「毒にも薬にもならない、可もなく不可もない映画」二ノ国 よんよんさんの映画レビュー(感想・評価)
毒にも薬にもならない、可もなく不可もない映画
ゲームの映画化、特にRPGの映画化は難しいどころか、そもそもが無理ゲーなので期待はしてなかった。
ゲームってやっぱ圧倒的に時間の有利がある。二時間という時間は、映画ならまるまる一本だけど、ゲームならまだチュートリアルだったりしかねない。
ゲームは圧倒的な時間的有利で「長い付き合いだから」的にキャラクターに感情移入できるけど、映画の場合はそうもいかない。「出会って十五分で即感情移入!」を目指さないといけない。そこから更に、原作ファンすら満足させるシナリオを要求されるんだからスタートラインから無理ゲーだ。
ヒロインの少女をモブくらいにしか思えない段階で物語が劇的に動く。それ以降は観客はおいてけぼり。自分に関係のない物語に思えるから退屈になり、隣の客もあくびが絶えない。
例えば宮崎駿なら。
与えられた時間が同じでもヒロインの少女を自分の娘とか妹とか恋人に感じさせるほどのぶっ飛んだ力とか問答無用の説得力があると感じちゃうのだけど。
それがこの作品にはなかった。
主人公やヒロインがどういう人生を歩もうと自分に関係があるように思えなかった。
全てが対岸の火事のように思えて、「頑張れ」くらいにしか思えなかった。
繰り返すが、ゲームをアニメ化したという意味では、頑張ったほうなのは間違いない。
ただ、見終わって感じたのは、来週にはどんな作品だったか忘れてそうだし、来年には見たことすら忘れてそうという、あの感覚だった。