「イギリス映画伝統のストーリーテラーぶりが堪能できる」ガーンジー島の読書会の秘密 MPさんの映画レビュー(感想・評価)
イギリス映画伝統のストーリーテラーぶりが堪能できる
チャンネル諸島に浮かぶ小島、ガーンジー島で、ナチスの目を盗み、島民たちが秘かに愉しんでいた読書会に纏わる秘密が解き明かされていく。わざわざロンドンから島にやって来た作家の目を通して詳らかにされていく戦争秘話は、悲しく、意外性に富む内容だが、物語の主眼はそこにはない。人生の選択に悩んでいた主人公の作家、ジュリエットが、読書会に集う人々のドラマに触発され、自分にとって最も相応しい居場所を見つける、自己発見の物語なのだ。映画は前半まで、ありがちなハートウォーミングものかと思わせて、ラストの20分で一気に急展開して、あっけなく幕を閉じる。緩急を付けた脚本と、余韻を残す演出。これは、イギリス映画伝統のストーリーテラーぶりが堪能できる1作だ。
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