「職人としてのストイックさが際立つ傑作映画」工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
職人としてのストイックさが際立つ傑作映画
北朝鮮が核兵器を本当に持っているのか確認するために、CM撮影などを勧めるビジネスマンとして、北朝鮮首脳部と接触しようとする韓国のスパイの話。
スパイ物だが、アクションは全くなく、題名通り「工作」すなわち相手とのビジネス上の交渉が延々と続く。それなのに、ちゃんと緊張感があり、スパイという、ある意味で専門職、職人としての達成感がある。さらに職人肌を貫くことで知ってしまう真実の衝撃を、追体験できる。
その中で、主人公パクと、交渉相手、つまり騙す相手であり、決して心を許すことができない相手であるリ所長との間に、徐々に生まれてくる共感に近い感情が秀逸。
パクが南のスパイだと知った後のリが、どんな行動をとるかも、是非映画館で観てください!
男の友情と言えば「さらば友よ」などが有名だが、本作もそれらと並ぶのではないか。ハードでソリッドな中で、それは自分にとって輝くような感情を生んでくれた。
自分の中では、スパイ=拷問というイメージが定着してしまっているが、本作ではそういうドキドキは極めて少ない。それでも将軍様に会う際には自白剤で尋問されるのが当たり前というのは、衝撃。
エンタメ性では、「タクシー運転手」に並ぶのではないだろうか。
タイトルにも上がっている「黒金星」の意味は、是非、bloodtrailさんのレビューをご覧ください。
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mittyさんのコメント
2021年6月21日
>決して心を許すことができない相手であるリ所長との間に、徐々に生まれてくる共感に近い感情が秀逸。
ですよねえ。最後はしっぽりと心が包まれました(TT)
『さらば友よ』、今度、見ます。