囚われた国家のレビュー・感想・評価
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管理された国家
どことなくエイリアン=ナチスといったイメージがあるのですが、そんな権力によって主権を奪われ、首に埋められたGPSによって管理された社会を描いています。
もちろん今の新型コロナウィルスによる不要不急の外出禁止にも似た雰囲気が感じられ、IT技術により国民の行動履歴が全て把握される世の中。まぁ現在ではスマホでのプライバシー破壊が考えられるところを首の発信器にしたと思えば理解しやすいですね。
ストーリーは伝説的なレジスタンスであったラファエルを兄に持つ青年ガブリエルの目線、そしてジョン・グッドマン演ずる警察の目線で描かれています。レジスタンスたち(英語ではテロリスト)がスタジアムの演説会に現れる統治者の操り人形の政治家に爆弾を仕掛ける計画を立てる。成功するものの操るエイリアンが現れ、絶体絶命のピンチに…
地球の資源を奪う異星人というと、なんだかドラえもんのストーリーにありそうですが、主人公兄弟がドラモンドという姓なのは偶然か、狙いか?そう考えると、透明の爆弾なんてのもドラえもんの秘密道具にありそうです(笑)
名前が大天使の兄弟という設定もさることながら、ベラ・ファーミガの役名がJane Doeになってることも絶妙です。そしてナット・キング・コールの「スターダスト」も意味深で印象に残りました。
膨大な情報量と少ないセリフに秘めた、戦う意志
素晴らしかった。
これは決して、潤沢な予算で作った派手なドンパチSFXの戦争映画ではない。
なので、それを期待していた方には肩透かしかもしれない。
これは人間が、自由と尊厳をかけて、監視システムと戦う話だ。
宇宙からの侵略者に負けて服従した人類は、全市民の身体にGPSが埋め込まれ、死ぬまで監視されるようになった。
「統治者」と呼ばれるようになった異星人たちに対して、自由を取り戻そうと願うレジスタンスたちが、いかにして監視の目をかいくぐり、テロ(というかゲリラ)攻撃を仕掛けていくかがこの映画の肝。
実にスリリング。
心理戦の緊張感と、複雑な計画の達成感に同期できるか。
そしてもう一つ別の見方もある。
冒頭で殺された刑事夫妻の二人の子供たちを成長を見守る=人類の未来を守ろうとする、大人たちのやさしさの話でもある。
絶望しない、諦めないという決意。
敵は宇宙人という形をとってはいるが、これは相手が特定宗教や暴走した軍事国家など、同じ「人類」と考えてもありうる話だし、この物語を理解しやすいとも思いました。
説明セリフがないため、行動やセリフにどういう意味があるのか実に理解しにくいという側面があり、それゆえ「よくわからない」という評価になりがち。
しかし、画面には膨大な情報量が存在し、読み取っていくことで面白さが加速しました。
二度目、三度目の鑑賞の方が、より面白さが増していくタイプだと思いました。
ガンキャノンは?
2019年に地球に侵略してきたエイリアンに統治された2027年のアメリカで、フェニックスと呼ばれるレジスタンスがテロを画策する話。
2019年、パニックに陥るシカゴから逃げ出そうとする刑事の家族の様子から始まり、そこから9年間の出来事を年表的に字幕で説明。
冒頭の家族の子供と、彼に付き纏う父親の元同僚を軸に物語が展開していく。
しっかりみていれば判って来るけれど、登場人物が誰なのか、何をしようとしているのか、が良く判らない状態で話が進行していき、いちいち後から補完しなきゃならないところが多く面倒臭い。
ハイテクなんだかローテクなんだか突っ込んだらキリがない設定はガマンするにしても、ごちゃごちゃしているし、エイリアンや「統治者」と直接対峙するところもない訳ではないけれど、どちらかといえば目的の為に地味に暗躍する姿をみせるばかり。
終盤の展開はまあ良かったけど、冷静にみるとそんな程度で何とかなるのか?というね。
残念ながら自分には合わなかった。
予備知識がなかったせいか、観る前と観終わった後の印象が違う。設定...
私は大好きな作品でした。
【”従属か抵抗か” ”このような状況の際”に鑑賞すると色々考えてしまった作品。】
舞台は近未来(2020年代)のアメリカ、シカゴ。
突然飛来した”統治者”エイリアンたちに、支配されている地球。(但し、今作では他の国の状況は一切、映像では描かれない。)
“統治者”たちに迎合し、貧富の差が拡大する中、圧政を敷く政府。
トップはアイゴー本部長、及びマリガン(ジョン・グッドマン)
前半、マリガンの行動に振り回される。彼は、特権なのか、封鎖された地域に乗り込み、レジスタンス達を捜査する傍ら、ある女性(ベラ・ファーミガ)の家を訪ねて、意味深な会話を交わす。LP盤に針を落とし音楽を流す女性。本棚には多数の本が並んでいる。
前半はエイリアン達は朧気ながら登場するが、正体は明らかにされない。
何故、地球に来たかも、レジスタンス達の言葉から推測するのみ。
・観ている側が色々考えさせられるのだ。
レジスタンス達は、政府の監視を掻い潜り、あるものは一市民として、ある者は地下に潜伏して情報を流し、爆破テロを計画する。
・この辺りのストーリー展開は粗いが、飽きない。様々な手段を使っての情報の流し方など。
オリンピックの会場のようなところで、政府の要人が”統治者”達を迎え入れる(というか、崇める?)場面で、レジスタンス達のテロが決行される。
・ここからは、脳内ではエイリアン達、”統治者”は私の中では”別のモノ”に見えている。貧富の差から目を逸らし、強大な権力者に迎合する人々の姿。私たちの周りで現在も見る風景ではないか?
ラスト、マリガン(ジョン・グッドマン)がレジスタンスのリーダーの弟ガブリエルに渡したチップの中身が明らかにされる場面で、
彼の立ち位置とある女性(ベラ・ファーミガ)やレジスタンス達との関係が明らかになり、
”マッチを擦れ、戦争を起こせ。屈するな。”というレジスタンス達の言葉が蘇り、少しグッとくる。
<“統治者”エイリアンは、実は私たちの身近にいるのだ。私たちは命を懸けて今の状況に抵抗しなければならないのだ。と思ってしまった作品。多様な見方が出来る作品でもある。
(尚、エイリアンへの抵抗映画として単純に観るならば、3.0点である。)
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