CLIMAX クライマックスのレビュー・感想・評価
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限りなく透明に近いサングリア
サングリア飲むの怖くなったよ。バッドトリップでまあみんな狂ってるのだけど、なぜか目が離せない面白さがあった。ダンスのピンとしたテンションが効いていたんだな。ずっとラリってるだけではない緊張と弛緩。
エンドロールなしの終わり方は新しかった。
そういえば限りなく透明に近いブルー思い出しました。あんなかに若き日の三田村邦彦いたかな?
素晴らしかった
集団のダンスが素晴らしい一体感で感動しているとその打ち上げではメンバー同志は地獄のように全く仲がよくなくて、ダンスのみの一体感でショックを受ける。ダンス以降けっこうダラダラして退屈するし、登場人物が多すぎて誰が誰だか覚えられないのだけど、面白い。誰がLSDを仕込んだのか不明なまま終わる。なんだこれ?とも思う。冒頭のダンスが素晴らしくて後から見返した。
【”サングリアを飲んで、皆で地獄のシャングリラへ・・。”スピード・コカイン・マリファナ・ヘロイン(除く大麻)に興味を持っている方、必見です・・・。過去にトランス状態に陥った方も必見です・・。】
ー 雪が深々と降る山奥の廃墟に集まった22人のダンサー。
彼ら一人一人のインタビューが流れ、ギャスパー・ノエ監督お得意の
“エンドクレジット逆廻し”
の後、饗宴・・狂宴が繰り広げられる・・。ー
◆”96年の冬の実話に基づいて・・”というテロップの後に流れる
『誇りを持って、世に出すフランス映画』
ー ギャスパー・ノエ監督が、様々な批判に晒されながらも、世界の映画界を挑発する気概が伺える。ー
◆ストーリーはシンプルである。観れば分かる。
と言うか、ストーリーは無いと言っても過言ではない。
◆22人のダンサーの中で、プロの俳優は、「キングマン」の女殺し屋をキレッキレの動きで演じたセルヴァを演じたソフィア・プテラのみ。
他は、演技素人のダンサーだが、狂乱振りが尋常ではない・・。
・立ったまま、放尿する女性ダンサー。
・自傷行為を繰り返す女性ダンサー。
<”フランス国家が、蔓延する薬物中毒者撲滅のため、ギャスパー・ノエ監督に制作を依頼したという曰く付きの作品・・”と言われると納得しそうな、狂気性横溢感が、尋常ではない作品。
序盤のインタビューで”同僚が、眼にLSDを目薬の様に入れているのを見て、もう駄目だ・・”と語ったロシア人女性のラストシーンが強烈である。
薬物によるトランス状態の恐ろしさを、見事に表現した作品である。>
まさに"狂気"乱舞…!
何者かが盛ったLSD入りのサングリアを飲んだことから始まる、地獄の一夜を描くお話。
公演を控えた22人のダンサーたち。3日間に及ぶ厳しいリハーサルを終えた後、打ち上げパーティーを始めるが、そこで振る舞われたサングリアにLSDが入っていて…….。
時間が経つと共に彼らは薬物の影響を受け始め、徐々にトランス状態へと落ちていく。いや、ここでは"堕ちていく"と表現するのが妥当だろうか。
ギャスパー・ノエ作品はいつも挑発的というか、挑戦的というか。"映画は観るものを作品に巻き込む。"というが、今回の彼の作品はレベルが違いすぎたと思う。もちろん、私自身日常生活を送る中で薬物との関係は無縁であることは言うまでもないが、その無縁である"薬物"に対して恐ろしいほど親近感が湧いたというか、体験したこともないはずなのに、「ああ、こうなるのわかるなあ。」という、確信的なものを感じてしまった。
この作品はそんな感情になれば、まさに監督の思うツボなのだろう。事実、鑑賞中何度も微笑が止まらなくて、仕方がなかったのだから。但しレーティングはR18+。強い性描写や、暴力描写などはないが、不快指数はかなり強め。警戒が必要だ。
パーティーが壊れていく
ダンス公演のリハーサル合宿で起きた実際の事件をもとにした話。
冒頭はインタビュー、その後延々とダンスシーン。ここを退屈せずに観れるかどうかがポイントのような気がした(個人的にはダンスシーンはよかった)。本物のダンサーたちが演じていると聞いて納得。
で、その後のパーティーになってからが本題。人間関係やキャラクターを徐々にわからせてくれるのかと思ったが、結構曖昧なまま進んでいく。あいつとやりたい、誰々とやったぜって下世話な話題(ほとんどがそんな話だけど)も、それ誰だっけ?ってなってしまった。
