劇場公開日 2019年9月6日

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「【透き通るように美しい”蒼”を基調にした映像が印象的な異色の青春ファンタジームービー。切ない想いを抱える青年を横浜流星が抑制した演技で魅せる作品。】」いなくなれ、群青 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【透き通るように美しい”蒼”を基調にした映像が印象的な異色の青春ファンタジームービー。切ない想いを抱える青年を横浜流星が抑制した演技で魅せる作品。】

2019年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 章立てで物語は進む。七草(横浜流星)のモノローグを織り交ぜながら・・・。

 プロローグで語られる<階段島、魔女> という蠱惑的な言葉に惹かれる。章が進むにつれ、<ピストルスター>という新たな言葉が呟かれる。

 階段島から、生徒が忽然と消えても、先生はにっこり笑い、”失くしたモノが見つかったのね・・・”と言い、気にする素振りを見せない。

 七草が”何故・・”と呟いた真辺(飯豊まりえ)が、階段島の高校へ転入してから、物語は面白さと、ミステリー要素を増していく。

 <うーん、面白いぞ。この作品は・・・。(独白)>

 ミステリー要素を巧みに織り込み(魔女に会うための階段の落書き犯に間違われた少年はいつもエドガー・アラン・ポーの文庫本を読んでいるし・・)、多くの少年少女が成長する過程で抱えるテーマをある形で具現化し、さらに秘めた想いを微妙な匙加減で塗し込んだストーリー展開と少年少女が口にするセリフの数々が秀逸である。

 更に、「青の帰り道」で瞠目した横浜流星さんの抑制した中にも強い想いを込めた演技に驚き、飯豊まりえさん始め、若手俳優さんたちの煌びやかな姿に魅入られた2時間であった。

 エンドロール途中に一瞬挟み込まれたシーンも印象的な少し異色な青春ファンタジー映画の良作。

<この作品が醸し出す独特の雰囲気、世界観は、「1999年の夏休み」の不可思議で幻想的な世界観と抒情性と通じるモノであるなあ、と思った作品。
 アニメ漫画原作の青春映画とは明らかに一線を越えたレベルの作品でもある。>

<2019年9月8日 劇場にて鑑賞>

NOBU