劇場公開日 2020年4月3日

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「侵略者=統治者」囚われた国家 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0侵略者=統治者

2021年4月16日
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人類とエイリアンが「共存」していく世界は過去にも描かれたテーマである。その中で本作は規模の大きな作品で、世界観そのものが壮大である。何となく「亜人」のそれに見えなくもないエイリアンは中々不気味で、冒頭のシーンは鳥肌が立つ恐怖を感じた。実際ハラハラするシーンはそこ位であり、ストーリーのほとんどはエイリアンに対抗するレジスタンス達の姿と、エイリアンの言いなりになった国家の物語である。SF作品だが、現代に巣食う差別問題等を風刺した様な作品だ。娯楽で観る作品ではないだろう。

ビジュアル面では文句の言いようがなく、「綺麗」とさえ思える。これまた味のあるガジェットや宇宙船が登場するが、残念な事に特に活躍する事はなく、エイリアンを「侵略者」として描いてはいないようだ。それこそ本作のテーマだろうが、多少のドンパチを期待すると大打撃を食らうため注意が必要だ。自分たちの惑星を取り戻そうと奮闘する主人公らには感情移入させられるが、それらが静かに進行していくため、非常に地味な印象である。政治的なストーリー展開も多いため、終始小難しい様に思えてしまうが、キャストは秀逸。「死霊館」でおなじみのベラ・ファーミガ初め、実力派揃いなのは最大のポイントだろう。最近よく見かけるが、ジョン・グッドマンは名前の通り良い男!という感じ。
最後は皆彼に惚れるだろう。

Mina