「大人には物足りない」二ノ国 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
大人には物足りない
同タイトルのゲームがあることは知っていましたが、プレイしたことはないので予備知識は全くないまま鑑賞してきました。現実世界と異世界を行き来するファンタジー物で、よくある感じのストーリーながら、現実世界と異世界を関係付ける設定がおもしろく、楽しく鑑賞することができました。序盤から仕掛けられたいくつもの伏線をしっかり回収していたのもよかったです。
ただ、先が読める上にご都合主義的な展開が多かったのは残念でした。ネタバレにならないように少しだけ挙げると、黒幕と思しき人物が登場時から予想できる上にミスリードされることもない、少年の侵入を容易に許すほど王城の警備はガバガバ、世界を行き来するトリガーの設定は終盤では全く発動しない等、気になることが多く、物語に浸ることができませんでした。
また、主要キャラに魅力がなかったのもマイナスポイントでした。キャラデザもさることながら、若手俳優陣の声の演技もイマイチでした。そのため、主人公の二人の少年の心情や行動にも共感しにくく、特にハルの心情の変化には違和感すら覚えました。結果、ラストシーンで盛り上がりに欠け、感動的なオチにつながらなかったように思います。
というわけで、ストーリーの作り込みが甘く、作画のクオリティもイマイチで、せっかくの設定を生かしきれていないようで、夏休みの子供向けにはいいでしょうが、劇場版として大人が鑑賞するには物足りない作品でした。