そして徐々にみんなが変になっていく。そこらへんでセックスしまくる展開なのかと思ったら、それ以外にも事件となるエピソードがいくつか。あいつは外に出されたままだなとか、髪燃えたあいつはどうなった?とか思いながら観ていたが、結局何か驚きの結末が待っているわけではなかった。実際の事件をもとにしているから仕方ない部分もあるかもしれないが不満の残る結末。
天井からのダンス撮影や天地を逆にするといったカメラワーク、エンドロールではなく冒頭のクレジット等、少し変わったことをやってる印象はあるがそれが効果的とは思えない。みんなが壊れていく様はとても興味深かっただけにもったいなく感じた。
不快感とスタイリッシュの同居
狂気の一夜を繰広げる阿鼻叫喚の地獄絵図を流行の先端なダンスを繰広げながら、人間の裏に潜む悪行を余すところ無く曝け出すホラー映画である。いわゆる“お化け映画”や驚かすような恐怖映画ではないが、鑑賞後の気持ち悪さや酔いは、今まで鑑賞した映画でこれ程体験したことはない。酒で酔っ払った集団を見て眉をしかめるなんてレベルではなく、“ドラッグ”というものの効能をこれでもかと追体験できる作りである。とはいえ、登場人物目線での疑似体験的アングルや視覚効果という手法ではなく、あくまでも第三者的に俯瞰した絵作りではあるが、映像が上下逆になり字幕も同様に上に逆に走るというような、奇抜な外連味で演出はされている。誰がサングリアにLSDを混ぜたかなんていうサスペンス的要素が前半には展開されるのだが、どんどんドラッグの幻覚作用により、快感と苦痛が交互に押し寄せてくる登場人物達が、それまでの内に秘めていた葛藤や他者への攻撃性を手加減無くぶち込む様は、人間の理性なんてものは信じられないと、暗澹とした心地に陥ってしまう位だ。子供を連れてくる母親や、LGBT、妊娠等々、無軌道を極めた人間達への自らの罰なのかもしれないと、これは“デヴィルマン”にも通づる解釈なのかも。
沢山の登場人物、しかも外国人達なので、顔と名前が一致せず、結局整理できずにラストの種明かしになってしまったので、ネットで調べて始めて犯人が判明した位、サスペンス要素はどうでもよくなる。それぞれの人物の体や脳に起こっている事は分らないが、その異様な行動をこれ程洪水のように浴びせられると、観ているスクリーンの外も多大なる影響を及ぼすということをはっきり実感できた唯一無二の実験作であろう。ダンサー達の研ぎ澄まされた精悍な肉体が却ってドラッグの影響により、中毒患者の枯れ木のようなギスギスしさを醸し出している演出も凄みを感じる。サイコホラーとしての最新版として、今作を高く評価したい。
表現できない不快感と中毒性
ギャスパー・ノエ監督作品は初視聴。
パーティのサングリアにLSDが混入され、集団ドラッグ中毒に陥る様子を映すカメラワーク、BGM、演出から見ている側も、ドラッグ中毒のような感覚になる。
映画を見る中で、部屋に進んで欲しくない、もう見たくない、もう聞きたくないという拒否反応が抑えられなかったが、何故か釘付けになる。目が逸らせない。
狂った集団の中でも正気を、倫理を保とうとする主人公が魅力的だった。
また、序盤のダンスシーンは圧巻。
ギャスパー・ノエ監督の他作品も見てみたくなった。
人間性=肉体性崩壊
ギャスパーノエの映画は初鑑賞
なんとまぁ 他の映画に例えようがない ぶっ飛んだ映画であった。
始まっていきなり エンドロール(エンドじゃないけど)が流れるぶっ飛んだ構成に これがギャスパーノエか! とぶちかまされる。そのあと、まるで後々の地獄への助走かのように、割としっかり長いインタビューシーンを通じて登場人物達の 人間性 とその向こう側にある 危うさ みたいなものを見せた後、怒涛のダンスシーンへ突入。
ソフィアブテラ以外はみんなプロのダンサー(追記、映画秘宝インタビューによるとほぼアマチュアの人もいるとのこと)ということもあって、ダンスシーンのバッキバキ度合いは凄まじくカッコイイ。
個人的にはこのダンサー集団の持つ 肉体性 がこの映画のキモであったと思う。
ダンスシーンの後には 人間って嫌だねー という部分が少し垣間見える会話シーンが少し入りいよいよ地獄の幕開け。
のちに地獄が始まることを知ってる観客としてはこの会話シーンがとにかく不穏!
