「ユア・ストーリーとは何を意味しているか」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー s yさんの映画レビュー(感想・評価)
ユア・ストーリーとは何を意味しているか
この映画は"ドラゴンクエスト説明書"です。
ドラクエのプレイ動画の映画化ではありません。
低評価に惑わされず、ドラクエ好きな人は是非観て下さい。
この映画はただドラクエ5をプレイしているのを観る映画ではありません。
サブタイトルのYOURSTORYとは何を意味しているのかを考えてみます。
まず、基本的にドラクエはシリーズを通して主人公がしゃべる描写がほとんどありません。
主人公がしゃべらないのにもかかわらずゲームが物語の体をなしているのは何故か。
それはプレイヤーが主人公になって自分自身で考え物語、会話を補完しているためです。
プレイヤーは主人公に感情移入して(主人公になって)物語が進んで行く訳です。
よく対比されるFF(ファイナルファンタジー)との大きな違いはここです。
FFは主人公が考えていることを口にします。
主人公自身がしゃべり、考えるので第三者視点から物語を"観て体験する"のがFFです。
FFの主人公は最初から名前が決まっていますが、ドラクエは主人公の名前を決めるところから始まります。
これもプレイヤーが主人公になれるような工夫の1つですね。
仲間にしたモンスターに名前を付けることが出来るのもやはり、モンスター、1匹1匹に愛着が沸くような工夫です。
なぜ映画をドラクエ5を選んだのか。
シリーズの中でも人気があるというのもあるのでしょうが、やはり【嫁の選択】をすることができるというのが大きいと思います。
他のシリーズにない嫁の選択をさせることでプレイヤー1人1人の(物語)にしているんですね
映画を観ていて主人公に違和感があった方がいると思います。
こんなキャラじゃないだろと。
この違和感は何かというとドラクエ5をプレイしていた人ならわかる、自分がプレイしていた時に自分が感情移入していた主人公と違うからです。
他の人がやっているドラクエを見せられていたのだから違和感があるわけです。
また、最後に出てくる【偽ミルドラース】は何を表しているのか。大人になりなさいとあれは監督の言葉ではなく
「ゲームをやらない、ゲームについて偏見がある人」の言葉です。良い歳になってなんでそんなものやっているのとか、やるだけ時間の無駄だよとかゲームをやらない人は散々なことを言います。
最後にぶったぎりますね。
決してゲームなんてやってないで現実に戻ってこいよとか、ゲームなんて無駄だよとかそんなことを言っている映画ではありません。
ドラクエをゲームを否定している映画ではなくむしろ主人公になって仲間と絆を育み、冒険することが出来るドラクエの面白さを説いている映画です。
あなたがやってきた「ドラクエ」の時間は無駄ではなかったじゃないか、ゲームを通して仲間キャラやモンスター、プレイヤーそれぞれに思い入れや冒険(YOURSTORY)があったじゃないか!
と言っているように思いました。
この映画は映画の中ではかなりメッセージがわかりやすい部類です。
映画をあまり観ない人や、ドラクエを第三者的にプレイしていた人、ドラクエ5の実況映画(観る前は私もそうだと思っていました)を観たかった人は不快に思うのかもしれません。
なるほど、あなたの解釈の方が幸せになれそうです。
ずっと、制作側が私たちをバカにした映画なんだと思い込んで観てましたから。ユアストーリーというサブタイトルの意味も、やっと本当の意味で理解できた気がします。
ずっと観るか観るまいか迷っていましたが、こちらのレビューを読んで観ることを決意。
つい先ほど、観てきました。
結論、すごく面白かったです!
映画館で観ておいて本当に良かったです、危うく見逃すところでした。
s.yさんのレビューに感謝です!
なかなか面白かったといいづらい雰囲気ではありますが、自分は面白かったよ。
ドラクエ5リアル世代ですがバカにされたとも思い出をけがされたとも思わなかったし。
偽ミルドラースを、叩き切るシーン最高でした。ゲームをやる楽しさを全肯定してくれて、大人になったってゲームの楽しさは変わらないんだって代弁してくれてて、本当に感動しました。