CURED キュアードのレビュー・感想・評価
全6件を表示
【”人を噛み殺した記憶は、決して消す事が出来ない。”ゾンビ・パンデミック終焉後、元感染者が”回復者”として社会復帰した世界を描いた作品。】
■人間を狂暴化させる新種の病原体メイズ・ウイルスによって大混乱に陥ったアイルランド。
6年後、治療法が発見されたことで秩序を取り戻し、治癒した“回復者”は社会復帰することになった。
しかし、回復者たちは感染していた時の記憶を抱え、耐えがたいPTSDに苛まれていた。
◆感想
・設定が秀逸である。ゾンビ映画は、一度ゾンビになってしまったら、人間には戻れないが今作では、一度ゾンビになった人たちが”回復者”として、社会に適合できるかという点にフォーカスしているからである。
・夫をゾンビに殺されたアビーの元へ”回復者”であるセナンが戻ってくる。周囲の厳しい目がありながらも、アビーは彼を受け入れる。
だが、”真実”をセナンはアビーに話すことが出来なかった。
・”回復者”として、人間の尊厳を求める元弁護士ながら、いまや町の清掃員になっているコナーの存在も、今作では重要である。
<何とも、重苦しい気分になる映画であるが、今作を観て思い出したのは、コロナが蔓延し始めた頃に、コロナに罹患した人たちへの一部の人達からの偏見である。
今作は、ラスト、”回復者”(回復者はメイズ・ウイルスには抗体があるため、感染しないという設定も良い。)であるセナンが、メイズ・ウイルスに感染したアビーの息子を”治るから・・。”と言い、抱きかかえて暗闇に消えて行く姿である。
コロナが終息しつつある現在であるが、結局は人間が理性と知恵を保ちつつ、冷静に対応する事が大事なんだよな、と思った作品である。>
よくわかんないことだらけ
ゾンビから回復するっていう設定は面白い。コロナ流行初期の頃って確かに治っても罹ってたとか言いづらかった雰囲気があって、そうそう〜とか思ったけど、ん?兄はなんで死んだの?ゾンビに噛まれてゾンビにならないケースもあるの?ストーリーの時系列的に治療したけど回復しないパターンではなさそうだよね。この説明がないからずーっとモヤモヤしたまま映画は進んでゆき、そして最後、なぜキリアンをホントに博士のところに連れて行かない?まあ実際博士は死んでるんだけど、まだこの時点では知らないはずよね。連れてったけど死んでたから逃亡感染者集団に参加したってこと?ちょっと作りが荒すぎて認められないよ。リドリー・スコットあたりが作ったらすごい面白い映画になったのではと思わせる近年のもったいない映画ナンバーワンでした。
単なるゾンビ映画で終わらない
差別や弾圧といった今の社会情勢すらも孕んだ様々な問を投げかけてくる映画
自らがもしその立場であったなら
善悪の区別も含めて何が正しくて何が間違っているか 明確に分けることは出来ないと感じられた
もし生存者の立場であったなら回復者を受け入れられるだろうか、もし回復者の立場であったのなら感染していた時の記憶を保持したまま抑圧され差別される社会に反発を覚えないだろうか
コナーの思惑は暴力的に過ぎ、世界を破滅させる道でしかないとは思いながらも、トリガーを引いてしまったのは生存者だった
彼になびく回復者の気持ちもまた理解できる
全てを描かないことで見る側に解釈の余地を残し、苦悩や絶望、救いといった様々な感情を与えてくる
終わった後に深い余韻が残った
元の世界には戻れない!
