「アイドルと俳優が出ているセクシービデオだと思えば…」窮鼠はチーズの夢を見る takaさんの映画レビュー(感想・評価)
アイドルと俳優が出ているセクシービデオだと思えば…
原作未読です。
最近の女性向けアダルトビデオはストーリーもあるので、そういったものに近いものを芸能人が演じてくれている、と思えばとても価値があるものかもしれません。2人の裸が美しかったことやアイドルの方が過激な濡れ場をしっかり演じてくれたことは素晴らしかったのですが、ストーリー、キャラクターには全く魅力を感じられませんでした。特に主人公がクズすぎて、浮気性だけど憎めない魅力があるのであれば良いのですがそれも見つけられず、ただただ相手の気持ちを考えられないどうしようもない男で、登場人物全員に振られて不幸になって欲しいとしか思えませんでした。特に会社の部下は、若くて可愛いのに、当て馬にされて、父親が亡くなった後なのに捨てられて、可哀想でした。女性側から言い寄られてセフレ関係になってしまうなどであればまだ分かりますが、好きでもないのにプロポーズまでして捨てる(しかも父親を亡くして母親に紹介した後に)なんて、主人公はサイコパスか何かか?と思ってしまいました。主役2人の関係を盛り上げてくっつけたり別れさせたりするためには、他のキャラはどう扱ってもいいと思っているのでしょうか。
また主人公はノンケなのかバイなのかイマイチよくわからず。おそらくノンケなのでしょうが、それにしてはノンケの主人公が今ヶ瀬に惹かれて身体の関係になった理由が分かりません。映画での描写不足でしょうか。他の女性と違い今ヶ瀬には執着しているようでしたが、それもなぜ?という感じ。
というのも、今ヶ瀬の印象が『メンヘラのゲイ』であり、それ以上でも以下でもありませんでした。魅力は一途なところ、くらいでしょうか。主人公のようにクズではありませんが、付き合ってるわけでもない相手のスマホを寝ている間に勝手に見たり(それも何度も)、非喫煙者の近くで平気で煙草を吸いまくったり(これは原作の時代性が今とは違うからかもしれませんが)、別れた後もストーカーしたりと、モラルを疑う描写が多く、『ノンケにとっての同性』ではなく、『ノンケにとっての異性(この場合女性)』であっても嫌われる、引かれるであろう行動をたくさんしているのに、『ノンケの』主人公がわざわざ『同性の』この相手に惹かれる理由が分かりません。
(学生時代に何かあったとか、よほどのテクニシャンだった、なら分かりますが、描写ないですし…)
今ヶ瀬は出てきてすぐにゲイだと分かったので、成田さんの演技は上手いのだと思いました。
とにかく全体的に主要人物のモラルが低く、説得力に欠け、なんとなくお洒落な雰囲気や場所でよく分からない理由でくっついたり離れたりしている、有名な芸能人のセクシーなシーンを見ることのできる雰囲気映画でした。