そしてようやくタイトルが出たらいよいよ…
おしっこ漏らす人あり、妊婦への目を覆いたくなる暴力あり、頭燃える人あり、子供が死に自殺する人あり、
とにかく! LSDに人間性を奪い去られた集団が閉鎖空間で繰り広げる 地獄 としか言いようがない展開のつるべ打ちに見てる側も クラックラしてくる。
執拗な長回しによって抗いようのない没入感があって観る側を地獄から逃してくれないし、クライマックスはもう何がなんだかわからなくなるカメラワークでもう完全なるカオス!
あと、このダンサー集団の人間性の崩壊が=肉体性の崩壊というものと密接に関わっていて、途中のソフィアブテラのバットトリップシーンとか、ダンサーだからこそできる人知を超えた肉体表現が、とてつもないところに行ってしまった人間達の表現としてとても素晴らしい。
全てが終わったあとにそれぞれが迎える朝、そして… という切れ味も良し。
個人的にはもっと直接的にビジュアルに訴えてくる毒性の強い描写があった方がキャッチーさが増して好みだったのと、いくらなんでもインタビューシーンと会話シーンもう少しテンポよく行けないのかな という点が引っかかるけど、こんな映画他にはないのは間違いない。
気になったが最後見ずにはいられない映画だろう。
ダンス&ミュージック、字幕の出し方
ダンス&ミュージック、字幕の出し方が斬新でカッコイイ。途中でクレジットが出るので、終わった?と勘違いしちゃうけど、ラストがあっさりしていて、より印象深かった。
ここからはネタバレなので観てない方は読まないでね。
最初は雪の中を血まみれで這いずる女性…全く謎だが…映画の中で、どうしてこんな事になったか?の説明がなされる。
ダンサーの短い自己紹介コメントの中で、LSDを目薬のように差す隣人から逃れてきたと云うベルリンから来た女性、二重人格だったのね、彼女。
とにかく、くねくねダンスが凄いし、音楽もいいので、爆音で観てみたい。
エレクトロ漬け
人里離れた雪の中の建物で3日に亘るダンス公演のリハーサルが終わり、そのまま始まった打ち上げパーティーでの出来事で、1996年の実話に基づく話とのこと。
白い世界に黒い服で赤い肌の一人の女というオープニングから、オーディションと思しきインタビュー20分という序盤。この作品大丈夫か?と不安になってくる。
やっと始まったと思ったら、いきなり圧巻のダンスリハ約10分!…からのパーティーを開始して、またまたタラタラ約20分wおいおい本当に大丈夫か?と思いつつも登場人物の性格とか人間関係とかは勿論、会話の内容がキーかも知れないからとしっかり鑑賞。
約50分の前フリが終わり、カメラが動き始めたら急激にカオス状態になって行く。
ここまでのダンス以外の単調な感じやBGMと色調等のまったり感から一気に盛り上がって行く感じは素晴らしかったしホント興奮した。
しかしながら、又々20分くらいで少しなだらかになり飽きてきてしまい、そこからは惰性みたいな感じで、さあ、何が!!?
