「バーカ」二ノ国 日高雄介さんの映画レビュー(感想・評価)
バーカ
バカ過ぎ。物語も演出もキャラも全てがバカ過ぎ。
冒頭、短髪(健常者)とヒロインが長髪(車椅子)への当然の配慮を全く示さない時点で
何か嫌な映画だなぁ…お前ら本当は友達じゃねえだろ…と思いましたが、アレは差別でも何でもなく
ただ単に短髪と製作者の頭の悪さを観客に示すためだけのシーンでした。はい。
それに何の意味があるのかは、最後まで観ても全く分かりませんでしたが。
まず、物語が酷い。
全てが超・御都合主義で進む。必然性やロジックの重要さを全く考慮していない。
いきなり異世界に飛ばされて、トントン拍子に成功して、英雄になって、許されて、それで納得できますか?俺は無理だわ。
演出はもっと酷い。
例えば、王様からの褒美(寄る辺ない異世界での全財産!)を酒場に放置して浮かれ踊る描写は、絶対にやってはいけなかった。
「ベルセルク」や「ヴィンランド・サガ」では絶対にやらない描写。絵空事にも限度ってもんがあるだろ。
ファンタジーだからこそ、最低限の現実性は絶対に必要だと思います。
何より酷いのがキャラ。勃て方最悪。
長髪以外の登場人物はほぼ全員、知性とは無縁の激烈バカ揃いなんですが
特に際立つのが準主役の短髪バカ。しかも情がない。小学生向けの映画である事を考慮しても酷過ぎる。
冒頭10分で、あいつの事が嫌いになってしまった。のび太やジャイアンだって、大長編では利発だし優しいでしょ?
バカ&不人情に共感できる客は、老若男女問わずいないと思うぞ。
例えば、冒頭(上述)の階段シーン、
「短髪とヒロインが車椅子ごと担いで階段を昇っていく」「長髪はそれに感謝しつつ、やるせなさを感じる」だったら、その後の印象がどれだけ違ったか。
電動車椅子を担いで昇るのが非現実的なら、急坂でも砂利道でもいいですよ。大長編ジャイアンなら、どんな悪路でものび太を担ぐはずだから。
「ハル、コトナ、そこまでしなくていいよ…」「馬鹿野郎!俺たちはずっと一緒だ!」「そうよ」それで良いじゃん。何故しないのか。
声優の大根っぷりが気にならなくなるくらい、キャラが駄目でした。元凶と言っても過言じゃない。
これ、「妖怪ウォッチ」と同じノリで作っちゃったんですかね?この製作者は、堀井雄二とかいう最高のお手本から何も学んでねぇんだな…。
ちょうど今、DQ5原作の傑作映画を同時公開してるから、それ観てストーリーテリングの勉強し直した方が良いと思います。フハッ。