「ただの同性愛の話ではない」窮鼠はチーズの夢を見る さくさんの映画レビュー(感想・評価)
ただの同性愛の話ではない
大倉くんと成田凌目当てでみたらなかなか単純な話ではなく、あのシーンの意味は?あのセリフの意味は?って見終わった後に考察が止まらないし、心が震えて余韻が収まらない。久しぶりにこんな映画見れた。
8年間大学の先輩の恭一に片想いを続けてきた渉。今まで本気の恋愛をしてこなかったのに渉に対しては特別な愛情を感じる恭一。すごくすごく深かった。
お互い今まで本気の恋愛をしてこなかったゆえの不器用さと相手の事を好きになりすぎたゆえの屈折した愛し方。
同性愛だからこその難しさはあれどこれは同性、異性関係なく響くと思う。
主演の2人が良すぎて女性たちがチープに見えてしまう。いや、女性たちがいてこそ2人の愛が際立つのだけども。
岡村珠希はなんとも男性の好きそうな女の子ど真ん中の女優さんのキャスティング。
彼女が部屋に来る前に掃除機をかけてたとか、一緒に選んだカーテンが1週間前に届いても彼女に報告しないとか、早く帰らそうとするとか、気持ちが入ってない付箋が巧み。あと恭一がだんだん渉に気持ちが入っていくのが言葉ではなくてちょっとした仕草ででてるのがいい演出だった。一緒にテレビ見てる時に渉の髪の毛をつまむとか。顔を触るとか。男性が相手の髪の毛と顔を触るのってけっこうな愛情表現だと思う。
いわゆる濡れ場のシーンはこの映画の見どころのひとつだと思うけど主演の2人のルックスがあってこそこのきれいな濡れ場シーンが撮れたってのは大前提。
成田凌のねちっこくて嫉妬心の強い演技が絶妙。
・ハンバーグなのにねぎ買ってるの?
・傷つける事なく事なかれ主義でやってきた恭一が渉の事は唯一傷つけたって深い意味あるよね。
・送っていくよ。食器はそのままでいいから。←早く帰したいんじゃん。
・ハイチェアに座って孤独を表現するのが絶妙。
・「やらせてくれるんですか?」「いいから入れよ」→ドアのシーンが続いて中での会話とか様子を想像させる演出すご。