ゾンビによるパンデミック後の世界を描いた異色作。感染すると凶暴性を帯びて、非感染者を攻撃する恐ろしい「メイズ・ウイルス」。どれくらいの人間が感染していたかは定かじゃなかったのですが、感染者の75%は人々を襲った記憶を持ちながらも治癒し、社会復帰するという設定です。しかし、差別や嫌がらせは想像を絶するもので、町から出ていけと罵られ、新たな隔離を強いられるほど。就職先も人の嫌がる仕事ばかりで、、元弁護士であっても清掃員をやらされたりしている。それでも、今のコロナ禍と比べれば、仕事があるだけましだと言える。
「元の世界に戻れない」とはこういうことか!アイルランド産の映画なので、こうした描写は得意なのだろう。軍人と民衆がぶつかりあう姿。感染者が隔離病棟で安楽死させられる映像までは見せなかったけど、不満は爆発。あちこちでテロを行うようになる「回復者」たち。また、回復者たちはゾンビだったことの記憶を失っていないので悪夢を見続ける・・・
一つ面白い設定なのが、感染者=ゾンビは仲間だと感じるためか「回復者」を襲わないという点だ。つまり、放っておくと、感染者と回復者だらけになることになり、健常者は少数派に陥ってしまうのです。それを利用しようと回復者のリーダー・コナーが医者も仲間に引き入れて隔離病棟を解錠するのだ。夫を亡くしたアビー(エレン・ペイジ)の息子もついにはゾンビに噛まれるという悲劇もあるのですが・・・人間社会を分断するまでになれば、結局は同じように感染してしまった方が楽なのでしょうけど、75%しか生き残れないし決断も難しい。
コナーがやがて選挙に出馬するというオチにも唸らされるました。果たして健常者と回復者は共存できるのか。再感染はしないとは言ってたけど、内なる暴力性も潜んでいるのだ。ただ、差別的暴力を見せる健常者もいることだし、ゾンビという兵器を持った回復者との争いは永遠に続くのだろう・・・全員が感染するまでは。
【2020年5月27日、金沢コロナワールドにて】
主人公に苛立ち
どの視点で見るかで感想は大きく変わりそうなストーリーに思えた。
非感染者、感染者もしくは回復者どちらにも肩入れせずに見ようとしたが気づいたら最終的には非感染者の視点で見てしまっておりコナーへの不快感と主人公のセナンとアビーに苛立ちを感じてしまった。
ストーリーは予告で流れていた通りゾンビ化した人間が健常者として回復するものの、社会からは拒まれ政府から殺害されるのではないかという噂が流れる。
その為回復者は社会、政府に反逆すると言った話だ。
その反逆者を率いるリーダーがセナンの知人であるコナーになるのだが、こいつがまぁ悪い奴である。
自分が家族、社会から受け入れてもらえないことから、家族に受け入れてもらってるセナンに嫉妬し、彼に対して数々の悪事を行うのだが、セナンもアビーも躊躇した行動が多く自ら穴に嵌りに行くシーンが多い。
最終的にはコナーの思惑通りに話が終わりバッドエンド。
バッドエンドで終わる作品はやはり気持ちが良いもんではないが、この作品はストーリーに合わせて登場人物が動いてる感を時折感じてしまい、主人公目線でストーリーを追うと苛立ちは隠せなかった。
大袈裟にいうと24のジャックの娘のキムを思い出すような…
まぁただゾンビ映画とあって、適度のサプライズシーンが多数ある為、スリリングな気持ちで楽しめたのは良かった。
続編があるならあの街がどうなったかは凄く気になる。
ネタバレもあるが、主演のエレン・ペイジに一言。
この映画を評して、今までのゾンビ映画として位置付けるよりは、どちらかというと社会派ドラマとして成立しているというかたもおられる。つまりゾンビ菌自体を、映画の題名通り、25%の感染者を除いて、感染を克服したような世界観を描いているからだと思うのだが......。
アイルランドの映画と聞いて、暗い映画を想像してしまったので、二の足を踏んでいたのだが、観終わって、面白い映画の印象が強いうえに海外向けに作ったのかどうかは知らないが、分かりやすく、また聞き取りやすい英語を使っていたのだが、もともとは、ゲール語を使い、イギリスの植民地の為にやむを得ず英語を使わなければならない経緯があるのだが、それとは別にりシナリオ自体が元感染者に対する社会の風あたりや主人公の暗い顔つきを見ているとテンションがどうしても下がるけれども、そんな中でも主人公と甥の関係が、映画を少しは和らげている。
Are you one of the Cured ?
-Yeah.
Will you be sick again ?
-I don't think so.
Is it nice to be back ?
-Yeah. It is.
1時間くらいは、何とも憂うつにするもので特に、主人公のセナが見るnon-linear narrative形式のフラッシュバックがそのものとなり彼を苦しめるものとなる。
NPRというアメリカの非営利ラジオ局の人がこのように言っている。「この映画は、興行的には疑いはないが、まっとうなゾンビ映画を政治色を出すことによって興味をそがれた。」なぜかと思っていると最後のほうに余計なシナリオが散見した。それもそのはずでアビー役のカナダ人俳優で、しかも政治色の強いエレン・ペイジが主演を務め前回観た「Into the Forest(2015)」では、今回と同様に映画製作にかかわり、原作が小さな本屋から口コミだけでベストセラーになった小説が原作の映画を見事にA box-office bombにし、つまらない映画としたアンポンタン監督のもと制作者の一人が彼女だったのを思い出させる余計なシーンが登場する。
1時間を過ぎたところから、ゾンビ映画らしくなっていくのだが.......?
I did tell you, Conor.
It's not your world any more.
イギリスの日曜版新聞紙Sunday Times (UK)の記者は、「血に濡れたものから作られた世界観があまりにも細かく描かれたせいで、荘厳なものよりは、どちらかというと安っぽいホラー映画という印象を残した。」と投稿している。
たとえが悪いかもしれないが、序盤だけを見ているとハンセン氏病患者と健常者の関係をベースにしているのではないかというようなことを邪推してしまうし、またアイルランドとイギリスの関係のようにも見えてくる。
アイルランドと言えば"IRA"と切っては切れない関係があるのは、ご存知の方は多いと思われるが、映画もおのずと見る機会は多くなるのだが、そんな中でもこの映画の特徴として、設定にある意味、意外性だけで持っていると言えば、言い過ぎになるのか...?
全6件を表示