「地味だが心にしみる佳作」ワイルドライフ AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
地味だが心にしみる佳作
ポール・ダノ、初監督作ながら演出の腕は確かだ。小説が原作だが、脚本を担当したのはダノの私生活でのパートナーでもあるゾーイ・カザン。彼女とダノと言えば、共演した「ルビー・スパークス」を思い出すが、やはりゾーイが脚本を書いた同作の主人公もナイーヴな青年で、こちら「ワイルドライフ」のジョー少年とも重なる。ダノもゾーイも好きなんだろうなあ、こういうキャラクター。
キャリー・マリガンとジェイク・ギレンホールの演技は悪くないが、新味に乏しい役柄だ。ジョー役のエド・オクセンボールドは、シャマランの「ヴィジット」ではお姉ちゃん役の子に押され気味だったけれど、今作では実質的な主人公と言ってもよいほど存在感があるし、ストーリーも彼の目線で語られる。気が滅入る要素が多いが、キービジュアルにもなっている家族写真のシーンがささやかな希望を残してくれる。
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