…特にないというかそれだけかというか意外性もなく終了。
パーティーの会話も中味はどうでも良くて、どんなキャラかとちょっとだけ相関をみせる為だけのものね。
ダンスと前フリ明けの高揚感は凄かったけど、結果としてちょっと行き過ぎたパリピのバカ騒ぎをみせられた感じ。その割には何故かみられたけど。
ドラマ云々より感覚を味わう作品なのかな。
サングリア(sangría) どこかで飲んだような?
個人的に数秒間、見ただけで敬遠をし、鑑賞ができる環境にありながら勝手に塩漬けにして、数か月の間、見るのを放っておいたモダン・ミュージック・ホラーとされる作品。
冒頭のダンスシーン、赤を基調としたフロアでダンサーが踊り始める。肌の色が違えば、人種も違う。男女関係なく、ジェンダーなんて言葉も存在しない。太いのも痩せも、小さいのも大きいのも不揃いの衣装を着た異様な22人。表現が悪いが、そのデコボコした統一感というものを無視した中に言葉に言い表すことが出来ない反転した”調和”が存在し、圧倒される。
Psychology Todayというサイトより、「ダンスは音楽によって合法化された水平的欲求の垂直的表現である。」ある有名な劇作家の言葉。また「ダンスが何らかの形で人生の熱狂と欲望、別の人間の魂、そして他の人の身体との接触への欲望と一致しないなら、それはダンスではない。」
欲望、欲望、欲望、欲望!!
シナリオとして、ダンスが終わると、カメラが、なめまわすように登場人物をとらえ、少ない人数の2人ないし3人ずつによる会話から各々の登場人物が共有している考えや彼ら自身の性格を押さえ映し出している。この映画には、主人公はいるにはいるが、だれかれ関係なくアップビートの音楽が次から次へと流れる中に群像劇要素を色濃く取り入れている。
"Living is a collective impossibility"
Bustle:オンラインのアメリカの女性誌。 女性向けの美容、有名人、ファッションのトレンドに関する記事と並んでニュースや政治を取り上げている。「ダンスとセックスの間の明白なリンクを否定するものがないことを知っています。 両方の行為は私たちの主な衝動を利用し、両方とも、グループで、またはソロで完全に結合して実行できます。」
中盤になるとドラッグによる過渡期になり、今度は天井からフロアに向けての彼らの素晴らしいパフォーマンスが見られるが、この時より、精神的崩壊に向かっていくように受けとめられる。
アメリカの都市デトロイトの主要新聞社Detroit News:「映画"Enter the Void(2009)"で、彼はこの効果を使って幻覚の体験を映像化したが、しかし、ここでは、悪い男の子はトリックを使い果たしているようで、彼はその効果をやり続けることができることを証明するためにだけ、懲りずにあなたの脳に打撃を与えようとしている。」また、ライブイベント、音楽、映画などについての評判の良い文化と意見の源と自負しているIsolated Nationというサイト。「この種の物語は息苦しい感覚的重圧による簡単に終わる可能性がありますが、監督のカメラが映画に出演の各被写体を、感情的に遠く離れていても、安定して、興味深い目で追っています。」
ソリッドシチュエーションの中に時間という存在を無くし、色々多彩な照明を使いながら映像自体は角度の異なったカット割りを多用し躍動感を出している。後半に至っては、怒号とも叫びともとれる声をサウンドスケープ(音風景)として使っている。ラストの大団円では、赤と黒を基調としたダンテの憤怒者の地獄のように大勢の者が1人を責め、またある者は個という自分自身の内を責めている。
"Death is an extraordinary experience"
冒頭のインタビューのシーンで、このクレージーな企てをしたものがコメントを述べていたが、とっくにそんなことはどうでもよいものとなっていた。
この照明の色使いと音楽に合わせて、ある意味、軽い麻薬的なものが出演者だけでなく視聴者に対しても影響を与えている.........
余計なお世話:ディバイス環境が整っていない中での視聴は避けられたほうがいいかも。映画館って、何よ? 映画館の設備次第。
警察官が来ると自然光がさし、キリスト教の最後の審判か? ローリング・ストーンズとしては、当時として珍しいバラード「Angie(1973)」のインストゥルメント曲だけが流れる。
そして、終わりを迎える.......
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