「笑うに笑えない、こんなゾンビは嫌だ」CURED キュアード 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
笑うに笑えない、こんなゾンビは嫌だ
コロナ禍のさなかに鑑賞ということになってしまい、どうしても今の状況に置き換えた見方になってしまいました。
たとえば、近所にあのクルーズ船から帰宅した人がいる、とか、卒業旅行などで子供がヨーロッパから帰ってきたばかりの家庭における家族間の疑心暗鬼な心理とか…若年層は症状が出にくいし、潜伏期間が長いと聞かされているので親としても不安になるはずです。
でも、この映画から汲み取るテーマを、差別や排除に比重を置くのではなく、犯した罪に対しての〝赦し〟について、と捉えてみると少し違う景色が見えてきます。
たとえば、たくさんの死傷者が出てしまった列車の脱線事故において、その運転士にとっては理不尽で避けられなかったのだと思えるような理由があったとしても、被害者家族にとっては取り返しのつかない事態の結果を受け止めるしかないわけで、加害者側の事情などは言い訳にしか聞こえない。
加害者側の贖罪、被害者側関係者の心の置きどころなどについて、なんとも言えないやり切れなさを感じています。
こんなに人間臭いゾンビだと、殺られていくさまもなかなか正視できませんでした。
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kossyさんのコメント
2020年5月29日
琥珀さんお久しぶりです。
ゾンビ映画というのは、ウィルス感染も可視化できるのでわかりやすいですよね。問題は人間の心のほうです。ゾンビになって治ってしまうとその感染期間中の心までもがさらけ出されてしまうし、差別する側の心理変化もわかりやすい。
今の自粛警察も凶暴化すると、ゾンビより怖い存在になりますよね~
どの映画館もがら~んとしてますが、観客が少ないほうが気楽なので満足です。