「ゲーム脳ではなく映画脳で観ましょう」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー さくらさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲーム脳ではなく映画脳で観ましょう
一緒に行ったゲーム好きの友人とは意見が分かれました。
ゲームを題材にした作品ではありますが、これはゲームではありません。「映画作品」として理解できる人向けの作品だと思います。
友人の主張としては「ただDQ5の話をなぞってCG映画化するだけでよかった。なんで超展開にしたのか。ゲマ倒してミルドラースは封印しましたで終わればよかった。」というものでした。
私の意見は真逆です。まず、2019年にもなって今更ドラクエ5のあらすじをなぞっただけの映画化なんてされても、そんなの何の価値もないよなぁと思ってた。そもそも親子3世代、プレイ時間数十時間になるようなゲーム作品のストーリーが、2時間弱の尺に収まるわけもないのだから、絶対改変やすっ飛ばしがあるだろうし、ドラクエ5ファンの私としてそんな半端なもの見たくないぞ、でもそういうのになってる可能性高いよなと、今回の映画化には不安の方が多いくらいだった。
実際見てる間も、「あ~やっぱり駆け足…」「あ~やっぱり改変…」「あかんかもしれんなこの映画は…ドラクエ5ファンにとっては残念なやつぽいな…」とか思いながら終盤まで眺めてた。
もちろんそれでもビアンカへのプロポーズシーンは涙腺緩んだし、勇者が可愛いし、それなりには楽しんで見ていましたけどね、全体としてはイマイチ感を抱いてた。
でも終盤の超展開にほんとやられた。
まあさすがにあまりの超展開だったので一瞬「は?なにこれ、ドラクエ5をなめてんのか?」って思ってしまったけど、すぐに「あ~~~~」と納得。
この映画は「ドラゴンクエスト5の話」ではない。「コントローラーとテレビ画面を通して主人公になる」というものが旧時代のゲームスタイルとなり、「本当に主人公になる体験ができる」という超リアル体験型アトラクションスタイルのゲームが確立した近未来の世界の話。その話の主人公が選んだゲームがドラゴンクエスト5だった…ということ。
それが理解できた途端、ありがという山崎貴!!ってなった。
わかる…わかりすぎる…もしそういう時代が来たら私だって間違いなくドラゴンクエスト5を選ぶもん…。「本当に主人公になる体験ができるとしたら」、選ばれる作品は、FFでもMOTHERでもない。ドラクエ3でも4でもないんだよ…。ドラゴンクエスト5なんだよ…。山崎貴、よくぞこの話にドラゴンクエスト5を選んでくれた…!
私同様ちゃんと「ドラクエ5が好きな一人の青年の話」として理解して見られた人にとっては、とても良かった作品なのではないでしょうか。
ただ一つだけ・・・・・・・・・
音楽の使い方が残念!!このシーンでそんなに軽率にその曲使うの??っていうのがたくさん…。そんなだから6とか7とかからも引っ張って来なきゃいけなくなるんでしょ…w 主人公が5の体験をしてるという状況なのに、他作品の楽曲が(例え視聴者に対してであっても)流れるのは違和感を覚えました。序曲も何度も使ってたせいで一番大事なところでテンションが上がり切らなかったのが残念でした。それが-0.5点です。
ほんとはこんなに批判されまくるべきではない良作なので、平均点を少しでも上げるために満点付けてあげたいところなんですけどね。