な戦闘シーンだけで終わってしまった。
また、描かれた“フロド”と“サム”は、ある程度事実なのかもしれないが、出方が散発的であったため、変にしつこくて自分には興ざめだった。

とはいえ、トールキンがあれほど絵を描くことが好きだったとは知らなかったし、クソ映画「LOTR」の悪影響も最低限だったし、良い意味で予想を裏切ったシンプルな作品だった。

Imperator