「静かなのにドロドロの修羅場満載。」ワイルドライフ ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
静かなのにドロドロの修羅場満載。
結構ドロドロの修羅場満載だけど、こんなサイレント映画なかなかない。
家族の崩壊を、静かに、静かに、描いているところが逆に不気味…。
息子の目で見る、夫婦の姿がリアルすぎてとても辛かった。
夫婦生活が壊れるきっかけなんて、些細な事。
何が引き金になるかわからないから怖い。
山火事を食い止めるために、遠い山に出かけて行ってしまった夫。
夫が家からいなくなる悲しみに耐えられずに浮気した妻。
どちらも勝手なのは分かるし、多分妻の浮気の方を非難したくなる人が多いのかもしれないけど…。
女の私から見るに、妻の気持ちちょっと分かってしまった気がする。
いつもいつも、家族の為、夫の為に自分を犠牲にして、笑顔で優しく接してきたのに。
夫がリストラにあっても、励まして優しい言葉をかけてあげたのに…。
夫はそんな私の気持ちも知らずに、勝手に遠い山へ行ってしまった。
これは、まさに裏切りの行為と思ったのではないかな?
だから許せなかったのかもしれない。
私を置いて、出て行った夫のことなんてもう愛せない。
他の男と仲良くやって、自分の人生新しくスタートする!
そんな決意の表れが、妻の乱れた生活の結果なのではないかな?
流石にあんな母親見たら、息子だって誰だって困惑すると思う。
仲の良かった家族をずっと見てきただけに、息子の耐えられない気持ちもすごくよく分かるし辛いけど、一度壊れた歯車は二度と元には戻らない。
誰が悪いとか、何が行けなかったとか、後から後から色々考えたくなるけど、決定打がないから難しい。
徐々に積もり積もったものが、結果的にこのタイミングだったのかもしれないし…。
やっぱり夫婦生活って、他人同士の共存だからね。
最後までお互い添い遂げられる夫婦って本当に凄いことなんだと、今の時代だから改めて思います。
この時代の設定は1960年だけど、今の人が見ても全然人ごととは思えない。
むしろ今の時代に合っている映画だと思いました。
この事件をきっかけに、息子が大人の階段を一気に駆け上がって行った感じか何とも複雑な心境…。
大人って子供が思っている以上に、大人になりきれてないものなんだって実感した映画でした。