「ハリボテ夫婦と息子のイニシエーション」ワイルドライフ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリボテ夫婦と息子のイニシエーション
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ポールダノの初監督作品。おめでとうの気持ちで見に行った。
そういうのを脇に置いても佳作と言えましょう。好きなやつです。
この夫婦は、おそらく30代半ば。
30代半ばは、必ずしも成熟していないのです。
夫の身勝手さに身震いし、妻の不自由さに息が詰まりました。
夫が火消しの仕事(という名の逃避行)に行ってから、妻は働き始めますが、適度な働き口はなく、プロ愛人?みたいなよくわからんことになっていました。
この妻の迷走っぷりは、なんとも愚かでリアルで、でも息子がかわいそうで、辟易しました。
離婚してスッキリした2人が観れてよかったですが、その結論までを付き合わされるこどもが本当に気の毒。でも、でも、息子にとっては大人へのイニシエーションにもなって。
時代の不自由さ、登場人物の愚かさと悲しみ。
楽しい嬉しい大好きの世界とは違う、苦界をさまよう愚かな人間を断罪し、批判的でありつつも包括的には人を肯定する世界、といったらいいのかな?そんな世界が描かれてると思います。
私にとっては、とても、本物らしい世界。視点。
なので、好きです。
ただまぁ、元気な時でないと、しんどいかな。
疲れ切ってる時は、楽しい嬉しい大好きの単純で明るい世界が癒されますから。
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