カニバ パリ人肉事件38年目の真実
劇場公開日 2019年7月12日
解説
1981年にフランス・パリで起きた猟奇殺人事件「パリ人肉事件」の犯人・佐川一政の現在にスポットを当てたドキュメンタリー。81年、パリに留学中の日本人男性・佐川一政が、オランダ人女性を射殺して遺体を食すという衝撃的な事件を起こす。帰国後、佐川は異端の文筆家として注目を集めメディアにも度々登場するが、2000年代半ば以降は表舞台から姿を消していた。2013年に脳梗塞で倒れて歩行が困難となり、実弟の介護を受けながら年金暮らしを送る佐川に、フランスの撮影クルーが15年6月から約1カ月間にわたって密着。弟との奇妙な関係性を浮き彫りにしつつ、佐川の心の奥にある「カニバリズム」を追求していく。監督は「リヴァイアサン」を手がけた人類学者で映像作家のルーシァン・キャステーヌ=テイラーとベレナ・パラベル。第74回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門で審査員特別賞を受賞。
2017年製作/90分/R15+/フランス・アメリカ合作
原題:Caniba
配給:TOCANA
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2020年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
1981年にフランス・パリで起きた、通称「パリ人肉事件」の犯人・佐川一政の現在。
車いす生活を送る彼は、今もなおカニバリズムへの興味を隠さず吐露する。
「異性に対するフェティシズムの延長線上にカニバリズムがある」と言い切る一政。
そんな彼を介護をする実弟もまた、兄に負けじと劣らぬフェティシズムを持つ。
それが明らかとなるラスト30分間は、まさに衝撃。
なぜ、「ラスト30分の衝撃!」と宣伝文句を打たないのか不思議なぐらい、ラストにはありとあらゆる要素が詰まっている。
撮影協力してくれたお礼とばかりに、スタッフは一政にプレゼントを贈る。
終始フォーカスの合わないカメラの前で、彼が見せる恍惚の表情。
ドキュメンタリー映画を観たはずなのに、ホラーもしくはヒューマンドラマを観た感覚に陥ってしまった。
2020年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
劇場で観なくて良かったと思う劇場上映作品があろうとは。
元々、ドキュメンタリーは好きな方だし、カニバリズムの心理描写も好きな方だけど、
この事件のことを知らなかったので、
アマプラで観ながらwikiっていたけれど、
なんでこんなに見づらい撮影方法を取ったのか、
そして恐らく嘘臭くならないように接写したのは良いけれど、
元々乱視なのにこういった表現は更にイライラするので、
もはや主要なところだけ見て、
あとは声だけ聞いていた。
愛する人を食べたいという欲求は、スカトロジーにも共通するけれど、
やべえのは兄だけではないと後半で解る。
カニバリズムの初期段階は唇から入り、お尻に移行するのが多く、
この人もまた右に同じ。
そして猟奇殺人犯の生家が裕福なのも共通している。
つまり、そうなる条件がいろいろ整っていたということか。
しかしフランスで不起訴、日本でも退院出来たりと、何らかの力が加わっている気がしてならないけれど、
こうして人の目にさらされる事で、世界がどう捉えるかと、こちらに問題を突きつけられている気がする。
事件の詳細にクローズアップした作品ではないのが残念。
忘れかけそうなので投稿しておく。
ドキュメンタリーとして見たとき、私はこの映画を見たつもりになっているのではないかと
反省する。
作り手は、分からない日本語のインタビューに付き合う撮影の意識をボケた映像で表現した。
私はそのピンボケに何を見ていたのだろうか?
佐川やその弟の言葉、執筆された漫画、そこには社会性を欠いた生物としての人間のサガ(性)を映像にあぶり出している。
果たして我々は何を見せられている、いや自ら望んで見ているのだろうか?
恐ろしく奥深い、人間の心の淵があるとすれば、それは人間のイマジネーションの欠如でしかない。
だか、そこにこの映画が成り立っている。
どんなものにせよ、
社会にあるものは一人のものにしてはダメな結果を生む。
佐川兄弟、もう少し気づけよ!
ニュートラルに。どっちにも振れちゃダメだ。正解を決めちゃダメだ。
今のボクにはこれが精一杯だった。
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