「豪華なキャスト」浅田家! Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
豪華なキャスト
浅田政志が《浅田家》で木村伊兵衛賞をとったっていうのは知ってたの。木村伊兵衛賞は、写真界の芥川賞みたいなもんだから、「なんでこの作品が?」と思ってたの。その数年前に梅佳代が《うめめ》でとってるから、芥川賞というよりラノベ大賞っぽくなってたのかも。
その浅田さんがどんなことやってたんだろうって興味があって観たのね。
生い立ちと家族の雰囲気が面白いね。
それで写真学校卒業するためには、卒業制作でレベル高いのを出さないといけなくなって「そうだ、家族を撮ろう」と病院コスプレの一枚撮るんだよね。それが学長賞をとるのは、まあそうかも。写真学校の卒業展示は、そんなもんかも。
そして浅田家の家族写真をもって東京に行くんだけど、相手にされないの。「だってこれ君の家族写真だもん。売れないよ」という一言がもっとも過ぎて返す言葉がない。返すとしたら「じゃあ、売れてる写真集言ってみろよ。全部売れてないだろ」ぐらい。
しかしそこで目を付ける出版社が出てくるのね。『赤々舎』。写真だと有名な出版社だから姫野さんが赤々舎の名刺を出したとき「うおー!」ってなったね。それで写真集出したらいきなり木村伊兵衛賞の流れは、なんでかやっぱり解んない。でも、映画みてるなかで、浅田政志にも若奈ちゃんにも感情移入してるから「良かったな」と思った。若奈ちゃんが泣くところ隠す演出もいい。
そこからは東日本大震災後の話になるんだけど、ここは、そんなに。
震災後、壊れた家からアルバムを持ってくる人が多いとか、流された写真をきれいにするとか、あったんだよね。それで、写真をやってる人たちは「写真って、なんなんだろう」って、改めて自分たちがやってることを見つめ直してたの。その流れに浅田政志もいたんだろうね。
若奈ちゃんのプロポーズのシーケンスは面白かった。脚本の技巧を感じさせずにやり切る黒木華がすごいね。
そもそも若奈ちゃんに黒木華をあてるってのがすごいね。野波麻帆みたいなハッキリした美人をここにはもってきたくなっちゃう。
キャストは豪華だよね。冴えない大学院生(だが背が高くてカッコいいのは隠せない)に菅田将暉だし、そこに渡辺真起子出てくるし。
ニノを主演に据えるってことは、これだけ豪華な脇役つかえるってことなんだと思った。
浅田さんがどんな人なのか知ることもできたし、観て良かったよ。